暑さ対策・逆避暑のすすめ

2010年7月第3週

今週の野菜セット

左から

ようやく梅雨明け?猛暑に突入しそうな気配ですが、身体が暑さに慣れていないとはいえ、蒸し風呂状態から解放されるのはうれしいですね。

じめじめ、むしむし、家のまわりは苔だらけ。山の中はキノコだらけで、それもほとんどが食用にならないものばかり。そして畑は草だらけ。抜いても抜いても発芽して、あっという間に背丈を伸ばす。そんな状況が一変しそうです。

ヒグラシの羽音は今月に入ったあたりから、夕刻になると聞こえていましたが、昨日、ミンミンゼミの第一声。ああ、これで梅雨が終わるんだな。そしていよいよ暑い暑い夏のはじまりだな、と覚悟を決めたしだいです。覚悟でもしてかからないと、バテバテになってしまいそうですからね。

早くもうちの犬はバテ気味で、はじめて経験する夏に戸惑っているようで、事務局の猫もゴムのように伸びきって、一日中寝ています。たぶん夜中の涼しい時間帯、遊びまわっているんでしょうが、こちらは暑い盛りに野菜を箱詰め。ところかまわず横になっている猫たちを避けながら、野菜を発送しています。この夏もがんばって乗り切りましょうね。

人間はバテそうになっても、かれらのようにぐうたらできるわけではありません。そこで暑いときには、福田さんのトマトハウスなどにお邪魔するんです。

ハウスの中が涼しいから?とんでもない、外気より十度ちかくも高いんです。そこで「調子がよさそうねえ」などとわかったような顔をしながら、トマトの顔を見て歩く。おいしそうなのは黙って食べちゃう。だって、熱中症になったのでは元も子もありませんからね。

ハウスの中で食べるトマトは生ぬるいのですが、それでも人の体温より冷たいので、それはそれでけっこうおいしく、ひとつで十分水分補給になるのです。ハウスの端から端までが五十メートル。そこを往復しただけで、衣類もタオルもぐっしょり濡れるぐらい汗をかきます。そして出てきたときの爽快感といったら、さっきまで暑い暑いといってたのがウソのよう。

これ、「逆避暑」とわたしは名づけているんです。避暑地やクーラーの効いた室内に逃げこむのとは逆の方法。逃避型だとそのときはいいけれど、あとで現実に直面したときがつらいでしょ。これは焦熱地獄みたいなものを経験し、現実を天国に変えるというトリック。口のわるい人は「ヤケクソ療法」なんていってますけどね。

知り合いにガラス工房を持っている人がいますが、彼女の仕事場はもっと過酷で、ある意味さわやか。なぜかというと、身体がべとつくことがないからです。千数百度もある高温の炉を前にすると、汗は吹き出すなり蒸発して、さらさらの塩になってしまうからで、そこで三十分も皿やグラスができあがるのを見学しながら世間話などしていると、炎天下が避暑地のようになる。そよとでも風が吹くと、まるで高原を吹き抜ける風のように感じられるのです。

家の中でもこれに近い状況は作れます。焼き菓子を作るとか、素麺を茹でる大鍋をぐらぐらと煮立てながら、こちらでてんぷらを揚げるとか・・・。暑くて料理などしたくないというときこそ、揚げものなどして思い切り汗をかいてから、顔でも洗ってすっきりさっぱり。そうすると不思議と食欲も出てくるものです。

暑いときにバーベキューをするというのも、おなじような理由かもしれませんね。火を焚くと、周囲との温度差ができるので空気が動きはじめます。つまり風が吹く。バーベキューはめったにやりませんが、風がなく、夕刻になっても暑さが居座っているときなど、焚き火をして涼むことがあります。そこに刈り取った草などのせると、蚊取り線香代わりになりますしね。

ま、これは都会ではできない贅沢かもしれませんが、温度差ならどこでも作れます。ベランダの一角にコンクリートブロックか石を置いて、それに水をかけて冷やしてやる。全体を冷やす必要はなく、一カ所そういうところを作っておけば自然と空気は動きはじめます。

今は打ち水などする人もいなくなりましたが、クーラーなどなかった昔の人は上手に暑気払いをしていたようです。現代人もこれに倣って、「逃げ」ではなく「攻め」の工夫で過酷な時期を乗り切って行きたいものです。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんの枝豆が入りました。サヤの両端を鋏で切り落とし、洗ってからたっぷりの塩でもんで湯がいてください。

空心菜のチャンプルー

空芯菜は夏のほうれん草とも呼ばれますが、カルシウムはほうれん草の4倍、ビタミンA:5倍、ビタミンB群:2倍、ビタミンCも2倍とほうれん草以上。ニンニクといっしょに油炒めするのが一般的ですが、沖縄風にチャンプルーというのはどうでしょう。

空芯菜は沖縄風にいうとウンチェーバー。ウンチェーバー・チャンプルーも夏の定番なのだそうです。作り方はゴーヤ・チャンプルーとおなじ。豚バラ肉とウンチェーバーを油で炒め、しっかりと水切りした豆腐を加え、塩、唐辛子、オイスターソース少々で調味。お好みで溶き卵を最後にまわしかけてください。


焼きトマト

トマトも生食ばかりだと飽きてきますので、たまには焼いてみるというのはどうでしょう。フライパンにオリーブ油を敷き、スライスしたニンニクを炒めます。強火にして輪切りにしたトマトを並べ、2~3分で裏返して塩、胡椒。黒胡椒を多めにかけます。トーストにぴったり。バジルを散らしてパスタにのせてもおいしいですよ。


来週はモロヘイアが出てきます。ゴーヤもそろそろ出てきそう。いよいよ夏本番ですね。