皆既日食

2009年7月第4週

今週の野菜セット

左から

この夏は、雷鳴が轟く前から梅雨明け宣言。そんな馬鹿な・・・と思っていたら案の定、激しい雷雨に見舞われました。

雷鳴とともに、バケツをひっくりかえしたような雨が降って、いよいよ本格的な夏空が広がるぞ、と覚悟していたにもかかわらず曇天に逆もどり。今年は夏の到来が遅れているようです。

でも、今週の水曜日にはなにがなんでも晴れてほしい。ひさびさの日食ですものね。もっとも関東地方では皆既日食にはなりませんが、それでも七割ちかく月の陰に入ってしまいそう・・・。小学生さながら、ガラス屋さんで小さな破片を分けてもらい、蝋燭の煤をつけて準備万端。この機会を逸したくないものです。

皆既日食といったところで、天体の運行によって当然、起こるべくして起こる現象。なにも大騒ぎすることはないじゃないか、とへそを曲げている向きもあるようです。でも、天文学とは無縁の人も、46年ぶりという今回の日食には期待を寄せていて、一部ではお祭り騒ぎになっている。わたしもそんな野次馬のひとりですが、かなしいかな、日食ツアーに参加するほど時間的にも金銭的にも余裕がないのでした。

ではなぜ、わたしたちは日食だ、彗星だ、流星群だといって騒ぐのか。浮き世の垢にどっぷり浸かった日常から脱却するためなんじゃない?七夕や中秋の名月だって、たぶんそんな必要性があったから考案され、受け入れられたから今にいたるまで続いているんだと思います。たまには地上からすこし離れて、高いところの空気が吸いたい。いや、空気なんかないんだっけ。空気のないところには住めないけど、そんなところがなぜか恋しい。

哺乳類、猫科、日本猫みたいな分類をわたしたちにもあてはめたら、太陽系宇宙人、地球属、アジア系みたいな標識ができあがりそうですが、わたしたちは宇宙の旅人だったんだ、ということを思い出させてくれるのが、こういう天体ショーなのかもしれません。日常からは逃避するかもしれませんが、逆にしっかり現実には目覚めていたことになります。

人間が作ったちまちました決まりごとの中にいると、宇宙法則という大きなことは忘れられがち。でも、わたしたちはそれと無縁でいることはできないのです。呼吸ひとつ取ってもそう・・・。宇宙波動は一分間に18回震動しています。海の波が打ち寄せるのも、わたしたちの呼吸も一分間に18回。平均体温がその倍の36度。そして鼓動はその倍、毎秒72回というのが健康の目安になっているぐらい。

わたしたちみんな、もとはといえば宇宙の塵だったわけですから、心臓の動きまでが制御されていてもあたりまえ、というか、一体だったわけです。だから、日食といった大事件に血が騒ぐのも当然だったのかもしれませんね。

話を地上にもどします。それも地中の極小の世界に・・・。そこにも宇宙は広がっているからです。

ご存じのように、土の中にはさまざまな生命がうごめいています。微生物もいれば、目には見えないような草の種、虫の卵が混じっていて、ひと握りの畑の土の中には数億の菌類が生息しています。そういった土中生物の重量たるや、地上にいる全哺乳類、爬虫類、両生類、大木から草花まで植物の重量を合計しても、とてもじゃないけど追いつかない。半分にもならないといいます。

そういう宇宙空間といつも接しているせいか、農家の人たちはほとんど天体のことには無関心。ただ、日食のように、突然太陽光が閉ざされることで起こるサーカデイアンリズムの変調。つまり日周のバランスが崩れることですが、そちらのほうに関心が向いているみたです。

雨が降ろうが曇天だろうが、雲の上には太陽があるわけで、直接太陽光線を受けることがなくても、そういったリズムが崩れることはないのですが、日食となると事情が異なってくるようです。たとえそれが短時間、数分間の出来事でも、半月にわたる長雨にも匹敵する影響があるんだそうです。

動物たちが不安定になるのも、太陽光線の強弱ではなく、この日周期に変調を来すからで、当然、植物にも影響が出てくるはずだ、というんですね。土の中のおびただしい生きものたちも、影響を受けないわけがありません。満潮時に口を開く貝類は、海から離れた内陸に隔離されても、地球の反対側に連れ去られても、ちゃんと生まれ故郷の満潮時に合わせて口を開く。日周期のいちばんわかりやすい例ですが、そういうものが攪乱されると、生きものたちはどうやってそれを修正するんだろう。

皆既日食という滅多にないチャンス。かれらは太陽が欠けてゆくのを観察するより、そちらのほうが気になってしかたがない・・・。どちらの宇宙も奥が深く、興味の尽きることがなさそうです。

今週の野菜とレシピ

青山さんのぼっちゃんカボチャが入りました。正確には青山さんの義父、奥さんのお父さんが作っています。高台にある水はけのいい畑は、カボチャの栽培に最適。というわけで、去年から自分で作るのはやめて、お義父さんに委託するようになりました。

今年は雨が多かったのでちょっと不安だったのですが、試食してみたらホクホクどころかホックンホックン。最高の仕上がりになっていました。ふつうのカボチャを煮るときよりも、すこし水を多めにしたほうがよさそうです。

インゲンもこれぐらい大きくなってくると、煮物がおすすめ。煮ても目減りしないよう、量を増やしてもらいました。いちばんのおすすめは、鶏の手羽先といっしょに煮る方法。

インゲンと手羽先の蒸し煮

手羽先は両面、こんがりと油で炒めてから、砂糖少々と同量の酒と水、醤油で先に味をつけてしまいます。鍋底にインゲンをならべ、その上に調理済みの手羽先と残った煮汁を入れ、水をすこし足して蒸し煮。このとき、一味唐辛子とオイスターソースを加えると味がぐんとよくなります。水気がなくなるまで10~15分。それで完成です。

これ、楊貴妃の大好物だったそうです。手羽先もインゲンもやわらかく、蒸し煮にしてあるのでインゲンの香りも濃厚。絶世の美女になった気分でお召しあがりください。

インゲンと手羽先の蒸し煮

モロヘイアも入りました。暑くなってくると、モロヘイアとろろがおいしいですね。モロヘイアをさっと湯がいて、包丁で細かく叩き、鰹節と醤油を添えてご飯にかける・・・。この夏もぬるぬるパワーで乗り切りたいものです。

茄子トマトピーマンミョウガといった夏の定番。これはもう、レシピなど要りませんね。夏のエネルギーがいっぱい詰まった野菜を食べて、暑さに対抗してください。

益子町のイノシシ対策

先日、NHKの「ご近所の底力」という番組で、益子町のイノシシ対策が紹介されたそうです。うちにはテレビがないので、会員の方から教えてもらう恰好になりましたが、そこに登場していたひとりが、益子GEFにさつま芋を提供してくれている高橋さんです。

詳しい内容はわかりませんが、秋の収穫に向けてイノシシ対策が伝授された模様です。イノシシは賢い生きものですから、農薬や除草剤が使われている畑は避けて、安全性の高いものを求めてきます。しかもグルメときていますから、必然的に高橋さんのところが集中攻撃を受けるようになり、頭をかかえていたのでした。でも、今年はひさびさにさつま芋の収穫量が増えるかも・・・。今から楽しみにしているしだいです。