いつまで続く、この暑さ

2010年8月第3週

今週の野菜セット

左から

今年は月齢の関係で、ペルセウス流星群が例年よりきれいに見えるはずだったのに、台風4号のおかげで台無し。台風の通過後も曇天続きで、流れ星ひとつ見ることなくお盆が終わってしまいました。

そのかわり、ひさびさに雨が降りました。先月末の夕立以来、雨らしい雨がなかったので地面はからから。ほんとうなら今ごろ、野菜セットに好子さんのニンジンが入るはずだったのが、水不足で大きくなれないままトウ立ちしてしまいました。枝豆もなかなかサヤに実が入らない。そんな状況でしたから、まさに恵みの雨。

わが家でも雨水をみんな使い果たして、空しく瓶やらバケツが軒下に並んでいたのですが、ようやくそれも満たされました。土が見えかけていた睡蓮鉢も縁から水が溢れそうになっています。これが豊かさというものだ、と思いましたね。人の心まで潤すような、ありがたーい雨でした。

稲が花をつける時期には、農道など歩いているとその香りに包みこまれます。田圃に囲まれたようなところでは、むせそうになるぐらい。その匂いがお盆を境にふっと消えてしまいます。早いところでは、もう稲穂が垂れはじめていて、それがしだいに黄金色に変わってゆきます。

これも豊かさ。その稲穂の波の間から、今年生まれたサギの幼鳥がばさばさと飛び立つのですが、こちらの歩行に合わせるかのように、数メートル飛んでは着地。また飛んでは着地という風に遠ざかって行くんですね。たぶん巣立ったばかり。それまでは成鳥の姿しか見かけませんでしたから・・・。

サギの成鳥は真っ白ですが、幼鳥は灰色なのでわかりやすいのです。そして巣立ったばかりの幼鳥というのは、両親からおいしいものをいっぱいもらっていたと見え、成鳥よりひとまわり以上大きいんです。独り立ちして、苦労を重ねるうちにだんだんスリムになるのですが、そのころには人家の庭先から金魚や鯉を拝借するようになる・・・。盗られた人も不思議なもので、カラスにやられると慌てて金網で覆いをかけたりするのに、サギの幼鳥だと「しゃあねえなあ」で済むみたい。

サギは秋が深まるころ、あたたかい地方に移動しますが、幼鳥は残ります。温暖化の影響で、子供の分ぐらいなら餌が確保できるらしく、十年ぐらい前から幼鳥は渡りのリスクを冒さなくなったんですね。それが親に置いて行かれた不憫な子供に見えるからでしょう。でも、カラスやスズメは親が見えるところにいるからって、独り立ちしたらおなじなんですけどね。

そのカラスが子供を追い立てはじめました。子供は成長するとテリトリーから出て行かねばなりません。一人前ならぬ一羽前になっても幼鳥は幼鳥。姿形は親とおなじでも、啼いたときに口の中が赤いので見分けがつくし、独立後、じばらくは若者だけで集団を作るのでそれとわかります。この若者集団、暴走族にはならないかわり、道の真ん中で車が来るぎりぎりのところで飛び上がるとか、電線にさかさまにぶら下がるとか、危なげなことばかりやっているところは人間といっしょ。やがて恋の季節を迎えるまで、かれらの暴走は続きます。

集団なので怖いものなし。山鳩が草の種など啄んでいると、押し寄せて横取りするし、トンビが上空を舞っていると妨害するし、山の中でコジュケイにいやがらせをしているのを見たこともあります。でも、なぜかサギには好意的というか、遠慮がちなのです。サギの食事はぜったい邪魔しない。それどころか、サギが来ると餌場を譲ることもあるぐらい・・・。

サギはカラスよりはるかに大きいけど、大きさでいったらトンビだってカラスには負けてないし、一対一ならまちがいなくトンビのほうが強いはず。サギもトンビも肉食なので、餌の問題でもなさそうです。単なる好みの問題?いつかカラスに聞いてみたいものです。

それよりなにより気にかかるのがトンビの巣立ち。あのピーヨが親になったのですからね。そろそろ子供が巣立つはずです。そうしたら、ピーヨの子供もピーヒョロロロでがなく、ピーヨピーヨと啼くんだろうか。

トンビも親子の見分けがつきにくいのですが、よく見ると幼鳥は羽の色が淡く、つややかなんです。紫外線の影響を受けていないからでしょう。トンビは春先、モグラが活動しはじめると同時に数を増やしますが、梅雨が明けると、まるで避暑にでも出かけるように姿を消します。そして秋口にもどってくるのですが、そのころはまだ成鳥しか見かけない。もしかしたら幼鳥もいっしょに飛びながら学習しているのかもしれませんが、地上からではわかりません。わかるのは幼鳥だけになってから・・・。トンビは子供にテリトリーを明け渡し、親のほうが出て行くみたいですね。

子供の巣立ちは待ち遠しいけど、ピーヨの声が聞こえなくなるのは寂しいことで、暑い夏が早く終わってほしいような、ほしくないような複雑な心境。ほどほどに涼しくなって、でも秋はまだなんて、無理な注文なんでしょうけど、とにかくこの暑さ、そろそろなんとかしてほしいものです。

今週の野菜とレシピ

夏の終わりを誘うかのような、青山さんの新しょうが。が、これも水不足のため、例年より育ちがわるいようです。やわらかそうなところは、そのまま味噌をつけて・・・。残りは薬味にご利用ください。

半月ぶりに茄子が入ります。先月末、雹に花芽をみんな落とされたため、復活に時間がかかりました。ひさびさの茄子は素揚げして、おろし生姜をたっぷりかけて醤油でどうぞ。

旱魃気味ても元気なのがゴーヤオクラモロヘイアといった熱帯の野菜たち。その逞しさには毎年のことながら驚かされます。このパワーをわたしたちの体内でも炸裂させたいものです。

モロヘイヤの天ぷら

モロヘイアのおひたしはご飯がよく進みます。クセがなく、匂いもないから扱いやすいのですが、てんぷらにすると隠れていた匂いが出てきます。そのかわりぬめりがなくなって、お茶の葉のような香ばしい匂いがします。このてんぷらは冷たい蕎麦によく合いますから、残暑対策にぴったり。小口切りにしたオクラとエビのかき揚げなんかもおいしいですよ。

ゴーヤの佃煮

ゴーヤは縦半分に切って種とワタを出し、2~3ミリ厚さにスライスし、ひたひたの水で煮ます。水分がなくなったら火を弱め、同量の砂糖と醤油で調味。酒少々も加えて、さらに水分がなくなるまで煮ます。仕上げに削り節をたっぷり入れて、冷めたら冷蔵庫へ・・・。食欲のないときは、これでお茶漬け。冷たいお茶をかけるとおいしいですよ。