ホモ・ルーデンスのクリスマス

2009年12月第3週

今週の野菜セット

左から

師走も半ば。ここまで来ると腹が据わるのか、諦めの境地なのかわかりませんが、今月に入ったばかりのような慌ただしさがなくなって、奇妙な静けさが訪れます。この不思議な穏やかさは何なんでしょう。クリスマスを境に、また歳の神に追い立てられるような感じになるでしょうから、嵐の前の静けさなのかもしれませんね。

こういう静けさがないことには、身体がもたない。そんな配慮から脳内麻薬のようなものが分泌され、トランキライザーの働きをしているのかもしれません。一種の麻痺状態?なんであれ、この時期に穏やかな気分でいられるのは大いに結構。今のうちに心身を休めておきたいものです。

心身を休めついでに、今週も落ち葉と格闘しています。堆肥の山が三つになりましたが、もうしばらく落葉は続きそう。掃いても掃いても地面は落ち葉に覆われますが、うんざりするか、それを宝の山と思うかで疲れかたもちがってくるはず。住宅地ではこれが近所迷惑になるというので、泣く泣く木を切ったなどという話を耳にしますが、おかしな話だと思います。

もっとも都会では落ち葉焚きができなくなって、落ち葉もゴミ袋で捨てられるようになったそうですから、宝の持ち腐れになってしまうのかもしれません。でもねえ、新築の家にツバメの巣を作らせないとか、軒下にアシナガバチが巣を作れば殺虫剤をまき散らすとか、それに似た話がいっぱいあって、落ち葉やツバメの糞、蜂の羽音といったものが邪魔になるような生活とはどういうものなのか。そこまでして守りたいものとは何なのか、ちょっと気がかり。不思議の国のアリスのような気分になりますが、そんな暮らし、あまり楽しくはなさそうです。

人間はホモ・ルーデンス。遊び心を失ったら、人が人でなくなってしまうと思うのですが、ヴァーチャルな世界でしか遊べない人が増えているようです。オモチャ箱のような世界に住んでいるにもかかわらず、身の回りのオモチャには見向きもしない。有機質から無機質へ、生物から無生物へとどんどん関心が移ってきているみたいです。

実よりも徒花を取るのが遊び心のはじまりだとしたら、それがホモ・ルーデンスの宿命だったのかもしれませんけどね。でも、この進化は突き詰めると自分たちをも殺しかねません。科学の進歩がいい例で、これも必要に迫られて進歩してきたというより、発明が必要を生み出してきたようなものですから、遊び以外のなにものでもありません。だから一方で生命を作り出すことまで可能にしながら、一方ではその生命を瞬時に消すことができるものまで作り出したりするのです。

夕餉の食卓に蝋燭一本でなんの不自由もなかったのに、電気が普及し出したとたん、それでは暗すぎる。そんなもので読書などしていたら目にわるい、といわれるようになったのですが、テレビの普及、さらにはパソコンのほうが悪影響を及ぼしている、といった具合です。それでも機器は進化し続ける・・・。ほどほどということを知らないからで、遊びというのは足るを知らず、さらなる刺激を求め続けるみたいです。

そんな流れに棹をさしたところで、所詮無駄なこととはわかっていても、やっぱりここは抵抗しておきたいところ。そんなわけで、クリスマスも近いので子供たちへのプレゼント、今年はうんと張りこんでみませんか。お金をかけるのではありません。ちょっと郊外へ出て、どんぐりや松ぼっくり、真っ赤に熟したカラスウリなどを採集するのです。まだ遊び心に偏向が入っていない子供なら、きっと大喜びするはずです。

昨今のオモチャには完成品が多すぎて、子供が創造に参加する余地がない。だから欲しがる割には、すぐに飽きてしまうのだと思います。どんぐりや松ぼっくりでは満足できない年齢になっていても、せめて次のクリスマスまで、想像力を膨らませながら遊べるものを選びたいもの。サンタクロースも楽ではありませんね。

今週の野菜とレシピ

青首大根のサラダ

青首大根もずいぶん大きくなりました。煮物にしても食べきれないときは、サラダにしてみませんか?大根を薄く切るのは面倒なので、ピーラーを使います。大根の先端15センチほどを、尻尾と呼ばれる細い部分を持ってピーラーを使うと簡単。フレンチドレッシングに醤油少々を加えてどうぞ。

このピーラーで薄くそぎ取った大根は、しゃぶしゃぶに加えてもおいしいですよ。京菜も入れると彩りがよくなります。

大根の葉とちりめんじゃこのいため物

大根の葉はさっと湯通しして細かく切り、ぎゅっと絞って水分を取り除いておきます。ちりめんじゃこを油で炒め、大根葉も加えてよく炒めたら、醤油とオイスターソース少々、一味唐辛子で調味。仕上げに煎り胡麻をたっぷり入れて、ふりかけ感覚の常備菜にしておきます。とくに人気があるというわけではありませんが、テーブルに載せておくと、蒸発するがごとく消えてゆきます。

山芋の茶碗蒸し

山芋は青山さんがむかご(自然薯の種)を畑に蒔いて作っています。里芋が肥料食いなのに対して、こちらは肥料分があるとどんどん大きくなるかわり、粘りも滋味もなくなります。粗食で育てたほうが、栄養価が高くなるという変わり種。手間いらずで肥料いらず。ただし掘り出すのが至難の業という代物です。ひげ根をガスコンロの火で焼き、皮を傷つけないように水洗いしてお使いください。

山芋といえばとろろ汁ですが、風邪気味の人には茶碗蒸しがおすすめ。昆布と鰹節で濃いめの出しを取っておきます。擦りおろした山芋に卵1個を割り入れ、塩ひとつまみといっしょによくかき混ぜます。それを茶碗に三分の一ぐらいずつ入れて蒸すのですが、蒸し器を使わなくても、鍋底に水を張って加熱してもOK。強火で蒸しますが、蒸しすぎてもふつうの茶碗蒸しのように口当たりがわるくなるようなことはありません。

出しは塩と醤油で調味して、葛か片栗粉でとろみをつけ、蒸しあがった山芋にたっぷり注ぎ、あれば柚子の皮を添え、スプーンでかき混ぜながらいただきます。身体が芯からあたたまります。ぬるめのお風呂にゆっくりつかるか、足湯をしてお休みください。