豚インフルエンザは騒ぎすぎ?

2009年5月第4週

今週の野菜セット

左から

田植えもようやく一段落。

緊張の糸がふっと緩むときですから、蓄積された疲労が出やすくなります。ということは、豚インフルエンザが蔓延する舞台は田舎ということになってもよさそうなのに、どうしたわけか、そうはならないみたいです。小さな怪獣にライトがあてられ、巨大なシルエットと化した虚像がのっしのっしとビルの谷間を練り歩く・・・。

キングコングやゴジラでお馴染みの光景ですが、ちがうのはスーパーヒーローが登場して来ない点。この際、ヒーローはわたしたちひとりひとりの中にある小さな理性で、大騒ぎをしない。惑わされない。踊らされない。そういう姿勢でいるしかないみたい。あなたもわたしもウルトラマンだったんです。

マスコミにはできるだけ正確な情報を流す義務があり、流言飛語から一般大衆を守るという役割もあるはずなのに、そういう機関が無自覚に与えられた情報を垂れ流すようになれば、マスメデイアと庶民の間に下水処理場みたいな情報の仕分け施設。いかなる権力にも金力にもバイアスを受けない修正機関みたいなものが必要になってくるんじゃないか。インフルエンザ騒ぎの中で、ウルトラマンはそんなことを考えているしだいです。

だいたい豚インフルエンザって、そんな恐ろしいモンだったの?

豚インフルエンザはなぜか高校生が好きみたいですが、それは自分がインフルエンザの気持ちになってみるとよくわかる。だれが好き好んで、田舎のジジババのところへなんか行くものか。かといって、小中学生じゃ子供すぎる・・・。精神的にも肉体的にも境界線上でヤジロベエみたいにかろうじて均衡を保っている、生命としていちばんキラキラしているのが高校生。

だれだって、飛びつきたくなるでしょう?それに今度のインフルエンザがエライのは、抵抗力のない年寄りや子供を狙うのではなく、若者に真剣勝負を挑んでいるところです。悪役なのに、スポーツマン精神に則ったすばらしいウィルスじゃないですか。

こんなときに閉校して、高校生を家庭に軟禁しようという行政の方針がこれまた的はずれというか、愚かというか、ま、ひと言でいうとアホなんとちゃう?こんなときこそ、インターハイでも弁論大会でも、分野はなんでもいいから全国の高校生が一堂に集まるような機会を作ったほうがいいんじゃないでしょうか。豚インフルエンザの毒性が低いうちに感染しておくと、後で毒性が強まっても致命的にならずにすむからです。この秋から冬にかけて、豚インフルエンザが再上陸するのは必至。そのとき、鳥インフルエンザなみに強くなった威力の前でたじたじとなりながら、半年前のあの厚生省の異常反応はなんだったんだろう、と首をかしげながら意識が遠のいてゆく・・・。そんなことにならないために、今のうちに海外でも国内でもできるだけ動きまわり、家庭内の年寄りや子供にも気前よくウィルスのお裾分けをして、川の字になって寝ていたほうがいいんじゃないか。素人考えかもしれませんけどね。

素人考えかもしれませんけど、この国ではマスコミが騒ぎ立てれば無害であることが立証されたも同然なのかもしれません。BSE問題なんて、もう過去のことみたいにしーんとしてるけど、アメリカ牛の輸入は再開されたし、国内牛の問題だって完璧にクリアされたわけではない。

にもかかわらず、マスメデイア内で行われたことといえば、狂牛病という名前はいたずらに恐怖心をあおるという理由から、BSEというアルファベット呼称が採択されたのみで、わたしの知るかぎりでは追跡調査もない。なにしろ潜伏期の長い病気なので、未だ罹患と発病のメカニズムの解明も十分ではないというのに、相も変わらずグルメ番組には、どこそこの牛しゃぶだのステーキだのが登場し「わあ、口の中でとろけるみたい」なんて能天気なことをいっている。この無防備さ、無神経さは犯罪的といってもいいのではなかろうか。

また、アメリカという国では肉屋は巨大産業で、政治を動かす力があるぐらいですから、なにをやってもわれらがミートホープ社みたいに叩かれることがない。中でも厄介なのがアメリカの狂牛病というのがイギリスのそれとはタイプがちがい、別の病名がつけられて出荷されることが多いという点です。そのせいか、アメリカでは若年性認知症の発症率が非常に高い。因果関係が立証されているわけではないとはいえ、用心してかかるべきではないでしょうか。

わが国でも若年性認知症は確実に増えていて、このまま行くとアメリカ並みになるそうですが、呼吸器系の病気とちがって感染率が低いせいか、あまり問題にはならないようです。それともボケてしまえばなにもわからなくなるから、放っておいてもいいとでもいうんでしょうか。

小さな悪は騒ぎ立てて叩くけど、大きな悪は見ないふり。ミートホープ社の偽装は小賢しいものではあったけれども、身体にわるいものが混入していたわけではありません。それをあれだけ騒ぎ立てたんなら、生命のひとつやふたつ投げ出す覚悟で巨悪に立ち向かってもいいんじゃないか。もちろん、これも素人考えですから、プロには通用しないのかもしれませんけどね。

今週の野菜とレシピ

今週は好子さんのきゅうりが入ります。が、先週の通信にも書いたように、気温が高くても地温が上がらないため、作物全体、生育が遅れています。そんなわけできゅうりも3本ずつ、入れられるかどうか・・・。大盤振る舞いというわけには行きませんので、ご了承ください。

きゅうりを縦半分に割って、斜め薄切りにし、ニンニクひとかけもスライス。それを合わせて、醤油を適量かけるだけで、即席の漬け物ができあがります。ニンニクを生のまま?と思われるかもしれませんが、この時期のやわらかいきゅうりと、堀りたてのみずみずしいニンニクに醤油の香りが加わるのです。それがさわやかでないわけがありません。

地温のせいかどうかわかりませんが、ほんとうなら今ごろセットに入る予定だったソラマメも不調で、予定の半量にも満たないようです。今年は全滅した畑も多いようです。

おなじ豆類でも、スナップエンドウは問題なさそう。スジをとってさっと塩茹で。サラダに使うつもりで台所に置いてたら、通りすがりに一本、また一本と消えてゆく。そんな要注意野菜ですが、青いものはすべてダメという子供でも、これは食べる。おやつ代わりにしている人も多いみたいですよ。

ブロッコリーもさっと塩茹でにして、マヨネーズを添えるとおやつ感覚。小松菜ルッコラ春菊はおやつというわけには行きませんので、ここはひとつ旬の桜エビと合わせてみませんか?運がよければ生の桜エビに出会える季節になりました。ちょっと値が張るのが欠点ですが、出会いはやっぱり大事ですから、しょうがない。そういうときは奮発することにしています。

桜エビと春菊のかき揚げ。この両者の出会いは運命的といってもいいぐらいで、相性抜群。ただし、この幸福な出会いも春菊が多すぎると不幸になるみたいです。あまり増量しようなんて考えず、どちらの愛も互角になるぐらいにして揚げると、幸福のお裾分けにありつけて、あつっあつっとなるわけです。

小松菜と桜エビ。こちらの桜エビは干してあるものでOK。量も小松菜1束に対して、小袋ひとつで十分。みじん切りの生姜を炒め、桜エビも加えてカリッするぐらいまでよく炒め、小松菜を茎のほうから炒めます。味つけは塩、胡椒にオイスターソース少々。水溶き片栗粉でとろみをつけ、最後に胡麻油をまわしかけると青菜の中華風炒め、初夏仕様のできあがりです。

ルッコラのサラダにカリカリに炒めた桜エビをのせても美味。カリカリにした桜エビは粉砕して粉末にしておくと、旨み調味料としても使えますよ。

来週は新じゃがが登場。きゅうりももうすこし量が増えてくると思います。