子犬版・座頭市の話

2009年11月第1週

今週の野菜セット

左から

今年は十五夜も十三夜も晴天に恵まれ、きれいなお月さまを拝むことができました。十五夜の五本、十三夜の三本、計八本のススキは玄関先で年を越し、来秋まで無病息災か家内安全か知りませんが、月光をたっぷり浴びたエネルギー体となって、なにかしら効力を発揮してくれるそうです。

月夜のお供えは、夜明け前にカラスが攫って行くんでしょうね。それとも野良猫?空になった皿が三方の上に行儀良く並んでいます。お供えものが完売するのも、たぶん吉兆。いい冬が迎えられそうな気がします。

今年はウサギならぬ子犬が、月明かりの下を跳ね回りました。子犬のサイズが、大人になったウサギとおなじ大きさで、色も月夜のたびにジャンプしていたモモとおなじ黒。庭先に穴を掘って自活しているかと思えば、山羊と同棲していたり・・・。楽しいヤツでしたが、いかんせんウサギの寿命は短いんですね。その後も引き取り手のない子ウサギを連れて来たりしましたが、モモのような出来のいいのには巡り会えず、室内でウンコはする、ちょっと外に出せばタヌキにやられる。トンビにも攫われる。かといって、狭い檻の中に入れておくはイヤですからね。うちに来るのは、勘と頭のいいのでないとダメみたい。

で、今回わが家に来ることになった子犬は生後一ヶ月。たまたま猫の体調がわるいので獣医のところに行ったとき、待合室にいたのですが、河原で拾った子犬のうち、どうもこれだけ目が見えないようなので診察を受けにきた、という話です。盲目だったらどうするの?動物愛護協会に連れて行くしかないでしょう。かわいそうだけど、しょうがない。だって、盲目じゃどうしようもないでしょう、と怖い顔をされました。

診察の結果は全盲。そんなわけでわが家に来ることになったのですが、どこが全盲なのか。猫と遊べば的確に相手を追うし、狭いところを走りまわっても障害物をみごとに避ける。呼べばまっすぐ飛んで来ます。ただ、ふつうの犬のようにこちらの目を見ていないだけ。

アラレちゃんいわく。この子、詐欺なんじゃないの?全盲っていわなかったら飼ってもらえないよ、って先生にいわれてるのかもしれない。そんな疑惑が生じても不思議でないぐらい、なんの支障も感じられないのです。目が見えない分、ほかの感覚が冴えているのですから、見えないからといって「どうしょうもない」ことはないのですね。逆にふつうの犬にはない能力が備わっている分、優れているのかもしれません。

座頭市がやたらと強いのも、目が見えないからで、あれがふつうの人だったら気配で人を斬ることはできなかったはず。ま、これは映画の話ですけどね。クウがどんな成犬になるか、期待しすぎてはいけないんでしょうけど、ついつい想像が膨らんでしまいます。それに親バカまで加味されるから困ったもんです。

先日、真岡市内のKさんのお宅に野菜セットを届けた際、向かいの家の前にいた子猫。これもやはり生後一ヶ月ぐらいでしょうか。体温が下がって動けなくなっていたのが、アラレちゃんのお姉さんの家に引き取られました。

体温はすぐに上がって元気になりましたが、猫ヘルペスに罹っていました。目と鼻がやられ、放っておくと失明する病気ですが、事務局にいる子猫もおなじ症状だったので、真岡市内で流行っているみたいです。

それもずいぶん改善されて、今まで来た子猫の中でいちばん活発、というぐらい元気になっているそうです。Kさんが気にかけておられるのですが、なかなかお目にかかる機会がないので、ここでご報告。

問題はというと、ひさしぶりの子猫なのでみんなに甘やかされ、テーブルに上がっても咎められないぐらいですから、もうやりたい放題。小さいうちにしつけておかないと、成猫になってから困るんじゃないかと、第三者がやきもきしているしだいです。

でも、こうやって家族が増えて行くのって楽しいですね。大変なところもあるのですが、子供が巣立った後の家庭は高齢化が進むばかり。そこに子犬や子猫が入ってくると、灯りがついたように家の中が華やぐのです。うちの母もひさびさの育児でいくらか若返ったみたいですから、子供のエネルギーって、人も動物もすごい力があるんですね。

今週の野菜とレシピ

大根は先週よりも大きくなっているはずです。生育の差はあるかもしれませんが、今週あたり、そろそろ煮物にできるサイズになっているんじゃないでしょうか。

ちぢみホウレン草。これは霜にあててから出荷するタイプのホウレン草なのですが、このところ日中の気温が高いので、霜が降りる前に大きくなってしまったそうです。行儀わるく袋からはみ出しているかもしれませんが、葉も茎もやわらかいはず。おひたし、胡麻和えでどうぞ。

京菜も先週より大きくなっています。この大きさになると、一夜漬けがおすすめです。塩が浅いとなかなかうまく漬からないので、多めに塩をふり、食べるときに水洗いしたほうがプロっぽく仕上がります。鰹節をかけるとさらに美味。新米には青菜の漬け物がいちばんよく合うんじゃないでしょうか。

ラデイッシュは塩かマヨネーズで・・・。牛蒡は薄く斜め切りにして、醤油をからめるとすぐにしんなりして、香りのいい即席漬けに早変わり。牛蒡は皮の部分に栄養が集中しているので、これを剥いてしまったら残りカスを食べることになります。だから洗うときもタワシは禁物。皮を傷めないよう、やわらかい布を使うようにしてくださいね。

パセリはきざんで薬味にするだけでなく、てんぷらにするとおいしいですよ。竹輪やハムといっしょにかき揚げにしても美味。翌日、それを卵でとじてご飯にのせるともっと美味です。

椎茸はスライスして冷凍しておくと、味も香りもよくなります。小松菜のスープにそれをすこし入れるだけで、味と香りがぐっとアップ。スープといっても出しは味噌汁同様、鰹節か煮干しで取り、小松菜がやわらかくなったら椎茸を凍ったまま入れ、塩とオイスターソース少々で調味するだけ。簡単な割においしいのでお試しください。