イチジクとスズメバチの甘い関係

2009年9月第3週

今週の野菜セット

左から

残暑の勢いも今ひとつ。秋がどんどん進行してゆきます。

例年よりすこし遅れて稲刈りがはじまりました。収穫量は?やはりこのあたりも、例年より少なめ。でも、反あたり一俵ぐらいの減収ですみそうです。

益子GEFの米は、田植えが周囲より遅いので、刈り取りももうすこし先になります。今年の新米は、来月に入るまで入荷できそうにありません。申しわけありませんが、今すこしお待ちください。

今年は虫がすくないと嘆いていましたが、今朝、一匹だけ黄色スズメバチを見かけました。それもイチジクをつまみ食いしているときではなく、なぜが栗を拾っているとき。スズメバチは栗なんか見向きもしないはずなんですけどね。

あんたのお仲間はどうしちゃったの?しばらく話しかけているうちに、スズメバチは地面に舞い降り、まるで蜜蜂のようにサークルダンスを踊り出しました。仲間の居場所を教えているのかもしれませんが、解読不能。たぶん蜜蜂の8の字ダンスとは距離感もだいぶちがうはずです。

でも、まあ仲間がいることはいるらしい。たまには家にも遊びに来てって伝えてよ。ハチはしばらく逡巡していましたが、やがて東の杉林の中に消えてゆきました。その方角に巣があるんでしょうけど、ちゃんと伝えてくれたでしょうか。スズメバチは日本語を理解する唯一の昆虫だと、わたしは勝手に思っているのですが、一抹の不安が残ります。

この続きは日曜日を待ってから・・・。はたしてお仲間は来てくれるでしょうか。

アラレちゃんちのイチジクには、例年通り黄色スズメバチが大挙して押し寄せているそうです。毎朝、あんたたち飛べるんだから高いところの食べてよ。わたしは飛べないんだから、これちょうだい、なんてやり合っているそうです。そして彼女もまた、スズメバチが来ないとイチジクがおいしくならない、といいます。

スズメバチと果実の不思議な関係。スズメバチはまだ果実が花のころから、そこに群がる虫を捕食しています。イチジクは花をつけないかわり、小さな実が春先からついています。それを守り育てるのが狩りバチですから、果樹のほうもかれらには心を許しているのかもしれません。虫除けの忌避物質を作り出す必要もなく、安心して果実の糖度も上げられる。これがおいしさの秘訣なんじゃないでしょうか。

だから熟した実の一部は当然、スズメバチに支払われるべきでそれを惜しんで追い払ったりするから痛い目に遭う。痛い目に遭いたくないからと薬を撒けば、自分が口にするものがまずくなる。そういうまずいものばかり食べているから、人の世も殺伐としてくるのかもしれませんね。

今年は秋の虫が夏の間に活躍しすぎて、もう息絶えてしまったのかと思われたのですが、ここへきてコオロギの羽音がにぎやかになってきました。これを聞いてほっとしました。

しかし、そんなコオロギが家の中に紛れこむと話はまた別で、あんな小さな羽をこすり合わせるだけで、どうしてこんな音になるのか。アンプもスピーカーもないのに、エレキギター並みの大音量なんです。台所の片隅で演奏がはじまると、ラジオの音も聞こえない。会話もしづらい。それが延々と続くのですから、感心しながらも閉口してしまう。明かりを消しても続くんですからね。

やはり虫の音は草むらにあるべきものだと思いました。翌日、窓を全開にしておいたので、エレキギターの騒音は一夜かぎりですんだのですが・・・。さて、スズメバチのほうはというと、やって来るには来ましたが、大群というには寂しい数で、数匹がお義理のようにイチジクの周辺にいただけでした。がっかりしながら近づくと、熟した実にかじりついているのもいて、ちょっと安心しましたけど・・・。

今年、うちのイチジクが不調なので黄色スズメバチの集まりがわるいのか、かれらがあまり来ないからイチジクの熟れ具合が今ひとつなのか、首をひねっているところです。

今週の野菜とレシピ

高橋さんのさつま芋が登場。初物ですから、昔ながらのふかし芋というのはどうでしょう。大きめのものは斜めに包丁を入れてから蒸すと、仕上がりが早くなります。さつま芋をサイコロに切って塩茹でし、残りご飯も加えた芋がゆ。これも肌寒い日にはおいしいものです。

秋茄子は煮ても焼いても揚げても、ただスライスして塩もみしただけでもおいしいものですが、これは身体を冷やします。だから昔は「嫁に食わすな」なんていわれたそうです。嫁いびりという説と、子供を産む嫁の身体をいたわってという説がありますが、できれば後者であってほしいもの。でも、おろし生姜がをたっぷり添えれば、秋茄子も身体にやさしいものに一変します。この両者、相性も抜群ですしね。

落花生は海水ぐらいの濃いめの塩水で茹で、そのまま冷ますとお酒のつまみ。面倒でも、殻から実を出してたっぷりの油で炒め、砂糖と味噌で調味するとご飯のおかず。150度ぐらいの低温のオーブンでじっくり焼くとおやつになります。お好きな方法でお召しあがりください。

落花生

空芯菜はこれが最終便。夏のほうれん草とも呼ばれていますが、そろそろ引退の時期が来たようです。さっと湯がいて胡麻和え、油炒めして軽く塩、胡椒、それに牛乳と味噌少々を加えると目先が変わって、パスタソースにもなります。いずれも火を通しすぎないのがコツ。

来週は待望の青菜、小松菜がこれに代わって登場しそうです。ほんもののほうれん草のほうはだ芽を出したばかり。大根も今はカイワレ状態だそうですが、早く大きくなってほしいですね。

「びわ健」が入荷しています。