夏の準備
2009年5月第2週

左から
- サニーレタス
- 春キャベツ
- 小松菜
- 京菜
- サトイモ
- ルッコラ
- 春大根
五月の庭は花盛りです。五月晴れの陽光のもと、マーガレットもポピーも芍薬もまぶゆいばかり・・・。
しかし今年は、この五月の代名詞みたいな晴天になかなか出会えません。梅雨のような長雨と曇天続き。気温も低めで、田植え風景がいつになく寒々しく感じられるぐらいでした。
今週はどうなりますか。五月晴れが広がると、気温も上がって初夏の陽気に・・・。花々は輝きを増すでしょうが、箱詰めされた野菜はどうか。気にかかるところです。野菜が届いたら、なるべく早く窮屈なところから出してやり、しんなりしているものがあれば、霧吹きなどで水分を補給してから冷蔵庫に入れてくださいね。
京菜や小松菜といった葉ものには、小さく切った炭シートが入っています。これには備長炭の微粉末が使われており、水分やイオンを調整。小さいながら野菜の鮮度を保持する働きをしています。これを捨てずに取っておくと、ひと夏でけっこうな量になりますから、冷蔵庫や下駄箱の脱臭にご利用ください。また、この小片を掛け時計の裏側、電池の入っているところにテープで貼りつけると、電池の持ちがよくなるんですよ。さらにこれをアルミホイルで包み、空いているコンセントの口を塞ぐと、微量に漏れ出してくる電磁波をシャットアウトすることもできます。
また、枕の中に入れておくと頭部が蒸れにくく、熱帯夜の寝苦しさも軽減されそう・・・。年に一回ぐらい日に当ててやると、半永久的に利用できるシートですから、捨てずにご利用くださいね。
あたたかくなってきたと思うと、もう蚊がいます。空調のあるビルなどでは、真冬でも蚊に食われることがあるといいますのから、この時期に蚊がいたって不思議はないのでしょうが、あまりうれしくはないものです。
昼間の暑い時間帯、蚊は葉陰などで涼んでいて、朝夕の快適な時間帯だけ活動するという贅沢なヤツ。人が庭先で涼んだり、畑で夕飯に使うものを採ったりしていると、どこからともなく現れて痒みを残してゆくのです。中には蚊にたかられやすい人もいて、そういう人といっしょにいると被害を被ることはないのですが、ひとりだとどうしても食われることになります。そこで、わたしたちはこの時期からりんご酢を飲みはじめます。
夏になると、蚊の巣窟みたいなところで仕事をすることもあるので、りんご酢は欠かせないのです。一日にお猪口一杯分ぐらい。飲みづらいので蜂蜜を入れ、風呂上がりに水で割って飲んでいます。こうしておくと蚊にもブユにも食われにくく、まれに刺されることがあっても、ほとんど痒みを感じないですむんですよ。
米酢やワインビネガーより、りんご酢がいいみたいです。これをはじめたのは、りんご酢と海藻エキスを飲み水に混ぜておくと、放牧中の牛が虫に食われないという報告があったからで、うちの山羊に飲ませたのがはじまりでした。そうしたら山ダニもつかなくなりましたからね。海藻エキスは植物にも使いますが、こっちのほうは飲めた代物ではありません。ま、できるだけ昆布やワカメを食べるようにはしてますが・・・。
りんご酢だけでも効果は十分です。わたしみたいに畑仕事がある者は今から飲んでおく必要がありますが、そうでない人は山歩きやキャンプに出かけるすこし前でもOK。二~三日で効果は出てきますが、夏バテも防止してくれるので、暑くなってきたら飲んでおいたほうがよさそうです。ただし、いくらりんご酢を飲んでいても、バーベキューパーテイーなどでアルコールが入ると、蚊はおかまいなしに寄ってきますので、念のため。
日中の気温が高くなると、このあたりでも夕刻、オケラが鳴くようになりました。
先日、洗濯物を取りこんでいた娘が飛びこんできて、地面から変な音がするというのです。ジーッという電気が漏れるような音がしているが、庭先になにか埋まっているのか?そんな馬鹿な・・・。これはオケラでしょう。けっこう大きな音だけど、オケラの声。いや、正確には羽音なのです。
オケラといっても娘にはピンと来ないようでした。それもそのはず、このあたりにはオケラなど、つい最近までいなかったのです。わたしは関西に住んでいたことがあるので、子供の頃、地面の穴に細い棒を入れてオケラ釣りをしたことがありますが、夏の夜、ただでさえ暑いところにジーッというオケラの声が地中から湧いてくると、暑さが倍増したものでした。
そのオケラが北上してきたのです。オケラは畑の害虫ですから、薬物を使わない駆除法を好子さんに教えてあげようとして、逆にオケラってなに?とポカンとされたのが十年くらい前のこと。その好子さんが血相変えて、うちの畑から変な音が聞こえてくる、と事務局に飛びこんでくるのもそう遠い話ではなさそうです。
このジーッが、温暖化の足音だったというわけです。今日はいいお天気だったので、夜になればまた聞こえてきそうです。虫の羽音はたいてい風流に聞こ
えるものですが、オケラは妙に機械的。しかもうるさい。大地が危険信号でも発しているように聞こえるんですね。
おなじ地中にいる虫でも鉦叩きというのがいて、こちらのほうは夜も更けてあたりが静まりかえったころ、不意にチンと鉦を鳴らすような音を立てるのですが、オケラとは対照的に控えめで涼しげな音。こういう風流な虫は北上するどころか、温暖なところでも減少傾向にあるんだそうです。皮肉なものですが、それもこれも人の営みのなせるワザなのでした。
今週の野菜とレシピ
今週も好子さんの大根とキャベツが入ります。どちらも先週より大きくなっているはずです。
やわらかい春キャベツはどう料理しても、いや、料理などせずにそのまま食べてもおいしいものですが、東京都にお住まいのNさんから甘酢和えのレシピをいただいています。
用意するものはキャベツのほかに生姜ひとかけ。酢:2、砂糖:1の割合で甘酢を作り、塩と胡麻油少々で味をととのえ、千切りにした生姜を混ぜておきます。キャベツは4センチ角のざく切り、とありましたが、わたしは手でちぎってみました。どちらでもお好きな方法で・・・。たっぷりの湯を沸かしてキャベツを入れ、ひと呼吸おいてからザルに取って水気を切ります。キャベツがあたたかいうちに甘酢に漬けてできあがり。
さっぱりとして美味。難点はいくらでも食べられることで、家族が多いと欲求不満が残るかも・・・と、よけいな心配をしてしまいました。Nさんも食べ足りなかったのか、スーパーで春キャベツを買ってきたそうですが、やっぱりキャベツがちがうとダメだったみたいです。
青山さんの里芋。こんな時期に里芋が入るのは、これが「さなぶり」に欠かせないものだからで、早苗の振るまい。すなわち田植えが終わった後、餅をついたりぼた餅を作ったりして、手伝いの労をねぎらう席に里芋の田楽が欠かせないものだからです。秋に収穫した里芋を埋めておき、早春、それを種にして残ったものを利用するという、合理的な面もあります。
里芋を皮つきのまま湯がき、冷ましてから皮を剥いて串に刺し、木の芽や胡麻入りの味噌をのせます。が、ここは簡単に味噌和えにしましょうか。味噌は砂糖と味醂を加えて火にかけ、練ってからお使いください。
サニーレタスはサラダにかぎらず、春雨といっしょに中華風のスープにしても・・・。小松菜は味噌汁かおひたし、京菜はサラダにご利用ください。
フキは伸びがわるいので、来週まわしになりました。来週には好子さんの絹さやときゅうりも入りそうです。