野菜と人菜

2010年4月第4週

今週の野菜セット

左から

雨天が続きます。たまに晴れても、放射冷却で霜が降りたりして・・・。雨もときどき白いものに変わります。

この低温のせいか、雨ばかり降っていても、だれも菜種梅雨とは呼びません。そんな風情のあるもんじゃないからでしょう。冷たい雨と日照不足。農家でなくたって、いいかげんうんざりしてるんじゃないでしょうか。

すこしあたたかくなると、山の中に隠れていたツバメが巣作りをはじめます。でも、すぐにまた寒くなって雲隠れ。比較的大きな木の陰で身を寄せ合っているんでしょうけど、かれらも困惑しているんでしょうね。

それでも多くの農家は、おかまいなしに田植えの準備をはじめています。天候より人間の都合が優先されるようです。人手のあるゴールデンウイーク中に、なにがなんでも田植えを終えてしまいたい。そんな思惑なんでしょうが、天候を無視して農作物が育てられるのか?他人事ながら気にかかります。

農家もツバメ方式をとって、お天気と相談しながら事を進めたほうが、後々の管理が楽だと思うんですけどね。苗が寒さに縮み上がり、生育がわるくなれば、それだけ病害虫にもつけこまれることになりますから、よけいな農薬散布もしなくてはなりません。

だいたい野菜が高値になっているときは、通常より多量の農薬が使われると思ったほうがいいみたいです。もっとも、わたしたちには関係のないことですけどね。それにしても人間の都合が優先されることで、農産物の品質が落ちるというのはなんともやりきれないことです。

もっと困るのが手抜きで、農家の仕事を軽減するためにいろんなものが使われます。その筆頭が除草剤。化学肥料の普及後は、面倒な堆肥作りも敬遠されるようになり、今となっては作りたくても材料を提供してくれる里山も雑木林もないというのが現状ですから、作物の質が落ちるのも無理はありません。

とくに野菜などは改名してもらいたいぐらい・・・。「野」の要素などかけらもない人工の「菜」ですから、「人菜」とかね。人菜と人災。発音がおなじというのも、偶然ではなさそうな気がします。

でも、悪口はこのへんにしておきましょう。農家だけがわるいわけでもありませんからね。ほんとうはみんな「野菜」が作りたい。でも、高いものや不揃いなものは買ってもらえない、という事情がありますから、消費者の意識やら流通の仕組みが変わらないかぎり、農家も変わることができないんでしょう。

そんなことが背景にあるから、好子さんや青山さんは近所づきあいがしにくくなる。「無農薬でやってるんだって?」と通りがかりの人に聞かれると、「やってない、やってない。そんな面倒なこと・・・」と答え、近所の人もかれらがなにかを散布していると、それが酢や発酵液であっても、ああ、やっぱり農薬を使っているんだ、と安心する。意外に思われるかもしれませんが、有機農家って、田舎ではまだまだ肩身が狭いんです。

益子GEFもこんな零細企業だから存在を許されているようなところがあって、立派な社屋でも建てようものなら、どこから横槍が入るかわからない。もっとも、規模が大きくなると農家も増えますから、どうしても目の届かないところが出てきてしまう。自然と野菜の質が落ちるという弊害が出てきます。

ま、零細企業ゆえ、サービスの至らないところもあるでしょうし、野菜の種類も限られますが、質だけは落とさないよう配慮していますのでどうかよろしくお願いします。

今週の野菜とレシピ

タケノコが入りました。今年はどうなることかと気をもんでいましたが、こんな年は気温の変化にさらされる野菜より、地中でぬくぬくできる分、こっちのほうが有利だったのかもしれません。

タケノコは添付のヌカ、唐辛子といっしょに湯がき、そのまま冷ましてください。冷めたらきれいな水に移してください。毎日水を替えると、一週間ちかく常温で置けますから、タケノコは鮮度がいのち。その日のうちに湯がいてくださいね。

姫皮は梅肉和え。細切りにして熱湯をかけてから、梅肉に蜂蜜と醤油少々を加えたもので和えます。かき揚げもおいしいですよ。山うどもてんぷらがおすすめ。どちらも天つゆより、揚げたてに塩をぱらぱらとかけたほうが、ほんのりと甘みがあり、香りも濃厚みたいです。

間引き玉葱のかき揚げ

玉の部分も青葱の部分もいっしょに油炒めして、砂糖と味噌で食べるのが一般的ですが、かき揚げにもできます。これも塩で食べると絶品ですが、けっこう量が多いので少人数の家庭では食べきれないかもしれません。でも、ご心配なく。翌日、それを天つゆでさっと煮て卵でとじると天玉丼。これが楽しみで、うちではいつも食べきれないぐらい作っています。

間引き玉葱のかき揚げ

げそと小エビでかき揚げにしてみました。


野菜の生育が遅れているので、今回、かぶも間引きが入ることになりました。かぶというより、ほとんど青菜。でも、かぶの葉にはほかの青菜にはない亜鉛が含まれています。これは貴重なミネラルですから、おつゆの実かおひたしで召しあがってください。お天気が続くようなら、この小さなかぶもすぐに大きくなるはずです。