初日の出

2009年12月第4週

今週の野菜セット

左から

早いもので、今年最後の通信になりました。

冬至の湯にゆったりつかって、最後の追い込みに備えるとしましょうか。ついこの間まで暖冬気味だったのが、急に寒くなり、身を切るような風が吹くようになりました。暮れの買い物も大掃除も、寒風吹きすさぶ中、追い立てられるような感じになりそうです。

こんなときこそ、早寝早起き。仕事は深夜に持ちこまず、気になることがあってもさっさと寝てしまうことに今年から決めました。毎年、夜中に換気扇の掃除などして、体調を崩していたもんですから・・・。今は子犬がベッドで待機していて、もたもたしていると枕が食いちぎられかねないという事情があります。朝は朝で、いつまでも寝ていると耳を囓られるので、すばやく起き出すことになるんですね。

犬が中心になったおかげで、夜型人間の軌道が修正され、健康的な生活を営めるようになったみたい。めんどうなことはすべて朝飯前にかたづける。それをはじめたら、深夜にごそごそやるよりもはるかに効率がいいこともわかりました。省エネにもなりそうですし・・・。それよりなにより、毎朝、日の出に立ち会えるようになったのがいちばんの収穫かもしれません。

暗い空が濃紺から紫色になり、徐々に明るくなってきたと思うと、東の端から朝日が射しはじめる。その輝きで世界が一変します。一日のうちで世界がもっともうつくしく見える瞬間で、その至福の時間帯をベッドの中で過ごしているのは人生最大の不覚。そう思いつつも、長年の習慣をなかなか変えることができないでいたのでした。それが子犬ごときで、いとも簡単にくつがえされたというわけです。

「春は曙」とはよくいったもので、さすがは才女。学校でそれを習ったときには「春眠暁をおぼえず」のほうがよほど気がきいている、なんて思ってたんですけどね。この年になって、ようやく清少納言の境地に足を踏み入れることができたようです。

毎日が初日の出。毎日、わたしたちの細胞はめまぐるしく入れ替わり、子犬は日に日に大きくなってゆくのですから、気持ちも新たになろうというもの。全盲だったはずの子犬も、毎朝、まぶしそうに目を細めて東の空を見ています。今のところコットン・テストという初歩的な検査、それに光線による検査しか受けていませんが、どうも片方は見えているんじゃないか。獣医師も首をかしげるようになりました。それまでは「見えてない」の一点張りだったんですけどね。

全盲であろうとなかろうと、ふだんの生活に支障がなければどちらでもいいと思っていたのですが、日の出時のあの光景。あの輝きを思うと、たとえ犬であっても、それだけはしっかりと脳裏に焼きつけてほしいものだと思うようになりました。

日の出は時節と場所を選びません。べつに元旦にかぎることはなく、わざわざそのために遠出する必要もありません。いつでも気が向いたとき、いつになく早く目覚めたときでいいですから、ご来光を拝み、景色を眺め、自分が住んでいる世界のうつくしさを知ると、ものすごいエネルギーが体内に流れこむ感じがします。その感動をぜひ、味わってみてください。

今週の野菜とレシピ

暮れには人の集まる機会も多いので、今回も鍋ものセット。すき焼きの必需品、下仁田葱が入りました。春菊、椎茸もすき焼きには欠かせませんね。地方によっては白菜を入れるところもあるようですが、申しわけありません。白菜は入れることができませんでした。

「みの虫フライ」

ひさびさのじゃが芋は、ポテトサラダ、フレンチポテトなど、クリスマスの脇役に・・・。ちょっと手はかかりますが、主役にすることもできます。わが家の定番というか、子供たちが集まるときにはかならずといっていいぐらい作るのが「みの虫フライ」で、これは大人にも人気があります。

用意するのは、むき身が小指大のエビとじゃが芋、それに小麦粉です。まずエビの殻をとり、背わたもとって、醤油を少量からめておきます。塩でもいいのですが、醤油のほうがエビの香りがよくなります。じゃが芋は薄くスライスして千切りに・・・。だいたいマッチ棒ぐらいのサイズにしておきますが、きれいに切りそろえる必要はありません。

場所を取るので新聞紙を広げ、真ん中にじゃが芋のマッチ棒、片隅にエビをのせ、どちらも小麦粉をよくからめておきます。掌にも小麦粉をたっぷりつけて、そこにじゃが芋を広げ、真ん中にエビをのせ、それをくるむようにぎゅっと握ります。このとき小麦粉が少ないと、掌にじゃが芋が張りついてうまく行かず、発狂しそうになるので要注意。

みの虫状にしたじゃが芋を二度揚げして、熱いうちに塩をふります。小さな子供でも、5~6個は平らげますから、多めに用意してくださいね。中身はリアリズムを重視して、芋虫にいちばん近い形状のエビにしてますが、鶏のささみでもなんでもOK。中身なしの「みの虫の抜け殻フライ」もおいしいので、時間のあるときにお試しください。