ゴールデンウイークの風景

2009年5月第1週

今週の野菜セット

左から

初夏の日射しがもどってきました。とたんに暑くなって、げんなりしそうですが、こんなときは生き生きとした植物たちを見倣いたいものです。

ぴかぴかでつやつやの若葉が、雨が降れば雨によろこび、風が吹けば風とたわむれ、灼けるような日射しの中でさえ、光に向かって伸びあがろうとしています。こんなことをいうと笑われるかもしれませんが、樹木というのは人が進化したものではないか、と思うことがあるぐらいです。

すべてをよしとして受け入れながら、文句もいわず、ひたすら空気を浄化しながら酸素を作り、動物たちを生かし続けているのです。とりわけ太陽光の利用に関しては、最先端のエンジニアも脱帽です。そこから栄養分まで取り出しているぐらいですから・・・。

いつか人類も、光合成という技術を手に入れることがあるんだろうか。肉体が改造されれば、当然、精神構造も変わってくるはず。そうしたら地球も進化して生まれ変わるんだろうけど、そこにはどんな世界が広がっているんだろう・・・。新緑の中を歩いていると、そんな夢想が現実味を帯びてくるから不思議です。

夢想はあくまで夢想ですが、それが及ぼす効果はいたってリアルで、身も心も浄化されたように軽々とした気分。もっともそれが森林浴効果といわれれば、おっしゃるとおりなんですけど・・・。

人間界に目を転じると、益子の町中は陶器市でごったがえし、混雑を避けて農道に入ると、そこは田植えで大にぎわい。どこへ行っても人、人、人で、人混みに慣れない田舎モンは疲れます。

この人、人、人が消えた跡はゴミ、ゴミ、ゴミ・・・。そして陶器市の後、かならずといっていいぐらい、迷い犬が心細げに、あるいは悠々と町の中を彷徨うのです。人の営みはかくも罪深く、ゴミの山、動植物の犠牲の上に成り立っている。やっぱ、光合成だよなあ、とここでも再確認したしだいですが、いきなり光合成なんてハイテクは無理でも、ちょっとした心遣いで世の中は変わるんじゃないでしょうか。

そこにちょっとした我慢が加われば、世界が大きく変わるはず。だいたいわたしたちは暑いの寒いのと騒ぎすぎです。夏暑く、冬は寒いのがあたりまえなのに、人の暮らしだけぬくぬくと、夏は涼しくさせた結果がさらなる酷暑を生み、冬には死ぬはずのダニやゴキブリまで繁栄させてきたわけです。邪魔者は消してしまえと薬殺すれば、それが巡り巡ってアレルギーとなって帰ってくる・・・。

以前、こんなクイズが雑誌に載ったことがあります。Aという国は蚊が多く、蚊が媒介する病気も多発しています。一方、Bという国には蚊がいないから、殺虫剤も必要ないし、蚊が媒介する病気もない。さてAとB、どちらが豊かな国でしょう、というのがそれで、豊かさの基準となる国民総生産量が高いのは、いうまでもなくAなのでした。皮肉な設問でしょう?

つまり、わたしたちが豊かさだと思っているものは、じつは貧しさであり、居心地のわるさだということをいっていたのです。二十四時間営業のスーパーマーケットがあるという便利さは、深夜に買い物しなければならない人がいるという不自由さの裏返しであり、そこで季節には関係なく、四季の野菜がなんでも揃っているというのは、ほんとうにおいしいものが失われてしまったということにほかならない。そのクイズはそんなことも指摘していたのでした。

そんなわけで、また山の中にもどります。そして山の中から人の痕跡をひとつ、またひとつと消しながら歩きます。

ハンターの落とし物は薬莢にペットボトル、コンビニ弁当。山菜採りも、お昼に食べたものをそっくりそのまま残して行くようです。連休が明けるころには、バーベキューセットがひと揃い。鉄板から野菜クズ、エバラ焼き肉のたれの新しいビンまで、きれいに残っていたりするんですよ。

中には連休中に布団一式とか、古着をごっそり捨てて行く人がいて、それも道ばたに置いて行ってくれればいいものを、いくらかは罪悪感もあるのでしょうか。そういうものにかぎって谷底に投げ捨ててあったりするのです。それを足場のわるい急斜面を、えっちらおっちら汗だくになりながら持ち上げる。山歩きが気楽な散策から苦行に変わる瞬間です。

苦行といいつつ、そんなことを続けているところを見ると、どうもそういうことが好きみたい。レクリエーションと化しているみたいなところがあります。公徳とか美化だとか、そういう金科玉条があったって、面白みのないことは続くわけがありません。もしかしたらわたしは八百屋などでなく、屑屋が天職だったのかもしれない、と思うこともしばしばですから、ただの散策や森林浴じゃ退屈なのかもしれません。

その一方で、ゴミを拾わずにいられない人というのは、じつは業が深く、その埋め合わを必要としているのかもしれない、と思うこともあり、その伝でゆくと、そこらにゴミをぽいぽい捨てられる人というのは、意外に純真無垢だったりして・・・。ちょっと見ではわからないのが人間社会。最後まで読まないと犯人がわからない推理小説みたいなところがありますからね。

今週の野菜とレシピ

好子さんのキャベツが入りますが、今週はまだ小さめ。結球もゆるく、ふわふわしています。わたしは一枚ずつはがして、塩をつけて丸かじりしてしまいました。量はないけど、甘くて美味でしたよ。

サニーレタス。手巻き寿司風にご飯と、辛みのきいた肉味噌を包んで食べるのがわが家風。こどもの日はこれに薄焼き卵を加えて、サニーレタスの上に卵をのせ、ご飯ものせて、好みの具を包んで食べるというのはどうでしょう。具にはマグロのづけ、焼き肉、ハムやアボカドなどを用意します。お寿司よりこちいのほうが人気があるみたいですよ。

春大根も小ぶりです。サラダ、一夜漬け、大根おろしなどでどうぞ。

葉玉葱は食べやすいように玉の部分を半割に、青いところは3~4センチに包丁を入れ、油炒めにします。味つけは味噌と砂糖のみ。

山ウドはてんぷら、もしくはきんぴらで・・・。

今週はフキが入る予定でしたが、まだ背丈が小さいので延期になりました。来週には大根もキャベツも、もうすこし大きくなっていると思います。