春の雪
2010年4月第3週

左から
- ニラ
- ニンジン
- 小松菜
- かき菜
- ミツバ
- あぶら菜
- 薬味ネギ
今朝起き出して、窓を開けたら雪景色。それもうっすらと・・・ではなく、しっかりと・・・。美しい。でも、それは悪夢のような光景です。
季節外れの寒さが来ても、わたしたちは暖房や重ね着でしのぐことができますが、動植物は裸一貫で対処しなければなりません。ようやく結球しはじめた好子さんのキャベツ、背丈を伸ばせないまま花をつけているソラマメ、発芽できない夏野菜・・・。そんなことが頭の中を駆けめぐります。
それから抱卵中の野鳥たち。ヘビやカエルは土の中に逆戻りすることもできますが、生まれてしまった卵が親鳥のお腹に戻るわけにはゆきませんものね。巣作りの下見にやって来たツバメたち。かれらもどこへ避難しているのやら、あれ以来姿を見かけることがありません。
山の木々にも悪夢は容赦なく襲いかかっていました。林の中を歩いていると、どこからともなくメリメリ、バリバリという大きな音が聞こえてきます。こんな雪の中、いったいだれが木を切っているんだろう?でも、チェーンソーの音はしない。それなのにあちこちから、巨木が切り倒される悲鳴のような轟音が聞こえてくるのです。
帰り道に謎が解けました。林の途切れるところ、大きな道に面した斜面にニワトコの木があり、雪の重みでしなっていました。あらあら、かわいそうにと思いながら通り過ぎたその木が、帰るときには根元から折れていたのでした。あちらこちらでそういうことが起こっていたんですね。
針葉樹は雪の重みに耐えられるよう、枝先に雪をためないようになっています。雪国の尖り屋根みたいな構造です。ほかの常緑樹は枝や幹に弾性をもたせ、体をしならせて身を守ります。広葉樹も雪の季節には葉を落としているので、根元から折れるようなことはありません。
ところが季節外れの雪となると話は別で、多くの広葉樹は新芽をつけ、はやいものはそれがもう開いています。葉っぱに積もる雪の重みが加わるわけですから、弾性のない枝や幹はひとたまりもありません。根の浅い樹木は根っこごとなぎ倒され、みごとな花をつけた山桜の木も、人のふとももぐらいありそうな太い枝が折れていました。
このあたりは半月前から桜が満開。この寒さでそれが散ることもなく、人の目を楽しませていましたが、平地でもそんな木々が被害を受けているんじゃないでしょうか。
林の中は一見穏やかそうで、人にとっては癒しの空間でもあるのですが、じつは熾烈な生存競争が繰り広げられているんです。樹木たちがすこしでも多くの陽光を得ようと、限られた空間でせめぎあっているんですね。ほんのひと握りの勝ち組は巨木になれますが、その他大勢はひょろひょろと背丈を伸ばすのが精いっぱい。その大半が強風にあおられて倒木になっています。
ところが今回のような非常事態が発生すると、ひょろひょろのその他大勢は雪の重みで道をふさいで邪魔にはなっても、折れるようなことはありません。壊滅的な被害を受けるのは、むしろ勝ち組のほう・・・。盛者必衰の理とでもいいましょうか。あのメリメリ、バリバリは諸行無常の響きだったのかもしれない、などと思いながら帰ってきたしだいです。
明くる日曜日は、昨日の雪がウソのような晴天になり、山の中では残雪と桜の花が同居するという、めずらしい光景が見られました。散り際の桜と春の雪。どちらも儚いものの代名詞みたいになっていますが、うららかな陽気に悲壮感はなく、ついつい遠出をしてしまいました。が、この陽気も長くは続かないようです。時ならぬ寒さと日照不足。春野菜だけでなく、夏野菜の生育にも影響がなければいいのですが・・・。
今週の野菜とレシピ
先週は野口さんの春キャベツが入りましたが、低温障害のため途中で供給が途絶えてしまいました。それで急遽、青山さんのキャベツの生き残りを総動員することになりましたが、中には大きくなれないままトウ立ちしてしまい、食べられるところがほとんどないものもあったようです。申しわけありません。これはひどい、というキャベツがありましたら、次回、代品を送らせていただきますのでご一報ください。
というわけで、今週予定していた春キャベツも出荷不能になりました。好子さんのキャベツが大きくなるまで、今すこしお待ちください。
今週もあぶら菜、かき菜、小松菜とアブラナ科の青ものが中心になりました。いずれもおひたし、胡麻和え、おつゆの実になります。
あぶら菜とかき菜はほとんど見分けがつきません。味や香り、栄養価もほとんど変わりがないので、どちらを使ってもいいのですが、さっと湯がいたものを芥子醤油で和えると美味。お好みでマヨネーズを添えてください。
薬味ネギのサラダ
薬味ネギはやわらかく、甘みがあるのが特徴。青いところは文字通り薬味として使うことにして、白いところはサラダにしてはどうでしょう。そのために今回は量を多くしてもらっています。
3センチぐらいに切ったネギを湯がき、マヨネーズ+すり胡麻+醤油で和えます。もちろんフレンチドレッシングでもOK。まるでホワイトアスパラガスのようで、ホワイトアスパラガスよりおいしいですよ。
ニンジンの葉のふりかけ
ニンジンの葉もこの時期にしてはきれいなので、ふりかけにしてみましょうか。フライパンに油を敷いてちりめんじゃこを炒め、細かく切ったニンジン葉も入れて炒めます。醤油で味つけをして、最後に煎った白胡麻をたっぷり加えて・・・。これはお弁当に重宝します。
まだまだ気温が上がりそうもないので、ニラもたっぷり3束入りました。野菜不足という苦しい事情もあるのですが、ニラは身体をあたためます。冷えこんだらニラ鍋、比較的あたたかければニラ玉汁、万が一初夏の陽気になったときにニラちぢみ。毎日、季節が変わるようですからね。気温に応じてご利用ください。
甘夏の皮の砂糖漬け
レシピを4月第2週のページに追加しました。