だれだ、暖冬なんていったヤツは

2010年1月第3週

今週の野菜セット

左から

年末から厳しい寒さが続きましたが、今週は気温がゆるむそうです。三月から四月の陽気になるといいますが、ほんとうならいいですね。

というのも、例年にない冷えこみのせいで、暮れから野菜の生育が止まったまま。椎茸は小指大のまま休眠中だといいますし、ほうれん草なども凍りついたまま地面に張りついて、背丈を伸ばすことができません。ここらあたりで気温がゆるむと、野菜たちもほっとひと息。ひさびさにのびのびとできそうです。わたしたちも縮こまった身体の節々を、伸ばしておきたいものですね。

暖冬が続いていたせいか、この十年ほど、渡りをする鳥が幼鳥を残す傾向があり、冬枯れの田圃や用水路に灰色のサギがたむろしていましたが、今年はまったく姿が見えません。

渡りをするリスクにくらべたら、幼鳥を残したほうが無事に生き延びる確率が高いのですが、今年は池の水も凍っているし、食糧も十分とはいえなかったかもしれません。秋口にそれを的確に判断し、その年に生まれた子供もいっしょに連れて行くのですから、鳥ってすごいですよねえ。

気象庁が暖冬などといっているので、半信半疑でも気を許していた人間は今ごろになってガタガタ震えながら、あ、そういえばサギの姿がない。暖冬なんかじゃなかったんだ、などといっているのです。人間の状況判断って、ほんとアテにならないもんですね。

「科学的に」割り出された予想というのが多少外れても、即生命に危険が及ぶわけではない。というので誤謬も許されてきたんでしょうが、これだけ気象の変動が大きくなってくると、ごめん、では済まされないかも・・・。テレビやラジオが発信する情報など切り捨てて、耳目を澄ませて自然界を観察しないと、わたしたちもそのうち食いっぱぐれるようになるんじゃないか・・・。

そんなことを考えながら、身を切るような風の中を帰ってきましたが、頭上には渡りをしないカラスとトンビ。わたしが散歩に出ると、つかず離れず尾行して、ときどきカラスがトンビを追い払ったりしているのですが、明晰な頭脳を持ったかれらが、わたしみたいなボケ人間を観察してて、なんかタメになることでもあるんだろうか。

とにかく自然界のほうでは、こちらをよく観察しているみたいです。鳥にかぎらず、タヌキもイノシシも、野良猫でさえこちらの動きを絶えず伺っているようで、都会の監視カメラに劣らぬ数の目に、知らず知らずさらされていることになります。こちらも負けずにかれらの動きに目を向けていないと、ひとり情報から取り残されてしまいそう・・・。

「万物の霊長」などいう、自分が作った地位の上にあぐらをかいていたのでは、いつ何時転落の憂き目に遭遇するかもしれません。これまでは頭でそう思っていても、ま、なんとかなるさ、みたいな気分がどこかにあったのですが、今はそれが足元まで来ている。それがいつ何時、喉元まで来てもおかしくない気がするようになってきました。

ひとつには群発する地震のせいもあるかもしれません。

かつては南海の楽園のひとつであったハイチがフランス領になり、いち早く独立したのはいいけれど、独立したかったら金を払えという暴力団まがいの脅しに屈し、西欧諸国に蹂躙されるまでは豊かだったアフリカ同様、世界最貧国になり果てたところまでは、みなさんご存じですよね。

ひと握りの特権階級と、大多数の失業者で構成される国土は、高級住宅地とスラムとに二分され、町の中にはゴミが散乱。ただでさえ治安と衛生状態がわるく、食糧も行き届いていないところに今度の地震です。災害というのはどこで起こっても悲惨なものですが、政治的災害に自然災害が加わった場合には、地獄絵さながらの無惨な光景が出現することに・・・。想像するだにおそろしい光景ですが、おそらく現実は想像以上でしょう。

被災者同士が傷つけ合うような状況だけは避けられるよう、救援部隊がすみやかに現地入りできることを祈っています。とくにフランス人は泳いででも、地面を這ってでも一番乗りして、粉骨砕身するぐらいの気概を見せてほしいもの。いや、ハイチの窮状から目を背けてきたわたしたちも同罪なのですから、

その場かぎりの援助ではなく、今後は長く復興に立ち合って行きたいものです。

今週の野菜とレシピ

先週、青山さんの赤かぶが小さすぎたため、途中でなくなってしまいました。予想外に小さなかぶが入った方も、代品が入った方も、申しわけありませんでした。

かぶの一夜漬け風サラダ

今週は好子さんのかぶが入ります。なるべく大きいところから収穫するようにお願いしてあります。かぶは皮の下に繊維があるので、厚めに剥いてスライスしてください。塩をあててしんなりしたら、水気を切り、スライスしたレモンと合わせてオリーブ油をまわしかけます。一夜漬け風サラダです。これにホタテの貝柱などを薄く切って加えると、豪華になります。食べるときに醤油を少々たらしてください。

かぶの皮スープ

かぶの皮はもったいないので、小さめのさいの目に切ってスープにします。じゃが芋やにんじんもサイコロに切って、いっしょに水から煮てください。出しは不要。塩、胡椒、オイスターソース少々で調味して、仕上げにかぶの葉と茎のきれいなところを小口切りにして加えます。カップに盛ってから、生クリーム少々をたらすとさらにおいしくなります。

じゃが芋としめじのクリーム煮

じゃが芋は皮つきのまま茹でます。その間にしめじの石づきを取ってほぐし、たっぷりのバターで炒めます。小麦粉大さじ2杯をふりかけて、しめじによくからめたら、すこしずつ牛乳を入れてのばします。この方法だと、だれが作っても玉にならず、なめらかなベシャメルソースになります。塩、胡椒、オイスターソース少々で調味。茹であがったじゃが芋の皮を剥き、大きいものは半分にして放りこむとできあがり。これも最後に生クリームを入れたほうがおいしくなります。

来週は好子さんの青首大根が出てきます。今週の気温しだいですが、椎茸やほうれん草も復活してくれるといいですね。