ゴミ拾いという遊び

2010年1月第2週

今週の野菜セット

左から

隔週の方には、明けましておめでとうございます。

暮れから厳しい寒さが続いています。風邪をひいている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

こちらでも、わたしが暮れの大掃除を済ませ、ほっとしたところで風邪をひき、年明けまで持ち越してしまいました。それがアラレちゃんにも感染し、発熱したので冷や冷やしましたが、思ったよりも早く完治。わたしのほうがまだ余韻を残しているような感じでしたが、幸いどちらもインフルエンザではなかったようです。そういえばわたしたち、ときたま風邪はひいても、インフルエンザというのには罹ったことがないのでした。

流行とは無縁の生活を送っているせいかもしれませんが、ま、ここは野菜のおかげということにしておきましょうか。やっぱりふだんの食生活も影響しているでしょうからね。会員のみなさんも、よからぬ流行とは無縁でいてくださいますように・・・。

年明けに裏山に入ると、真新しいゴミがあちこちに散乱しています。毎年、年末とお盆には決まってゴミを捨てに来る人がいるのです。わざわざ、こんな不便な山の中に来なくても・・・と思うのですが、空き瓶、空き缶はいうにおよばず、布団や衣類、家電の類まで山の斜面にぶちまけられています。

道路脇に置いて行ってくれればいいものを、やはり多少は罪悪感もあるとみえ、谷底に向けて放り投げてあるんですね。拾う側は足場のわるい急斜面を、えっちらおっちら持ち上げることになるのですが、これいい運動になります。どんなに寒い朝でも、これをやると汗だくになるぐらい・・・。

それを見越して軽装で出かけるのですが、それでも帰り道、汗ばんだ衣類に体温を取られ、くしゃみを連発することがあります。そういう風邪は熱も出なくて、翌朝、また山の中で汗をかけば治ってしまいます。ただし、タオルと着替えを持参する必要があり、それがちょっと面倒ではありますが・・・。ただでさえ荷物が多くなるのに、自分のものまで持ち歩きたくはないものです。

そこで小さなバッグに詰めて、それを犬に持たせたところ、これが大成功。たいていの玩具は飽きて、すぐに放置してしまうのに、これは嬉々として持ち歩いて、いや、くわえ歩いてくれるからです。子犬は生後三ヶ月になり、体重も八キロになりました。ミックスなので、どこまで大きくなるかわかりませんが、半年後が楽しみです。

犬は何匹も飼っていますが、子犬から育てるのはこれがはじめて。今まではみんな中途採用というか、ワケありだったのです。フィラリア末期で腹水が溜まるようになって捨てられたハスキー犬が最初で、つぎが劣悪なブリーダーの元から救出されてきたゴールデン・レトリバー。これは悲惨でした。フィラリアはもちろん、耳の形が変形するほどの外耳炎があり、耳も遠く、目は白内障で盲目状態。ケージから外に出されたことがないので、歩くのもおぼつかない老女でしたが、ようやく散歩にも慣れてきたころ、乳癌が悪化。手術しましたが、半年後に再発して、家へ来てちょうど一年目に死亡しました。

最後の犬はアラレちゃんちの竹藪に繋がれ、放置されていたミックスのオスで、これは十年のつきあいになりました。発情期になると脱走して、近所のメス犬を二度も妊娠させるという快挙をなしとげ、いたって元気でしたが一昨年の夏、老衰で亡くなりました。

こうして見ると、かわいそうな犬は飼ったことはあっても、かわいい犬とは無縁だったんです。今度の犬も、成犬になってから出会ったのでは、盲目の疑いのある「かわいそうな犬」だったんでしょうが、生後一ヶ月から育てていると「かわいそう」の部分が抜け落ちて、「かわいい」だけになるんですね。そりゃ、いっしょに暮らしていると、どんな犬でもかわいいものですが、そこに「かわいそう」があるとないとでは大ちがい。

思えば、憐憫の情などというのは優越感の裏返しで、「かわいそう」というのも上から目線。これは愛情としてはきわめて不純なものにちがいありません。そういう意味では、これまでつきあってきた犬たちにはかわいそうなことをしたな、と思いかけて、ほうらまた「かわいそう」なんていっている・・・。人の傲慢さというのは、相当根が深いみたいです。

しかし、それを切望しているものもいるんです。

わたしがゴミを拾っているのは、ゴミになった物たちがかわいそうだからですが、はじめのうちは腹を立てながら拾っていたんです。こんなところにゴミを捨てるなんて許せない、といった具合。でも、捨てられている物たちにはなんの罪もない。それなりに価値のあったものが、なんだか知らないうちにゴミにされて、放置されているのですから・・・。

拾う側が腹を立てていたのでは、物たちは自分が非難されていると感じるかもしれません。ただでさえ、不似合いな場所で肩身の狭い思いをしているところへ、怒りまでぶつけられたのではかなわないはず・・・。それで「ごめんね」という気持ちで拾うようになったのですが、それを境にゴミ拾いがとても楽になりました。

気が楽になっただけでなく、劇的な変化があったのです。小さなゴミも集めているうちに重くなり、嵩も増えます。足場のわるい斜面でそれを運ぶのは重労働なのですが、それがすこしも苦にならなくなりました。家の中だと動かすのに苦労するようなテレビや冷蔵庫まで、なぜかひとりで運び上げることができてしまうのです。ゴミたちが協力してくれているとしか思えないんですね。

ゴミを拾っているのを見た人は、偉いですねえ、といってくれますが、べつに偉いことをえらい思いをしながらやっているわけではありません。ゴミを力を合わせるのが楽しくてやっているだけ。無生物にもほんとうは意識や記憶があるんじゃないか、そんなわくわくするような推論を手探りでたぐり寄せようという、スリリングな遊びのひとつなんですね。

今年はつれあいができたので、行動範囲も広がりそう。ひとりと一匹で遊び歩きます。

今週の野菜とレシピ

大根が好子さんから青山さんにバトンタッチされました。好子さんの大根は今回、間引きで入っています。この間引き大根が大きくなるまで、青山さんの畑から、青首三浦おふくろといった種類の大根が入ります。

間引き大根は葉っぱと大根の部分を切り離し、それぞれ湯通ししてから細かく切ります。フライパンに油を敷いてちりめんじゃこを炒め、そこにぎゅっと絞って水気をよく切った大根葉を加えて炒め、オイスターソースと醤油で調味。お好みで七味唐辛子もふって、最後に煎り胡麻をたっぷり加えるとふりかけみたいになります。そのままご飯にのせてよし、納豆に混ぜてもよし。お弁当にも重宝します。

赤かぶも葉っぱとかぶを切り離し、こちらのほうは一夜漬け。彩りのきれいな京風の漬け物になります。一夜といわず、二・三夜置いたほうがおいしくなりますよ。

今週も椎茸の生育がわるいので、山形からしめじを取り寄せました。オリーブ油を弱火にかけ、ニンニクひとかけを入れてじっくり香りを引き出します。ニンニクを取り除いたところでしめじを炒め、軽く塩、胡椒で調味。最後に醤油で味をととのえます。これはご飯にのせても、パスタにからめても美味。レモンを絞りかけると、もっとおいしくなるのでお試しください。