桜満開・生きものが動き出しました

2010年4月第2週

今週の野菜セット

左から

ようやく桜が満開になりました。でも、花見をするにはちょっと寒かったり、雨だったり・・・。そんな天気が続いています。

それでも山の中を歩いていると、虫の羽音を耳にすることがあります。蜘蛛の巣パック第一号にもひっかかりました。蜘蛛の巣がちょうど顔の高さにあって、通りかかるとべっとり貼りつくんです。ふだんパックなどすることがないので、これが唯一の美容法。そう思って我慢することにしていますが、蜘蛛にとっては営業妨害。蜘蛛はおなじところに巣を作る習性があるので、次からは注意して通ることにしています。

いよいよ虫も動き出しました。たまにあたたかい日があると、まだ水も入ってない田圃でカエルが鳴いていたりします。寒い日はしんとしていますから、また土の中にもぐっているんでしょうか。カエルが動きはじめると、ヘビも出てきます。そろそろおめざの卵をどこかに置いておかなくちゃ・・・。カラスに見つからないところ。それでいて、まだ動きの鈍いヘビが確実に見つけられるところとなると、意外とこれがむずかしく、あそこでもないここでもないと迷うんです。

卵を置いて、うまい具合になくなっていたら春も本番。ヘビやトカゲが動き出すと、畑の土も息を吹き返したみたいに生き生きしてきます。地を這うものって、ほんと大地に活力を与えているんだなって実感できる。今年も裏庭の青大将、物置小屋のヤマカガシ、ミョウガ畑のマムシのマムちゃん、みんな元気にひとまわり大きくなってほしいものです。

ヘビが無事にひと夏越すのって、けっこう大変なんですよ。意外に天敵が多いからです。

まず、うちの猫どもがいる。上空にはトンビがいるし、このあたりにはキジも出没しますから油断も隙もない上、冬眠から覚めてしばらくするとパジャマから仕事着に着替えなくてはなりません。そう、脱皮です。これが命がけの大仕事で、新しい皮膚がかたくなるまで、物陰に身を潜ませなくてはなりません。この間、天敵はトンビやキジばかりではなくなるからです。

うちのまわりにいるヘビで最大級はヤマカガシ。胴まわりは人の腕ほどもありますから、このサイズになると鳥類は敵ではなくなります。だからといって安心はできません。イノシシはかなり大きなヘビでも、それが毒蛇であろうがなかろうが、きれいに平らげてしまいます。鶏だって食べますからね。雑食の底力とでもいいましょうか。そのイノシシが去年あたりから、裏庭に出没しているのがちょっと心配。

でも、自然界の天敵などたかが知れていて、いちばん怖いのはなんといっても人間です。毎年、田圃の周辺では大量のヘビが草刈り機に切られて死んでいますからね。鎌で草を刈っていたころは、人も気をつけていたし、ヘビにも逃げる余裕があった。でも、草刈り機をぶんぶん振り回されると逃げる間もない。振り回す人間のほうも、制御のほうに気を取られるわ、疲れてくるわで足元の生きものまで気が回らなくなってしまうのです。中には意図的に殺すケースもあるようですが・・・。

小麦や牧草の刈り取りにしてもそう。ふつう、コンバインを畑に入れると周辺から刈りはじめますから、小麦や牧草を隠れ家にしていたヘビはどんどん真ん中に追いやられてゆき、最終的には機会に巻き込まれて命を落とすことになるのです。ヘビは草のあるほうにしか逃げませんから、それを考慮に入れて機械を動かしてくれるといいんですけどね。

あとは車に轢かれるケースで、これも田舎道ではけっこう多い。昼間はあたたかくても、夜になるとけっこう寒くなることがこれから多くなります。そうすると、アスファルトがホットカーペットのように居心地のいいものになる。しかも夜道ですから、ドライバーには見えません。そういうヘビ、なぜかこのあたりではヤマカガシが多いんですが、うちの庭にたくさん葬られています。

このあたりは車社会。冬は道路の凍結に気をつけなければなりませんが、あたたかくなったらなったで、今度はヘビに気をつけなければなりません。高速で低空飛行するツバメにも気をつかいますしね。そういえば、ツバメの姿は見ていませんが、毎年営巣する軒下に真新しいツバメの糞が落ちていました。寒い、寒いといっているうちに、今年もそんな季節になったんですね。

今週の野菜とレシピ

待望の春キャベツが入りました。これはもうレシピなど不要ですね。

三つ葉はお吸い物にして卵とじに・・・。水耕栽培の三つ葉とちがって、がっしりと逞しく、香りも濃厚ですから、味噌仕立てにしても風味が損なわれることがありません。

かき菜はあぶら菜の一種。大きくして、枝をかき取って食用にするところからかき菜という名前になりました。したがって調理法もあぶら菜とおなじ。おひたし、芥子醤油和え、炒めものにご利用ください。

先週にひき続き玉葱が入ります。北海道の玉葱が大量に残っているためで、芽が出て使いものにならなくなってはもったいないからです。そんなわけで、すぐにお使いにならない場合には、冷蔵庫の野菜ボックスに入れてくださいね。

真冬と初夏の陽気が交互にやって来る今日このごろ。一日の気温差が十度以上もあると、身体にかかるストレスも例年以上だと思います。体温調整はもちろんのこと、あぶら菜や野草でミネラルを補給することも忘れないでくださいね。


甘夏の皮の砂糖漬け

甘夏の皮は四等分したものを湯がき、水にさらします。水を替えながら二~三日。すこしほろ苦さが残る程度にしておきます。

グラニュー糖をたっぷりまぶして半日も置くと、かなり水分が出てきます。ザルにあけて水気をきってから、また砂糖をまぶします。漉した砂糖水ももったいないので、煮詰めて飴状にしてから加え、よく混ぜてください。軽い重しをして一日置きます。それをザルにあけて水気をきり、数日干しますが、そのときに出る砂糖水。これはもう不要なので、紅茶などの味つけに使います。

お天気が心配ですが、皮の表面がさらっとして、指に水分がつかなくなったら、食べやすい大きさに切って容器にもどし、コアントローをまぶしておきます。コアントローはオレンジのリキュール。オレンジキュラソーでも代用できます。数日おいて、ふたたびリキュールを加えます。ひと切れ食べてみて、しっかり香りがついていたら完成。冷蔵庫に移します。

細かくきざんでお菓子作りに・・・。そのままお茶請けするときは、グラニュー糖を軽くまぶしてください。