冬至の月見

2010年12月第4週

今週の野菜セット

左から

ようやく寒くなって白いものがちらついたと思ったら、またあたたくなったり・・・。気温の変動のせいか、師走という気分ではなく、クリスマスキャロルを耳にしても、まだまだ先の話のような気がしていましたが、月日だけは着実に流れているようです。

今年も残すところ、二週間を切ってしまい、最後の野菜セットになりました。あっという間の一年でしたね。あの夏の暑さと旱魃も、野菜不足の心配も、なんだか遠い過去のように思えてくるから不思議です。来年はどんな年になるのやら・・・。

この国の不況と閉塞感、経済危機に陥る国々がある一方で、ついこの間まで経済援助を受けていた新興国が台頭し、大国化する中で、各国のエゴがむき出しになり、紛争は絶えるどころか拡大の兆しを見せています。それに呼応するかのように、気象が年々荒々しくなってゆきます。異常気象というけれど、人類のほうがよっぽど「異常」なのかもしれません。

その影響をいちばんわかりやすい形で被るのが、自然界の動植物であり、農業や漁業といった第一次産業です。つまり命に関わるところというわけ。命を犠牲にする経済発展って、いったいだれのためのものなんだろう。物質的に豊かになっても、それが自分の首を絞めるようなものだったらなんて、元経済大国で生活している人間がいってはいけないのかもしれませんが・・・。

来年も気象は波乱含みで、変化に富むことでしょう。ただ、国内にかぎっていえば、諫早湾の水門が開放されることになりました。これを今年最後の朗報として、新年に期待するとしましょうか。

今年最後のお便り、と思うと肩に力が入ってしまい、どうも調子が出ないので、いつも通り、ざっくばらんにやらせていただきますね。

なかなか実感が湧かないとはいえ、この時期、買い物に出かけると、どこもかしこも人でごったがえしています。そこではじめて、ああ、やっぱり年の瀬なんだな、と思うのですが、買い物には手間取るわ、日暮れはどんどん早くなって行くわ、で帰宅するころには真っ暗になっていたりします。

でも、夜が長いのは先々週あたりがピーク。冬至を境に一陽来復、日射しが長くなってゆくとされていますが、実際には冬至十日前あたりから、日没が徐々に遅くなっているそうです。冬至十日過ぎたら馬鹿でもわかる、といわれるぐらい日脚が長くなりますが、実際にはいちばん暗い時期から二十日も経っていたんですね。だから正月は、夕刻にかぎっていえば新春ということになるわけです。

新春とはいっても、寒さはこれから。気温のほうは低くなってゆきますが、しだいに延びる日照時間はひっそりと春を育んでいるようです。それが証拠に、地中ではフキノトウの蕾が準備万端、いつでもOKみたいに並んでいます。正月にそれを掘り出して食べるところもありますが、無理矢理掘り出したフキノトウは香りがいまひとつ。顔を出すのを待っていたほうが、楽しみも大きいと思うんですけどね。

日が落ちてから外に出ても、今は月が日に日に大きくなっているので、意外に明るく、それが冬枯れの寂寞感をやわらげてくれています。都会に住んでいるとわからないかもしれませんが、田舎の夜というのは暗いもので、月があるとないとでは大ちがい。月の満ち欠けが与える影響も大きく、冬至のあたりが満月になるというのはありがたいことなのです。

二十一日は季節外れの月見をしたら、ゆっくりと柚子湯につかって、今年の疲れを落とすとしましょうか。みなさんも、新年にむかって風邪など召されませんように・・・。

今週の野菜とレシピ

ブロッコリーの生育状況がよろしくありません。そんなわけで、今週もお分けすることができませんでした。申しわけありません。

赤かぶはスライスして塩で揉み、葉っぱのきれいなところも加えると赤・白・緑のきれいなクリスマスカラーになります。これにレモン半個を絞りかけ、オリーブ油をたらしてどうぞ。

みの虫の唐揚げ

メインデイッシュはじゃが芋を使った「みの虫」の唐揚げ。小ぶりのエビをみの虫に、細く切ったじゃが芋を小枝に見立てたもので、子供はもちろん、大人にも人気のパーテイーメニューです。

まず、エビの殻と背わた、尻尾も取って醤油をからめておきます。下味をつけるだけなら塩でいいのですが、醤油だと養殖エビ特有の生臭さも取り除いてくれるからです。じゃが芋のほうは薄く輪切りにしてから、マッチ棒ぐらいにひたすら刻んでください。準備が終わったら大きめ紙を広げ、そこに小麦粉をたっぷり散らし、エビもじゃが芋も粉まみれにします。掌にも小麦をたっぷりつけて、そこにじゃが芋を広げ、エビをのせたら、それが真ん中になるようにぎゅっとひと握り。これで一匹目のみの虫のできあがり。十匹目ぐらいになると手慣れてきますが、コツは掌に粉をたっぷりつけておくこと。これがすくないと、じゃが芋が手にからみついてなかなかうまく行きません。

できあがったみの虫を高めの温度でゆっくりと揚げ、最後にもう一度油に入れてカリッとさせます。熱いうちにぱらぱらと塩をふってください。残りのじゃが芋も上記のようにひとまとめにして揚げてくださいね。「巣」だけの唐揚げもおいしいものです。


ルッコラはローストチキンなど、肉料理のつけあわせにお使いください。さらし玉葱とルッコラを使ったポテトサラダもあっさりとさわやか。これも肉料理とよく合います。

下仁田葱も入りましたので、暮れの準備が一段落したらすき焼きでも囲んでください。この一年もありがとうございました。よいお年をお迎えください。