田舎のお盆

2009年8月第2週

今週の野菜セット

左から

この夏は、梅雨が明けないままお盆を迎えることになりそうです。お盆を過ぎると、このあたりでは朝夕の気温が下がり、秋風が立つようになります。ということは、ついに夏を経ることなく、秋の収穫シーズンを迎えるわけで、心配通りのシナリオになってしまいました。

こうなったら、もう残暑に期待するしかなさそうです。暑いお盆になってくれるといいですね。

このあたりは、お盆になると人口が急増します。車は混むし、スーパーマーケットなどは長蛇の列。数年前まで、わたしもそういう暑苦しいものとは無縁でいられたのですが、父が亡くなって、そうもいってられなくなりました。なんとなく気ぜわしい一週間になりそうです。

お盆を境に、農作業も忙しくなってきます。草刈り、夏野菜の収穫に追われながら、冬野菜の種蒔き、苗作りがはじまるからです。夏野菜の種蒔きは半月ぐらい遅れてもさほど影響ないのですが、冬野菜の種蒔きは三日遅れると、収穫が一ヶ月遅れるといわれているぐらいですから、もたもたしてはいられないのです。

かといって、早すぎると新芽が虫に食われたり、高温でとろけたりしてしまう。毎年異なる気象条件のもと、適期を選択するのもたいへんだと思います。それも野菜によってちがってくるのですからね。

最近よくいわれるのが、農家の多くが種蒔きの適期を知らず、人間の都合で動くようになっていること。植物の都合や天候を無視して農作業を進めるのですから、まともな野菜ができないのも当然だというのです。季節外れの野菜を作るのが農業の主流になり、値崩れしやすい旬野菜が敬遠されるようになっていますから、それも無理のないことかもしれません。

案外、家庭菜園の熟練者のほうが野菜のことをよく知っているのかもしれませんね。小規模農園のほうが農薬に依存することもないので、そんなミニ菜園を結集させたら、すばらしい八百屋ができるんじゃないか。スーパーの長蛇の列に並びなから、ぼんやりとそんなことを考えていたのですが・・・。

でも、それまで趣味で作っていた野菜が商品になってしまったら、作り手の意識も変わってしまうのかもしれません。お金って、こわいですからね。人間の拝金主義がなくならないかぎり、野菜はよくならないし、環境問題が解決されることもない。自然の荒廃は、わたしたちの心の荒廃に繋がっているんでしょう。だから自然災害も、犯罪の増加に比例して多発しているのかもしれませんね。

8月10日午前10時現在、台風9号が和歌山県潮岬沖に接近中。こちらも昨夜から激しい雨が降っています。

先日の福岡市の大雨では、市内にお住まいのKさん宅の前の道路が川になってしまったそうです。さいわいKさん宅は浸水を免れましたが、今年は台風が多発しそうです。みなさんのお住まいの地域でも、なにが起こるかわかりませんが、なぜか益子GEFの会員の方々は過去にあった大地震でも、大雪や風水害でも、被害を受けずに済んでいます。

お見舞いしたみなさん、口をそろえて「野菜に守られている」とおっしゃいましたが、真偽のほどはともかくとして、この20余年のうちにそういうジンクスができあがったことはたしかです。そしてこのことは、わたしたちを無用な不安から解放してくれました。情報に流されないというのは、非常時にはいちばんたいせつなことですからね。

そんなわけなので、みなさんもなにがあろうと心を乱されませんように・・・。平常心でお過ごしください。

今週の野菜とレシピ

今週はひさびさにじゃが芋が入ります。玉葱同様、これも市場で高騰していると聞き、急遽メニューに参入しました。トマトサラダもいいけれど、食欲のないときにはボリュームのあるポテトサラダがいいかもしれません。

茄子も復活してきました。これも日照不足で高騰しているみたいです。冷夏の影響はしばらく続きそうですが、そこは好子さん。日照不足でも、野菜たちは彼女からパワーをもらっているみたいです。

空芯菜は曇り空でも、湿度さえ十分にあれば機嫌がよさそうで、どんどん繁茂しています。一方、多湿は苦手なはずのモロヘイアもよくがんばっています。いずれも貴重な夏の青菜です。どちらも味噌汁に使ってみたら、意外にマッチして美味でした。

ゴーヤのフライカレー風味

ゴーヤはかなり一般的になってきたとはいえ、子供たちにはあいかわらず人気がありません。でも、ゴーヤを輪切りにして中の種を抜き、そこに塩とカレー粉で風味をつけた挽肉を詰め、小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣をつけて揚げると、苦みが感じられなくなるせいか、子供もよく食べてくれます。ソースはケチャップに醤油を加え、摺りおろした玉葱を少量加えて・・・。

ゴーヤのフライカレー風味

苦みが好きな場合には、ワタの白い部分を多めに残すようにします。

ゴーヤの甘酢漬け

血糖値の高い方は、種とワタもいっしょにスライスして軽く塩もみ。それから甘酢に漬けてみてください。甘酢は酢:1、蜂蜜:1の割合で作ります。砂糖ではなく、蜂蜜を使うところがポイントで、これもゴーヤの種とワタ同様、血糖値を下げる働きがあるそうです。

トマトの鉄板焼き

オクラ九州風

オクラはさっと湯通ししてから小口切りにして、鰹節と酢醤油で・・・。これは昔、九州を縦断する旅行をしたとき、鹿児島から北九州まで、すべての旅館で供された記憶があります。以来、ずっと作り続けているのですが、最近ではこれに納豆を加えたりしています。てんぷらにしてもおいしいですよ。

トマトの鉄板焼き

トマトが減速してきたようです。今週いっぱいでメニューから姿を消してしまうかもしれません。来週はまた、あのカボチャが入ります。