花粉症

2009年2月第4週

今週の野菜セット

左から

春一番・二番が吹き荒れたかと思うと北風がもどって来て、三寒四温の今日このごろ。これを繰り返しながら春になってゆくのですが、三寒も四温も風をともなうのが悩みの種。花粉が大量に舞いますからね。

春はまるで草の種のように、風に運ばれてくるみたいです。やがて春が芽を吹いて、それが大きくなるにつれ、気温も高くなる。そして寿命が尽きるころ、木枯らしがやって来てふたたび冬が・・・。風は季節を運搬するベルトコンベアのようなもの。それが止まると、季節どころか時間まで止まってしまいそうです。そう考えると、風も厄介者扱いばかりはできません。

黄砂や杉花粉というオマケがついても、一時的なもの。この風があるから地球が動くのか、地球が動いているから風が起こるのか。ニワトリが先か卵が先かみたいな話ですけどね。

しかし、黄砂に重金属が混じるようになったのも、杉花粉がここまで大量になったのも人災です。杉の植林が増えたこともさることながら、花粉の暴走を妨げていた照葉樹林の減少があり、さらに炭素量の増加、窒素酸化物の参入などがそれに拍車をかけています。

日光には有名な杉林がありますが、そこに生息するサルも有名。また、そのサルたちの間に花粉症が蔓延していることも有名で、テレビなどに映し出されるサルたちは、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしています。それを手で拭うため、両腕もばりばりになっていますしね。気の毒なぐらいです。

でも、花粉症に悩まされているのは一部のサルで、自動車道路に出てきて観光客に食べものをねだるグループ。大半のサルは森の中にいて、昔ながらの自然食で暮らしていますが、花粉の量は変わらないのに発症は見られないといいます。つまり車の排気ガスにまみれながら、スナック菓子などをもらっているグループだけが発症している。ヒトに近い生活をするほどアレルギーになりやすいということで、花粉の増加だけが問題ではなさそうです。

花粉症というのは生体の過剰防衛。被害妄想みたいなもので、つねに化学物質にさらされているものだから、なんの害もない植物の花粉ごときに大騒ぎしてしまう。症状はつらそうですが、原因となるものには実体がなく、ある意味現実離れしているのです。そんなことをいってられるのは、おまえが花粉症の苦しみを知らないから。対岸の火事みたいなものだからだ、といわれそうですが、わたしだっていつ何時、この肉体的な精神病を発症するかわからない。毎年、知り合いのだれかが花粉症デビューしているぐらいですからね。

これだけ多くの人がそんな妄想疾患に悩まされているということは、それだけ多くの人の身体が細胞レベルで不安にかられ、目には見えないものに怯えているということで、その目には見えない病魔とはなんなのか、そちらのほうが気にかかります。わたしたちはいったいなにから身を守ろうとしているのか、文明の利器の背後にはなにがあるのか、考えれば考えるほど怖くなります。

でも、考えたってしょうがないこと。花粉症になったって、たぶん気に病まない。当然、悩まされはするでしょうが、それと闘おうなんて無謀なことは考えないし、それをステロイドなどで封じこめようとも思わないでしょう。

ま、ビワ種の微粉末という強い見方があるので、そんな暢気なことをいっていられるのかもしれませんが、どんな病気に罹ったところで、考えても闘っても意味がない。だってどんな不都合な病気でも、自分の身体が選び取ってしまったんですから・・・。自分自身に目を向け、耳をかたむけるしかないのです。

病気になりたいと思う人はいないでしょうが、もしも病気というものがなかったら、わたしたちはなんの故障もなく動きまわれますが、ある日突然、ネジが切れたオモチャのように壊れてしまう。病気というのは、人を死に至らせないためにあるのであって、人を殺すためではないのです。病気が神さまからのラブレターといわれるのも、そういう側面があるからです。

そんなわけで、花粉ごときに反応するはた迷惑な病気だって、過剰防衛みたいなわけのわからないところはあるけれど、じつはもっと恐ろしい、致命的なものからわたしたちを守ってくれているのかもしれません。花粉症に感謝。そんな気持ちになることができれば、症状だってすこしはやわらいでくれるかもしれませんよ。

今週の野菜とレシピ

だんだん野菜がすくなくなってきました。小松菜はヒヨドリに食べられて、もう全セットをまかなう量は残っていません。京菜も数量が乏しくなってきたので、山東菜と抱き合わせ。どちらかが入ることになりました。

こういうとき、力になってくれるのが芋がらのような加工品です。これはヤツガシラの茎の薄皮を剥き、乾燥させたもので、この面倒な作業を青山さんが男手でこなしてくれました。

芋がらはぬるま湯でもどしてから、食べやすい大きさに切ります。油揚げと相性がいいので、いっしょに煮るか、炒めてきんぴらにするか、また味噌汁に入れてもほんのり甘くておいしいものです。火を通しすぎると、しゃりしゃりした食感がなくなってしまうので、煮るときは短時間ですませるのがコツ。

春が近づくにつれ、あぶら菜がおいしくなってきます。さっと湯がいて芥子醤油で和えてもよし、豚肉と炒めてもよし、椎茸といっしょにスープにしてもよし。この時期、あぶら菜がことのほかおいしく感じられるのは、身体が春の訪れを待ちわびているせいかもしれませんね。

来週はひさびさにニラが入ります。