ちょっと変わったイノシシ対策

2009年11月第3週

今週の野菜セット

左から

紅葉が散りはじめました。きれいに彩られていた山々が、ひと雨ごとに寂しくなってゆきます。

それが積もると、今度は山の中が華やぎます。草木染めのカーペットさながらの山道を散策するのは気持ちのいいものですが、同時にそのころ狩猟が解禁になります。うちの裏山は鳥獣保護区だったのですが、近年、イノシシが急増しているせいか、狩猟が認められるようになってしまったのです。

いたるところにイノシシ用の罠も仕掛けられていて、散歩中の犬がひっかかることも稀ではありません。犬の散歩にエチケット袋だけでなく、頑丈なロープが切れるような鋭利なものも携帯しなければならないようです。道路わきの草むらにそんな物騒なものが潜んでいるのですから、そのうち人間にも被害が及ぶようになるんじゃないか。そんな心配も出てくるようになりました。

ま、今のところ、法律で禁止されている「トラばさみ」という金属製の凶器は見当たらない。それが救いではあるのですが・・・。ともあれ、罠というのは地雷同様、無差別攻撃をするものです。そんなものを野放しにしておくのは危険。というわけで、近隣の有志でトラップ・バスター隊なるものを作ったらどうか、考えているところです。

反面、他人の庭先まで侵入してくるようなマナーのわるいハンターには、それ専用の罠か落とし穴があってもいいなあ、なんて矛盾したことを考えてもいるんですけどね。そんなものを作ったら、いちばんに本人が引っかかりそうですが・・・。

冬を目前にして、畑でやることがまだいっぱい残っているのに、なかなかその気になれない。子犬と遊ぶのに忙しくて、そっちまで手がまわらないというのもありますが、畑中、どこもかしこもイノシシの足跡だらけ、というのも仕事がはかどらない一因になっているようです。

今月中にニンニクと豆類の種を蒔くのですが、ニンニクはともかく、豆類はすぐに堀り起こされてしまいそう。そんな懸念があるからです。農家のように生活がかかっているわけじゃないから、電柵みたいな大がかりなものを設置するつもりもないし、お金もない。半分ぐらいなら食べられてもいいけど、全滅となるとやっぱりつらいので、どうしたものか・・・。去年まで、そんな心配は不要だったんですけどね。今年になってそういう問題が出てきたということは、やっぱりイノシシが増えているということです。

最近になって被害を受けるようになったのは、うちだけではありません。近所でも、山の反対側でも、そういうところが増えています。畑のまわりにロープを巡らせ、空き缶や鈴が鳴るように工夫しているところもあります。定期的に銃声を発している一帯もあり、それで思いついたのが昔ながらの「シシおどし」です。竹筒の中に水が溜まると、重みで竹筒が傾き、空になった竹筒が元にもどるとき、コーンという響きが夜の静寂を破るという、あれですね。今では日本庭園の風流を演出する小道具みたいになっていますが、昔は実用品だったはず。

無粋な銃声などより、あっちのほうが音もきれいだし、安上がり。竹を半分に割って、流し素麺みたいな水路を作ってやるだけでいいんですからね。用水路のあるところなら、簡単に設置できるはず。ただし、わが家のような高台では設置したくても、水の確保がむずかしい。そのために夜間だけ、水道水を流しっぱなしにするというのも、なんとなく気がひけますし・・・。

というわけで、今もって無防備のまま。そこで脅したりするのはやめて、お願い方式というのはどうだろう、と思ったわけです。種蒔きをしたら、どうか堀り起こさないでください。来春にはおいしい豆をごちそうしますから、という風に。そして春になってサヤが膨らんできたら、半分だけ残してください。そうしたら、また来年もごちそうしますから・・・。

こんな風に念を送れば、スズメバチが果実類を守ってくれるように、イノシシも野菜を守ってくれるようになるかもしれない。収穫量は半減しても、その分味がよくなれば元が取れるし、イノシシとも共存できる。というわけで一石二鳥です。さっそくコンタクトを試みていますが、どうなりますか。春の結果報告を楽しみにしててくださいね。

今週の野菜とレシピ

今週は白菜が入って、鍋物セットになりました。椎茸春菊といった脇役も揃っています。

白菜一個は多すぎるという向きは、まず外側の大きい葉でロール白菜。内側のやわらかいところで鍋。それでも残るようならスープか八宝菜、というのはどうでしょう。

今週の白菜は大きい

白菜はみごとに育ちました。

ロール白菜はきわめて簡単で、生ソーセージの本数だけ葉を湯がき、くるくる巻きつけて楊枝で留めるだけ。ひたひたよりすこし多めの水で煮て、塩と胡椒で調味しますが、ソーセージから濃厚な出しがとれるので、簡単にできる割においしく、身体もあたたまります。

ハンバーグを多めに作っておいて、残りで八宝菜もどきのスープというのもおすすめです。干し椎茸と生姜、春雨を用意します。白菜はたっぷり。こんなに?と思うような量でも、生姜といっしょに油炒めすると嵩は半分になってしまいます。そこに残りもののハンバーグをサイコロに切って入れ、細切りにした干し椎茸ともどし汁、水を加えて煮ます。沸騰してきたところでアクを取って、塩、胡椒、オイスターソースで調味。最後に春雨を加えて、片栗粉でとろみをつけたら、胡麻油少々をたらして出来上がり。これ、中華街で食べる八宝菜よりおいしいかもしれませんよ。

ほうれん草小松菜には、レシピなど不要ですね。青菜は冷たくても身体をあたためてくれます。たくさん食べて、インフルエンザとは無縁でありたいものです。

京菜とマグロネギトロ

京菜の根元の白っぽい部分を細かく切って、ネギトロ用のマグロをのせ、オリーブ油をたらして塩を添えます。各自、これをかき混ぜながら食べるのですが、これがさっぱりとして鍋物の脇役にぴったり。和風サラダといったところでしょうか。ただし醤油は禁物です。素材のうまみが半減するからで、塩がおすすめ。残った葉のほうはスープかお吸い物、あるいは鍋の中に放りこんでください。