猫一族

2009年8月第1週

今週の野菜セット

左から

今月に入っても、太平洋高気圧は腰砕け。タケノコによる凶作予想が現実味を帯びてきました。米の心配だけでなく、玉葱やじゃが芋、にんじんといった根菜類も不足がちになっているようで、野菜市場は早くも高騰の兆しを見せているそうです。

多雨のため、夏野菜も花落ちが多くなっています。花が落ちてしまったら実ができないので、果菜も不足気味。果実類もなかなか味がのらないようです。八月だというのに、朝起きて「おお寒い」なんて言葉が出てくるぐらいですから、夏野菜も面食らっているんでしょうね。

ま、今から平成の飢饉の心配をしていてもはじまりませんから、ひさびさに事務局に出入りする野良猫のことでも話しましょうか。

一昨年の移転の際、旧事務局に居住していた猫は家に連れて帰りましたが、移転といっても徒歩一分ほどの場所。野良猫たちはなんのためらいもなく移動してきて、あたりまえのようにご飯を食べます。行きつけの定食屋が不景気のせいか、妙にこじんまりしたところに来ちゃったから、おれたち常連で盛り立ててやろうじゃないか・・・。そんな感じで、堂々と出入りしています。

いちばんの古顔がダイちゃんというオスのアメリカン・ショートヘア。こんな猫も野良になるご時世なんですね。このダイちゃん、ちょっと油断するとマーキングする癖があって、車の窓など開けっぱなしにしておいたら、臭いでぶっ倒れそうになる。人間にはあまり評判のよくない猫なんです。

それが猫の世界ではみんなに好かれているようで、メス猫はみんな彼が好き。とくにケンカが強いというわけではないのに、怪我をしている風ではないのは、たぶん彼が平和主義者だから・・・。やさしいところに人気があるみたいです。うちに引き取ったメス猫も好き嫌いのはげしい性格なのに、ダイちゃんだけは仲よしだったぐらいです。

ここに引っ越してきたばかりのころ、白い子猫が迷いこんできて、それがダイちゃんの庇護下に入りました。そういうとき、ダイちゃんは子猫を定食屋に連れてきて、ご飯を食べている間、ほかの猫から守ってやるのです。が、子猫はすぐに大きくなります。しかもシロはオス猫でした。そういう場合、どんなに庇護を受けていても、彼はダイちゃんのテリトリーから出て行かなければなりません。

ところがダイちゃんはそうさせなかった。シロはダイちゃんのテリトリーに居住を許され、遠慮がちではあるけれども、ダイちゃんの女にこっそり手を出したりもしているんですね。

ダイちゃんはメスの子猫にももちろんやさしく、彼女たちの要望はなんでも聞いてやります。大好きなマタタビの粉を横取りされても、ダイちゃんは黙って見ているだけ。そして彼女たちが成長して一人前の女性になると、そのまま奥さんになってしまうから、ケンカのできないオス猫がモテるためには先行投資が必要だったのかもしれません。でも、ダイちゃんの場合、それだけじゃなかったんです。

オトナになったメス猫がこの春、ダイちゃんの子供を三匹産みました。そのうち捕まえることのできた二匹は、アラレちゃんが引き取りましたが、引き取り損ねた子供が離乳する時期になると、母親ではなくダイちゃんが面倒を見るようになったのです。子育てをするオス猫というのを、わたしたちははじめて見てびっくり。マーキング野郎だったダイちゃんの株が、このときグーンと跳ね上がったんですね。この不景気に株が上がっているんですから、たいした猫だと思いませんか?

この話には続きがあって、アラレちゃんが捕まえ損ねた子猫のほかにもう二匹、隠れていたのがいたんです。それはどう見てもダイちゃんではなく、シロの子供。しばらくするとシロが、その二匹を連れて定食屋に現れるようになりました。

クレイマー・クレイマー第二号というわけです。思えば、シロもダイちゃんに育てられたわけですから、ダイちゃんを見ならったのかもしれません。面白いのは、ダイちゃんが育てているのがアメリカン・ショートヘア柄の子猫で、シロが育てているのも父親似。つまり自分の子供をちゃんと見分けて育てているという点で、このあたりがちょっと人間くさいのです。

猫たちのホームドラマは見ていて飽きることがありませんが、このままこのあたりを猫だらけにするわけにもゆきません。当面の課題は、すばしっこい野良猫をいかに捕獲して獣医師のもとに届けるか。捕獲に成功しても、避妊手術にかかった費用はわたしたちが負担しなければなりません。定食屋の副業だけでも赤字を出しているのに、それが頭のいたいところです。

今週の野菜とレシピ

通信のはじめにもあるように、雨で果菜の花が落ちているため、茄子の収穫量が半減しています。そんなわけで、今週は小休止。オクラゴーヤも花が落ちてしまうので、今週はどちらか一方が入ることになりました。きゅうりももうすこしお待ちくださいね。

そのかわり、ひさびさに玉葱が入ります。このあたりの玉葱の収穫は六月に終わっていますが、長雨のため、貯蔵中に大半が腐ってしまうそうです。窒素分の多い畑で栽培されているからで、好子さんのように有機栽培。それも分解の遅い肥料中心にしていると、なかなか大粒にはなれないかわり、こういう逆境には強いようです。

空芯菜のニンニク炒め

ニンニクも入りました。空芯菜はニンニクといっしょに強火で炒めると美味。

空芯菜のニンニク炒め

トマトの鉄板焼き

トマトもたまには焼いてみるといいですよ。オリーブ油でスライスしたニンニクを炒め、トマトの輪切りをそこに並べるだけ。両面焼いて塩、胡椒したら、あつあつをガーリックトーストといっしょに食べるのがいちばん。パスタといっしょなら手抜きのトマトソース。これをご飯にのせるのが好き、という人もいますから、いろいろ挑戦してみてください。

トマトの鉄板焼き

レシピの内容に加え、ドライバジルを振りかけています。