子育ての季節
2010年6月第4週

左から
- キャベツ
- ズッキーニ
- トマト
- 絹皮なす
- キュウリ
- 新ジャガイモ
- ニラ
梅雨入りと同時に蒸し暑くなってきました。
高温多湿の日本の夏のはじまり、はじまり。その前にやっておくことが山ほどあって、簀の子を物置から出してくる、朝日と西日の当たるところに遮光ネットをめぐらせる・・・。ちょっと動いただけで汗ばむところへもってきて、重たいものを運んだり、梯子に上ったり、ねじ釘を取りつけたりしているうちに汗みどろ。この時期の大工さんはたいへんだろうな、と思います。瓦屋さんはもっとたいへん。仕事というより、これはもう修業の域に入るかもしれません。
農家もたいへんといえばたいへんですけど、作業をするのが土の上。しかも相手は植物ですから、熱と光を吸収してくれる。暑いけれども、熱くはないのです。おなじ力仕事でも、相手が有機物と無機物では疲れかたもちがいますし・・・。こうしてみると、農業というのはしあわせな職種で、身体に負担をかけないばかりか、逆にエネルギーをもらうこともできるんですよ。
だれからって?もちろん作物たちからで、植物というのはこの人は自分のためになると思うと、惜しみなく愛情を注いでくれるものなんです。力ずくで抑えこもうなどとせず、農家が植物のいうなりになっていれば、自然といい作物が取れる。こんな楽な商売、ないかもしれない。ただ、植物はみずから訴えることはしないので、声なき声を聞き取る観察力と感受性が求められます。それも頭の中で常にソロバンをはじいている人でなければ、それほどむずかしいことではないのかもしれません。
今週も植物といっしょに雨に濡れながら、気温の上下に一喜一憂しながら野菜が出荷さます。雨に濡れた野菜は輸送中、蒸れて傷みやすくなりますので、傷みがありましたらかならずご一報ください。また、先週は雨のため、カリフラワーとブロッコリーが途中から生育がストップ。週の後半お届けの方には満足なものをお送りすることができませんでした。申しわけありませんでした。
梅雨どきの山の中はまるで熱帯雨林。
そんな雨林のそこかしこから、熱帯には似つかわしくない野ウサギが飛び出してくることがあります。ウサギが人のいるところに飛び出してくるということは、なにかに追われているからでしょうが、追っ手はキツネかタヌキ、はたまた同類?もしかしたら野ウサギって、今ごろが発情期だったのかしら。
ともあれ犬にとっては宝くじにでも当たったような幸運で、ウサギを追って崖を駆け下りては駆け上がり、そのうちはぐらかされて帰ってくるのですが、はあはあ息を切らしながらも満足そう。ウサギは迷惑でしょうが、まだ成犬になりきっていないので捕獲することはないのです。これが捕獲できるようになったら、ちょっと問題。
幼犬のころ、いつも猫と遊んでいたので、散歩中に出会った猫もすぐに追いかけるのですが、先日遭遇した猫はちがっていました。ものすごい剣幕で犬を寄せつけないのです。出会った人の話では、子供を産んだばかりの野良猫で、農家の納屋の軒下に子供たちがいたそうです。
人間もたじろぐほどの気迫。それを聞いたとき、あっと思いました。藪の中から飛び出してくるウサギたち。あれもたぶん母親で、犬がしきりに嗅ぎまわしていたあたりには巣穴があったのかもしれません。追われていたのではなく、決死の母の愛。そうだったのか・・・。
前に老犬を連れて沢沿いを歩いていたとき、いきなりコジュケイが目の前に現れて、片方の翼を引きずりながら犬を誘導しようとしたことがあります。当の犬は白内障だったので、親鳥の擬態も独り相撲に終わってしまいましたが、この時期にはそういうことがしばしば起こるんですね。
山の中を歩くのは気持ちが良く、犬も好き勝手に走れるところがいいのですが、この時期にはリードをつけたほうがいいかもかもしれない。人に迷惑がかからないよう、人通りのあるところではリードをつけているのですが、人間なら迷惑がかかったところでゴメンで済みます。が、なにもいわない山の住人たちには、それ以上の配慮が必要だったというわけです。
ゴメンでは済まされないのはわかっているけど、ごめんなさい。これからは気をつけますので・・・。
今週の野菜とレシピ
新じゃがが出てきました。ひさびさのじゃが芋です。肉じゃがやサラダもいいけど、皮つきのまま茹でて塩で食べてみてください。新じゃが特有のみずみずしさと甘みがあります。
好子さんのキャベツは甘酢漬けにしてみましょうか。ざくざく切ったキャベツをさっと塩茹でし、熱いうちに細切り生姜といっしょに甘酢に漬けこみます。キャベツが冷めてきたら食べごろ。冷蔵保存もできます。
愛媛の絹皮ナス。好子さんのナスができる前に、毎年野口さんから分けてもらっています。ただし、無農薬ではなく低農薬。苗の時期に一度、花をつける前に一度、消毒散布しています。ほんとうなら益子GEFのボックスに入ってはいけないものではあるのですが、あまりのおいしさについフラフラと・・・。野口さんの住んでいる西条市では、数年前からこの大きなナスで町おこしをしているので、日頃お世話になっているお返しの意味もあります。また、野口さんみずから農家を指導しているので、農薬は規定の十分の一まで希釈していますので、いわゆる低農薬野菜とはレベルがちがいます。えっ、無農薬じゃないの?などとおっしゃらず、味覚でご判断ください。
絹皮ナス

絹皮ナス
絹皮ナスは1センチぐらいの輪切りにして、たっぷりの油で両面こんがり焦げ目がつくまで焼き、味噌大匙3杯、砂糖大匙1杯、酒大匙1杯の味噌だれをかけて鴫焼き風。またはズッキーニといっしょにオリーブ油で炒め、さっぱりと塩、胡椒でどうぞ。
小学校ではもうプール開き。子供のころ、プールに入った日の夕食にはかならずといっていいぐらい、ニラの卵とじを食べさせられたものです。身体をあたため、体力の消耗を防いでくれるそうです。
ニラ醤油
また、夏前にニラ醤油を作っておくと、バーベキューをするときに重宝します。小口切りにしたニラを広口瓶に入れ、ひたひたまで醤油を注ぎ、胡麻油少々を加えて冷蔵庫に入れておきます。そのままソースとして使えますが、市販の焼き肉のたれにこれをプラスすると専門店も顔負けの味に・・・。ぜひ作ってみてください。