夏の疲れ
2010年9月第4週

左から
- ニラ
- ナス
- 空心菜
- 里芋
- 栗
- 長ネギ
このあたりにも、ようやく恵みの雨が降りました。
ひさびさの雨らしい雨でした。降雨の様子が線状に見える雨なんて、梅雨以来ですから、二ヶ月ぶりでしょうか。点線でぽつぽつというのは何度かありましたけど、そんなもの、太陽が顔を出したとたんに蒸発してしまいますものね。
それがひと晩中、降り続いてくれたおかげで、地中にも水が行き渡りました。さあ、農家は大忙しです。大根だ、かぶだ、青菜だと連日種蒔きに追われていますが、ついこの間までの水運びなどとはちがい、徒労感とは無縁の忙しさ。稲刈りも秒読みに入っているというのに、せっぱ詰まった様子もなく、生き生きとしています。ご心配をおかけしました。
励ましの電話やメールもたくさんいただきましたが、絶望的な状況はこれで回避されました。冬野菜の登場まで時間はかかりそうですが、本格的な寒さが来るころにはなんとかなるでしょう。種蒔きが遅れた分、真冬の到来も一ヶ月ぐらい遅れてくれるといいんですけどね。
春夏秋冬、天候の影響をもろに受けるのが畑です。そこで育つ野菜もエライけど、それを辛抱強く支えてくださっている会員のみなさんもエライなあ、としみじみ思います。いつもありがとうございます。
朝夕の気温も下がって、空気が秋めいてきましたね。日中の暑さも、この間までのような勢いはなくなりました。いちばん暑く、長かった夏、とだれもが感じたにちがいない獰猛な夏も、ようやく下火になってきました。
ほっとした途端、夏の疲れがじわじわと押し寄せてきますからご用心。身体にかかるストレスも半端ではなかったとみえ、この夏はカルシウムが大量に消費されたようです。それが証拠に、今年は脚が攣るという経験をした方も多いのではないでしょうか。わたしも何度か、夜中に脚が攣り、激痛で目を覚ましています。妊娠中以来はじめてのことで、びっくり仰天。庭先のヨモギ、オオバコ、スギナにドクダミ、手当たりしだい集めてきてお茶にしました。
このお茶、全然おいしくない。おいしくないどころか「まっずうーっ」のひと言につきるのですが、ミネラル補給にはこれがいちばん。春には山菜、秋にはキノコが気温の変化によるストレス防止、またストレスによって消費されたミネラルを補給してくれるのですが、からからに乾ききった山の中にキノコなどありませんからね。即席の野草茶となったわけです。
ミネラル不足をそのままにしておくと、春眠暁を覚えず、ではなく、秋眠暁を覚えずとなります。身体が休眠状態に入るわけで、どうしてそんなことになるかのというと、ミネラル不足を補うため、骨からカルシウムが溶け出すので、活動しにくくなるんです。これを放っておくと、骨がスカスカになってしまいます。それでなくても、われわれ女性は骨粗鬆症になりやすいので、これは緊急事態です。
カルシウム剤という手もあるのかもしれませんが、わたしたちの身体って、カルシウムを摂ればそのままそれがカルシウムとして定着すほど単純なものじゃない。逆に多量のカルシウムを接種すると、それが排泄されるときリン酸を道連れにしてしまうので、たとえば野草茶などに含まれるカリウムがカルシウムに変換されても、リン酸が足りなくてカルシウムとして定着しにくくなる懼れがあるんですね。
乳製品も同様です。カルシウムの豊富な牛乳が、草食動物から提供されていることを思い出してください。牛たちは牧草に含まれるカリウムをすべてカルシウムに変換しているのです。狂牛病が話題になったとき、飼料に骨粉が含まれていたのを知って、やっぱり牛にもカルシウムが必要だったのね、と思った人もいるようですが、それはまちがい。あの骨粉は子牛用で、牛乳よりも安価な骨粉を水で溶いて与えていたわけ。スターターと呼ばれていたそうです。
雌牛たちが自分の子供のために出しているミルクを全部取り上げて、肝心の子供たちには同類の骨を粉末ミルク代わりに与えるという、えげつないことが世界中で行われていたわけです。そりゃ、牛だって狂うでしょう。でも、狂牛病という名前は間違っていると思います。正しくは狂人病というべきでしょう。
話がそれてしまいましたが、カルシウムの補給にはカルシウムそのものより、野草や海藻、青菜がおすすめです。この夏、わたしみたいに脚が攣ったという経験がおありの方。また、涼しくなってから秋眠暁を覚えず状態になっている人には野草茶がおすすめ。わたしみたいにまずいのを我慢して飲まなくても、けっこうおいしくなったものが売られています。おいしくミネラル補給をしてくださいね。
今週の野菜とレシピ
好子さんの里芋が入りました。23日は中秋の名月。芋名月とも呼ばれています。到着が間に合わない方には申しわけないのですが・・・。
初物はなにも加えず、芋だけで煮っ転がしにします。1時間ほど水に浸けておくと表皮がやわらかくなりますから、包丁の背で簡単に皮を落とせます。出し汁少々に砂糖と醤油だけで煮つけた里芋、それだけでも美味ですが、柚子の皮を散らすと味と香りがぐーんとよくなります。今年の柚子が手には入ったら、皮はラップして冷凍しておくと便利ですよ。煮っ転がしだけでなく、わが家ではうどんや茶碗蒸しにもこれを利用しています。
ぼっちゃんカボチャの蒸し焼き
小さな小さなぼっちゃんカボチャ。これは半分に割って種を取り、そのままフライパンで蒸し焼きに・・・。油を引いたフライパンに断面を下にして並べ
うっすら焦げ目がついたところで水を入れ、フタをして弱火にします。水がなくなったら菜箸を刺してみて、まだかたいようなら水を足して加熱します。できあがったら、くぼみにバターを入れてスプーンでどうぞ。
秋風が立つと、空芯菜のような夏野菜はちょっとつらいのですが、今はこれが唯一のカリウム供給源。さっと湯がいて胡麻和えにするなど、目先を変えてお召しあがりください。
今週は愛媛のすだちが入る予定でしたが、収穫が遅れています。野口さんのところではまだ雨に恵まれず、柑橘類が水不足に喘いでいるといいます。すでに三割ちかくの木が枯れているとか。なんとかなってほしいものです。