実りの秋
2009年9月第4週

左から
- サトイモ
- ルッコラ
- マイタケ
- シソの実
- ミョウガ
- 古漬け
- 長ネギ
- ミカン
遅ればせながら、実りの秋。忙しい季節になってきました。
稲刈りのような大仕事とは無縁ですが、あれやこれや拾いものが多くなってくるからです。朝起きたらまずイチジクの実をもいで、その場で食べるのが朝ご飯。口をもぐもぐさせながら移動して、今度はひとしきり栗を拾います。重くなった袋をぶら下げて畑を横断する途中、もうひとつの小さな袋に紫蘇の実も集めなければなりません。
仕事を終えてからは、近所の神社か公民館、そのどちらかに立ち寄って、夕暮れが迫るまで木の実拾い。神社の境内にはシイの実が、公民館にはカヤの実が散乱していて、だれも拾う者がないからです。
なぜ拾わないのか、近所の人たちに聞くと「昔は食べたんだけどねえ」でも今はナッツ類が手軽に買える。なにも拾って食べる必要はない、というんです。そういう問題だろうか、と思うんですけどね。どこのものとも知れない、加工されたナッツはたしかに安価で手もかかりませんが、あまりおいしいとは思えない・・・。
シイの実は素朴な味ですが、甘みがあります。これは拾ってきたものをすぐに食べないと虫が入る。手軽な分、保存がむずかしく、いろいろやってみましたが、結局食べられなくなってしまいました。このあたりには野生のリスもいるので、食べられそうな分だけ持ち帰ることにしています。
一方、カヤの実のほうは処理に時間がかかります。梅の実のような外皮からアーモンド大の種を取り出すのですが、このときヤニで手がべたべたになるかわり、すばらしい芳香に包まれます。銀杏の悪臭とは大ちがい。ドライジンに甘みをプラスしたようなさわやかさで、こんな香りのシャンプーや化粧品があるといいのになあ、と思いながら毎年皮を剥いています。
これは一週間、草木灰を入れた水を取り替えながらシブ抜きをして乾燥。手間がかかるかわり、保存が効くのです。これをローストすると、堅焼きクッキーのような食感。ほのかな香りが鼻に抜けます。どうしてこんなおいしいものをみんな食べないのかなあ、と思うのですが・・・。
今のところ、カヤの木の存在はイノシシに知られていませんが、これも時間の問題だと思います。隣家のクルミがイノシシに嗅ぎつけられたぐらいですから、こんなおいしいものをかれらが見逃すはずがありませんものね。あと何年これができるかな、と思いながら貴重な実を拾っているしだいです。
木の実拾いも忙しいけど、小さな菜園とはいえ、畑仕事のほうも急がねばなりません。夏野菜は半月ぐらい種蒔きが遅れても、ほとんど遅れがないのですが、冬野菜は三日遅れただけで収穫がひと月ちかくも遅くなるんです。うっかりしていると、生育もおぼつかなくなるぐらい。
その「うっかり」を今年はやってしまったんですね。慌てて大根やかぶの種を蒔いたのですがどうなりますか。もちろんプロの農家はそんなヘマはやりませんから、ご心配なく。
このあと、漬け物用の白菜やら、青山さんから分けてもらうブロッコリーやら、いったいどこに植えようか、と頭を抱えているところ。面積は十分あるのですが、その大半がコスモスに占領されているからです。あれをどこから処分するか。花の盛りに刈り取ってしまうのは勇気の要ることですからね。
なぜ、こんなことになってしまったか。毎年、後悔するのですが、畑の中に小さなコスモスが出てきたとき、その大半は草といっしょに抜き取ってしまうのですが、なんとなく気がひけて、まあ、これぐらいは残してもいいか、たいして邪魔にもならないし・・・なんてつい思ってしまう。思ったときは小さな苗がひと夏の間に巨大化。気はついたらあっちもこっちもコスモスだらけ、ということになってしまうんですね。
春はそれがポピーに取って代わって、訪れた人から「麻薬でも作ってんの?」といわれる始末。コスモスもポピーもかわいいんだけど、巨大化するとその重量も半端じゃなく、引き抜こうにも引き抜けない。まず根元から切って、根を弱らせてから引き抜くしかないのですが、その労力もさることながら、花の盛りにそれをやらなくてはならないのがちょっと憂鬱。
人の背丈よりも大きくなったコスモスの根元にしゃがみこむと、情け容赦なくそれができるけど、花と目が合ってしまうとダメ。そんなわけで畑の中を這いまわることになります。来年は心を鬼にして、小さいうちに抜いてしまおう。毎年、そう思っているんですけどね。
今週の野菜とレシピ
舞茸
自然林で栽培された舞茸が入りました。水洗いは禁物。刷毛のようなもので汚れを落としてください。舞茸はほとんど捨てるところがありません。手で裂いてザルに広げ、半日ぐらい風干しすると香りがよくなります。油炒めして醤油で濃いめに調理。それを炊きたてご飯やパスタに和えて、秋の香りをお楽しみください。

里芋は500グラムと少量ですが、初物なので・・・。堀りたてなので、水洗いしてから包丁の背でこすると簡単に皮が剥けます。醤油とみりんでさっと煮るか、ネギといっしょに味噌汁にしてどうぞ。
小松菜の生育が今ひとつなので、ルッコラと抱き合わせという形になりました。
古漬け
きゅうりの生育も思わしくないので、青山さんのお母さんが古漬けを提供してくれました。心強い助っ人です。
きゅうりを塩漬けしてから、おからを加えてさらに漬けこむのが青山流。おからを入れたほうが歯ごたえがよくなるんだそうです。古漬けは小口切りにしてから一昼夜、塩抜きをしてください。途中で水を替えてくださいね。
紫蘇の実
その間に紫蘇の実も半日ぐらい水につけてアクを抜き、水気をよく切ってから、小口切りにした唐辛子といっしょに醤油をからめておきます。辛みの少ないタイプの唐辛子ですが、辛いのが苦手という方は青いほうだけ使ってくださいね。塩抜きをしたきゅうりに醤油漬けの紫蘇を加えたら、自家製キュウリのキュウちゃんのできあがり。お好みできざみミョウガを散らしてどうぞ。

梅干し
また、今週は梅干しが入る予定でしたが、今年は梅の収穫量がすくなったようで、野菜セットに入れる分がないそうです。梅干しを希望される方は、申しわけありませんがご注文ください。南高梅500グラム入り:1200円でお分けしています。