夏の終わり

2010年8月第2週

今週の野菜セット

左から

酷暑が続きましたが、先週あたりがピーク?暑さの中にも、ちらほらと秋の気配が見え隠れするようになりました。

気象庁は厳しい残暑を予想しているようですが、このあたりでは十日も前からツクツクボーシが鳴きはじめています。ふつう、ツクツクボーシといえばお盆過ぎ。夏の終わりを告げるセミなんですけどね。

そして先週あたりから、アキアカネが飛び交うようになりました。山道を歩いていると、アキアカネがブローチのように帽子に止まる。指を差し出すと、まるで引き寄せられるように指先にも止まります。赤トンボって、どうしてこんなに人なつこいんでしょう。

それはともかく、気象庁の予報に反して、セミもトンボも夏が終わると宣言しているわけで、たかだか百年ぐらいの科学技術が出したデータと、何万年も前から季節の移り変わりを経験してきた昆虫たち。どっちを信じるかといえば、やはり後者で、今年は秋の訪れが早いのではないでしょうか。

そんなわけで、この猛暑も今週いっぱい。もうひとふんばりです。

人なつこいトンボが出てきたので、今度はストーカーみたいなトンボ。オニヤンマの話です。

夏になるとオニヤンマが窓のところにやって来て、ホバリングしながら夕食の間中、ジーッとこちらを監視しています。今夜のおかずはなにか。手抜きはないか。大きなふたつの複眼で調査しているかのよう。のみならず、食事中の作法までチェックされているようで、自然とこちらは背筋を伸ばし、箸の上げ下げにも気をつかうようになります。

このヤンマ、どういう機関から遣わされたエージェントなのか?まるで軍用ヘリみたいに網戸の向こうでホバリング。にこりともしないでこちらを凝視しているもんだから、不作法などあろうものなら、即ミサイル攻撃。そんな緊迫した空気が流れます。

そんな中でご飯食べるんですよ。暑いからって、行儀のわるい恰好もできない。食べた気がしない。それでも夏やせしないでいられるのは、たぶん、残したらミサイルが飛んでくるからで、無理をしてでもきれいに平らげてしまうからでしょう。

そして夕食が終わるころ、どこへともなく飛び去るのですが、そのころには日もどっぷり暮れて、飛行しにくくなるからです。薄暮の時間帯がじつはオニヤンマにとってもお食事タイムだったんですね。家の中に電気が灯ると、網戸のまわりに小虫が集まってくる。目にもとまらぬ早さでそれを捕食するものだから、こちらから見るとかすかに前後しながらホバリングしているようにしか見えないのです。

そうとわかってはいても、あの大きな複眼で睨みつけられると、やっぱり気になるもので・・・。ああ、また今年もストーカーの季節になったね、などといいながら食事中は緊張し、いなくなったらいなくなったで、今度は気が抜けたように寂しくなる。庭先のあちらこちらに軍用ヘリの残骸が転がり、風に吹かれたり、アリに運ばれたりして消えてゆきます。

夏の終わりは祭りの終わりのようなもの。ほっとすると同時に、一抹の寂寞感が残るものです。でも、すぐに秋祭りがはじまるようで、草むらには早くも秋の虫が集(すだ)きはじめました。

昼間の暑さはあいかわらずでも、夜風はいくらか涼しくなってきたようです。今週は日が沈んだら外に出て、涼みながらペルセウス流星群でも眺めることにしましょうか。

昔はそんな流星群のことなど知らなかったので、なぜかお盆ちかくなると毎年たくさん星が流れる。死んだ人の魂が星になるというのはほんとうだったんだ、みんなお盆に帰って来るんだ、なんて思いながら眺めていたものです。生あたたかい屋根の上に寝転がって、冷たい風に当たっているもんですから、そのまま寝入って、夜中に目覚めてギョッ、なんてこともありましたっけ。

屋根の上で横になると、蚊もそこまではやって来ないし、長時間空を見ていても首が痛くならないのです。ベランダに出て、冷たいビールやワイン片手に楽しむという法もあります。今年はうまい具合に月明かりがないので、流星が例年よりきれいに見えるそうですよ。

今週の野菜とレシピ

今週も茄子はお休み。雹に花芽を落とされたため、新しい花芽が大きくなるまで、もうすこし時間がかかりそうです。モロヘイアもようやく立ち上がったところだそうです。

トマトは今週で終わりになりそうです。夏野菜の王様が姿を消すのですから、夏の盛りも今週いっぱい。お盆過ぎには秋めいて来るんでしょうね。

ゴーヤーチャンプルー

ゴーヤも今がピーク。正確にはゴーヤーというそうです。ゴーヤーといえばチャンプルー。大きめのゴーヤ1本に対して、豆腐1丁、削り節10グラムを用意してください。ゴーヤーは縦半分に切って種とワタを除き、斜めに包丁を入れてスライス。豆腐は重しをして水気を切っておきます。

フライパンに油を熱してゴーヤーを炒め、しんなりしてきたら豆腐を丸ごと入れて炒めます。炒めているうちにほどよい大きさになりますから、塩とオイスターソース、醤油少々で調味してから削り節をまぶしてください。ゴーヤーの苦みが苦手という方は、最後に溶き卵を加えるとマイルドに仕上がります。

ゴーヤーの甘酢漬け

ゴーヤーの甘酢漬けもおいしいですよ。ゴーヤー2本に対して中ぐらいの玉葱1個。どちらも薄切りにして、玉葱はそのまま、ゴーヤーは塩もみしてから水にさらします。砂糖とりんご酢を1:1で合わせ、そこにぎゅっと絞って水気を切ったゴーヤーと玉葱を入れ、ほどよいサイズの皿を重しがわりにのせておきます。すぐに食べられますが、おいしいのは翌日以降。冷蔵庫に入れておくと1週間ぐらい大丈夫です。さっぱりとしておいしいので、数日でなくなってしまいますけどね。

また甘酢に使う砂糖は白砂糖より、なるべく黒糖にちかいものを使ったほうがコクがあっておいしくなります。