野鳥の営巣
2010年5月第3週

左から
- 春キャベツ
- 小松菜
- 新タマネギ
- インゲン
- フキ
先週は寒気が入って、季節が逆もどり。のびのびとカラダを伸ばしはじめた野菜たちが、また縮みあがってしまいました。
で、今週はまた初夏の陽気になるのですから「野菜は風邪をひかないの?」という素朴な疑問に、うーんと考えこんでしまいます。野菜が鼻水をたらしているのは見たことはありませんが、やはり体調が思わしくなかったり、抵抗力が落ちたりするみたい。それが証拠にうちのソラマメ、そこかしこにアブラムシの黒いかたまりができています。例年なら十本のうち一本ぐらい、虚弱なものが集中攻撃を受けるぐらいですむんですけどね。
でも「助けてくれ」みたいな弱音は聞こえてこないので、「がんばれよ」という追肥を施し、あとは成り行きまかせにしています。今週の陽気を味方につけて、アブラムシを蹴散らすぐらい元気になってくれないものでしょうか。
それよりも問題なのは夏野菜で、今月いっぱいは遅霜のおそれがあるので、茄子もトマトもピーマンもなかなか定植できません。とっくに本葉も出そろって、背丈を伸ばしたがっているのですが、なかなか外に出してもらえない。ハウスに入ると、子供たちのグズる声がどっと押し寄せてくる。だから入りたくないんだけど、水やりしないわけにも行かないから・・・と好子さん。
もうすぐ出してあげるからね。もうすぐだから・・・。かれこれ三週間、そんなことをいい続けているので、子供たちから信用されてないんじゃないか。定植が遅れることもさることながら、夏野菜から「うそつき」なんて思われたら最後、そっぽを向かれてしまいそうで、そっちのほうが心配だとか・・・。
人と人、人と動植物、人と機械の関係にしたって、すべて基本となるのは信頼関係。これさえきちんと確率されれば、多少の不具合は気にならず、大きな障害も乗り越えられます。春・夏野菜を無農薬で作ろうと思ったら、技術云々よりこちらのほうが重要だったりするんですね。
野菜の顔色を見る目と、野菜の声が聞こえる耳。好子さんにはそれがあるのですから、今すぐ要求に応じられなくても、事情がわかれば許してもらえるんじゃないでしょうか。元気いっぱい畑に出たのはいいけれど、霜にあたって枯れたのでは元も子もありませんからね。
植物たちの苦戦をよそに、野鳥の繁殖は順調みたいです。毎朝、挨拶にくるカラスが半減しているのは、メスが抱卵をはじめたからで、お父ちゃんたちはお母ちゃんの分も餌を運ばなければならないので大忙し。ヒナが孵るともっと忙しくなりそうで、今度はお父ちゃんとお母ちゃんが交互にやって来て、なんかくれとせがむようになる。
ツバメの巣も二カ所にできて、抱卵中。おなじツバメでも種類がちがうらしく、毎年居間の前の軒下に営巣するのは大型で、しかもドジ。抱卵中に巣が落ちたりするので、軒下に落とし蓋を打ちつけてやったのですが、自尊心が許さないのか、ずっと無視されていました。あっちこっちに泥をなすりつけて、そのたびに洗濯物を移動させ、ようやく落とし蓋の上に落ち着いてくれたのですが、ま、これで今年はやきもきしないで済みそうです。
ガレージの中で営巣するのは、それより小型。渡ってくるのは半月ぐらい遅いのですが、仕事が早く、要領もよく、南側のがもたもたしている間にさっさと巣を作り、さっさとヒナを孵して、南側のヒナが孵るころには飛び去ってしまいます。
おなじツバメとは思えないと思っていたら、やっぱり種類がちがうみたいです。ドジだ、バカだ、と酷評してはいるけれど、じゃあおまえ、乗り物も使わずに台湾あたりまで行けるのか。帰ってきてすぐ、産屋を建てて子育てができるのかといわれたら、絶対できない。ごめんなさい。
少々要領がわるくても、軒下の梁があっちもこっちも泥だらけになっていても、あたたかい目で見守ってさしあげなくてはならないのです。今回は落とし蓋をご利用くださいまして、ありがとうございました。来年からは試行錯誤などなさらずに、最初からそこに営巣してくださいませ。
そんな思いが通じているのかいないのか、ツバメたちの賑やかなおしゃべりは朝から晩まで続きます。昨年の秋以来、姿を見せなくなっていたスズメたちも子育てがはじまったのか、なんかくれと庭先をうろつくようになりました。山鳩も樹上から物欲しそうな目でこちらを見ています。扶養家族が一気に増える時期でもあります。
今週の野菜とレシピ
今週も好子さんのキャベツが入ります。生のままひと口囓ってみたら、その甘いこと、やわらかいこと、キャベツ臭さがまったくないこと、感動ものでした。が、問題がないわけではありません。キャベツを箱詰めしていると、作業台や箱の上をちいさなアオムシが這っていることがあるからです。1センチにも満たないちいさなアオムシが、輸送中に大きくなったらイヤですものね。
注意して箱詰めしているつもりですが、万が一、そんなものが入っていたらごめんなさい。育ててみたいという方には、養育費代わりのキャベツをお送りしますので、ご一報ください。
きゅうりもインゲンもスナップエンドウも、どれも喉から手が出るくらいほしいのですが、どれも生育がよくないようです。そんなわけで、このうちのどれがひとつが入ることになりましたのでよろしくお願いします。
ひさびさの小松菜と京菜。小松菜はおひたしか胡麻和え、京菜はサラダでお召しあがりください。どちらもおつゆの実にもできます。
フキは先週同様、さっと湯がいてから皮を剥いてご利用ください。先週煮ものにした方は、目先を変えてきんぴらに・・・。フキは3センチぐらいに切り揃え、種を除いた鷹の爪を細かい輪切りにしておきます。それを油炒めして、醤油と砂糖少々で濃いめに味つけすると、日持ちのする常備菜になります。葉っぱも捨てずに佃煮にしてくださいね。