豪雨続き

2008年9月第1週

今週の野菜セット

左から

この夏は局所的な豪雨が多発。各地で被害が出ているようですが、さいわいこのあたりは難を逃れることができました。

しかし先々週には、ピンポン玉ぐらいの雹が降り、アラレちゃん宅のガレージの屋根に穴が開いたぐらいですから、ところによっては雷さまが大暴れ。また、十日あまりも続いた雨で、畑にも支障が出はじめました。

オクラは乾燥にはめっぽう強い野菜ですが、長雨に弱く、大半が根草れをおこして枯れはじめています。ピーマンも病気が入ったようで、先週お送りしたものの中にも、とろけたり変色したりするものがあったかもしれません。なにかありましたら、申しわけありませんがご一報くださると助かります。

うちのささやかな家庭菜園も、先週いっぱいの雨で風景が一変しています。いたるところに亀裂のような溝が走り、そこに雨水が流れこんでいるのです。このくねくねと地面に穿たれた溝、じつはモグラの巣穴に通じるトンネルで、モグラがいるのはわかっていたけど、ここまで広範囲にわたっているとは思いませんでした。

土壌のいいところにはミミズが多く、そのミミズがさらに土壌を良質にしてくれるのですが、ミミズを捕食するモグラも集まってくるという難点があります。モグラは直接農作物に害をおよぼすわけではありませんが、土の中に空洞ができるため、立ち枯れになりやすいだけでなく、その穴にネズミが住み着くケースが多く、食害も生じるようになるのです。

すこしぐらいなら支障はないのでしょうが、わが家のようにトンネルが縦横無尽に走るようになってくると、対策を講じなければなりません。モグラを殺す薬も出回っているようですが、そういうのや忌避剤は使えないし、有機農家が畑のあちこちに立てている、ペットボトルを改造した風車。これはペットボトルに鋏を入れて羽根を作り、地面に立てておくと、振動が地中に伝わるためモグラがいやがるというのですが、一回作ろうとして鋏で手を切ってしまったので、ええい、もうどうにでもなれ、という気分で放ったらかしにしてあったのでした。

それが今回の長雨で一掃されたというわけです。モグラがこれに懲りて畑を避けてくれるといいのですが・・・。巣の中に水が入ったわけですから、溺れてしまったものもいるでしょう。でも、ここは穏便に、夜中のうちにぞろぞろと、すぐそばの林のほうに移動した、と思いたいところですね。

林の中は堆積した落ち葉の下にミミズがたくさん隠れています。夜間、それをイノシシが食べに来ているらしく、落ち葉がかき分けられた痕跡がいたるところに残っています。ミミズは高タンパク食品でもあったのです。そんなわけでライバルも多いみたいで、モグラの暮らしもけっこう厳しそう・・・。

トンネルに侵入してくるのは野ネズミだけでなく、ヘビも食事つきのホテルとして利用することがあるといいますから、安穏とはしていられません。竹藪にヘビが多いのも、そこがモグラの住宅地としてもっとも安全なところだからで、地中に張り巡らされた根っこのおかげで、地震に強く、大雨でも畑などのように天井が落ちる心配がない。いってみれば高級住宅街なんですね。

モグラにとって快適な場所は、野ネズミやヘビにとっても安全地帯。ネズミもヘビも巣穴が必要なのに、それを作る道具がありませんから、モグラの穴を利用することになるのですが、とくに冬眠するヘビなどは、モグラがいなくなれば死ぬしかないのです。畑の害獣も、生態系全体から見れば必要不可欠。

それを考えたらうちの畑ぐらい、かれらの楽園にしてやってもいいかな、という気もするんですね。上空を旋回しているトンビに捕食されるので、爆発的に増えるということもなさそうなので、今後も自然界にすべてお任せして、わたしはなにもしないことにしました。人間がよけいなことをすると、ろくなことはありませんものね。

ともあれ雨が止みしだい、溝だらけになった畑に鍬を入れ、肥料も入れて冬野菜の準備をしなければなりません。耕作するには、中一日ぐらい晴れてくれないことにはどうにもならないのですが、この雨、いったいいつまで続くんでしょう?待たれていた雨も、こう降り続けられたのでは、過ぎたるは及ばずがごとし、になってしまいます。

好子さんも先月から、早く小松菜の種を蒔こうと焦っていたそうですが、前半は乾燥のため、後半は雨が続いて畑が泥沼状態になったために種が蒔けず、しかたなしにハウスの中に蒔いたといいます。それが今、双葉。これが小松菜の体裁になるまで、三週間ぐらいかかりそうです。

朝夕涼しくなってくると、冬の葉ものが恋しくなりますが、野菜セットは夏野菜をひきずりながら、しだいに秋・冬野菜に移行します。その間、端境期のつらさで、思うようなメニュー作りはできないかもしれませんが、農家はがんばっていますので、今すこしご辛抱くださいね。

今週の野菜とレシピ

好子さんの。付け根のあたりに赤みがあるので、赤葱と呼ばれていますが、やわらかい葱です。薬味などにご利用ください。

モロヘイア空芯菜ゴーヤといった盛夏の野菜は、今週いっぱいで姿を消してしまいそうです。このぬるぬるパワーや苦み、たっぷりのカルシウムを残暑を乗り切る一助にしてください。

空芯菜はエスニック料理のイメージが強いのですが、ちりめんじゃこをかりっとなるまで油で炒め、適当に包丁を入れた空芯菜も加えて炒め、一味唐辛子と醤油で濃いめに味をつけると、夏の佃煮といった感じでご飯によく合います。

初夏のころから出ている茄子は、じつはこれからが本番で、涼しくなるにつれ、味が濃厚になってきます。これを適当な大きさにカット。素揚げにして、おろし新しょうがをたっぷりかけて、醤油をかけて食べてみてください。見かけはシンプルですが、味わいは深く、香りのいい新しょうがとの組み合わせが絶妙です。

十四日が十五夜なので、来週は農家に無理をいって、里芋を掘ってもらう予定です。みなさんはススキが生えていそうな場所を探しておいてくださいね。