雷雨の功罪

2010年8月第1週

今週の野菜セット

左から

先週は猛暑もひと休み。一日だけでしたけど、雨が降って涼しくなりました。涼しくなったら、さぞかし仕事がはかどるだろうと思っていたらとんでもない、犬も猫も人もひたすら眠りこけました。農家も草むしりのチャンス到来と思いつつ、いつもより午睡が長びき、夜も早々に寝入ったそうです。それだけ疲れが溜まっていたんでしょうね。

週末からまた暑さがぶり返しました。今週もしっかり暑さ対策をしてください。水分補給だけでなく、塩分とクエン酸の補給もお忘れなく。梅干しで熱中症が予防できますから、毎日食べるようにしましょうね。

先週の雨はひさびさに田畑を潤してくれましたが、その前の夕立が台風さながら大暴れ。山の中の倒木が一気に増え、落雷にやられた巨木が無惨な姿になっています。

真岡市内では雹が降り、好子さんの茄子が壊滅的な被害を受けました。先週の茄子に傷がついていたのはそのせいです。かなり大粒の雹だったとみえ、茄子の本体が折れてしまい、復活するのに一週間はかかるとのこと。青山さんの畑はすこし離れたところにあるので、雹害は免れましたが、突風でモロヘイアがなぎ倒されてしまったそうです。

すこし前にはアラレちゃんの自宅周辺がゴルフボール大の雹に見舞われ、ガレージの屋根が穴だらけになったそうです。中古車センターの一角に「雹害車」と銘打った新古車が並ぶぐらいですから、雷雨も油断がなりません。雹は困りものですが、雷雨そのものは植物を元気にします。暑さに疲れた身体に降りかかる冷たいシャワーだけでなく、雷の放電が野菜や樹木を生き返らせるのです。

十年ぐらい前に一度、農道の真ん中でぐるりを稲妻に囲まれたことがあります。光の杭が天空から田圃の中に、次から次と垂直に刺さっては消えてゆくのですから、思わず車を止めてしまいました。高電圧の杭の中に突入する勇気はありませんものね。

ずいぶん長く感じられましたが、時間にしたら数分程度。ようやく光の柵がまばらになって、動き出そうとしたとき、周囲が白く光っているのに気がつきました。無数の稲の葉先が帯電していたのです。それでまた動けなくなりました。それはそれはうつくしい、見事な光景だったのですから・・・。

古代人の感性が理解できた瞬間です。妻というのは古語では夫のことですから、稲妻は稲の夫。その夫から放たれた精が田圃を覆いつくしていたのです。鮭が産卵するとき、オスの放精で川の水が白く濁る。それとおなじことが起こっている感じですね。そうして稲の花が実を結ぶというわけで、なるほど、そういうことだったのかと納得。古代人の観察眼の鋭さにも敬服したのでした。

雷の放電がどれだけ植物を影響を与えているか。わかりやすいのは、竹の根元にヒモを巻きつけておくことです。熱帯では一時間の雷雨の間に、竹が三十センチも伸びたという報告があります。そこでわが家の西の林の裏手、小さな沼を取り囲んでいる真竹を数本選んで、地面ぎりぎりのところにヒモをつけておきました。

ヒモをつけて数日後、夕立がありました。それまでも毎日、沼まで下りてヒモの位置を確認しましたが、だいたい一日一センチ強の伸びだったのが、雷雨の翌朝にはヒモが地面から十センチ以上持ち上がっていました。雷が鳴っていたのは四十分ぐらいだったでしょうか。

大雑把な素人実験ですが、雷がものすごくエネルギッシュなものであるというのはわかります。そんな面倒なことをしなくても、夕立の後、まわりの木々の緑を見れば、明らかに降る前より輝きを増しているのがわかりますね。ただ単に、雨に濡れて光っているのではない。葉っぱの一枚一枚が発光しているように、内側から輝きを放っているはずです。

今度ゴロゴロッと来たら、田圃一面に放たれた精が光り輝く様子、青竹が背丈を伸ばし、木々が喜びに震える様子を想像してください。そうすると、自分がいっしょに充電され、細胞のひとつひとつが活性化されているように感じるはずです。

今週の野菜とレシピ

今週は本文にありましたように、雹害を受けた茄子とモロヘイアが入りません。その分、玉葱ぼっちゃんカボチャが入りますのでよろしくお願いします。

ゴーヤも支柱ごとなぎ倒されたそうですが、こちらは数人がかりでよいしょと持ち上げたら即刻、復活したそうです。

ゴーヤーとオクラはフライ

ゴーヤが苦手という人でも食べられるのが肉詰めフライ。ゴーヤは7~8ミリ厚さに切り、中のワタと種を抜いておきます。豚挽肉にカレー粉と醤油少々を加えてよく混ぜ、ゴーヤの穴に詰め、残ったものは上になる面にのせ、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけて揚げてください。ソースはケチャップにおろし玉葱と醤油を小匙1杯ぐらいずつ混ぜたもの。揚げることでゴーヤの苦みが半減し、カレーの風味が特有の香りを消してくれます。

オクラのフライもたまにはおいしいですよ。これにはタルタルソースがよく合います。市販の上品なものより、みじん切りの玉葱を思いっきり入れた自家製ソースのほうが美味。玉葱と同量のマヨネーズに酢少々を加え、塩、胡椒で味を調えるだけのことですから・・・。残ったソースにはきゅうりのピクルスか甘酢に漬けたらっきょうを加え、トーストにのせてみてください。

ガスパッチョ風サラダ

ひさびさの玉葱を利用して、ガスパッチョ風サラダというのはどうでしょう。トマトもピーマンも1袋全部、玉葱は中ぐらいのものを1個使います。玉葱もピーマンも大きめのみじん切り。トマトは湯むきして、種も取り除いてから1センチ角ぐらいに切り、酢:1、オリーブ油:5、塩、胡椒、醤油少々でドレッシングを作り、全体を和えて冷蔵庫へ入れておきます。ちょっと多いと思われるかもしれませんが、1週間分のサラダを作り置きする感覚で・・・。いつでも食べられるサラダがあるというのは便利なものです。


かわいらしいカボチャは煮もの。空芯菜は炒めものでどうぞ。