犬の躾、子供の躾

2009年11月第4週

今週の野菜セット

左から

先週末は晴天に恵まれて、ひさびさの小春日和となりました。猫だけでなく、犬もぽかぽか陽気をエンジョイしていましたが、日曜日にはまた不機嫌な空模様。寒空の下、ニンニクとソラマメを植えつけて、今年の畑仕事を終了させました。

これからはのんびり、ゆったり焚き火三昧の日々。燃やすものは山ほどあって、夏草や夏野菜の残骸に加えて、一面に茂っていたコスモスや百日草、さらに落ち葉や栗のイガをかき集めると膨大な量になります。それを畑のあちこちで焼くとお灸とおなじ効果があるんじゃないか。ツボがどこにあるのかわからないので、あちこちで燃やすことになるのですが、このミニ焼き畑、土壌の活性化には役立っているみたいです。

温灸効果はさておいても、燃やした灰はそのまま肥料になりますし、香ばしい煙は風向きによってあちこちに漂いますから、それが樹木や冬野菜の虫除けにもなる。とくにモミガラ燻炭を作るときなど、あたり一面に木搾液の酸っぱい香りが漂うので、虫除け効果は絶大です。

焚き火のもうひとつの楽しみは、さつま芋を中に忍ばせておくことで、焼き芋はやっぱりこれがいちばん。犬もこれが大好きで、あつあつのうちは転がしておもちゃにさせ、ほどよいところで半分ずつ分け合って食べるという楽しみが増えました。

引き取ったとき、一キロにも満たなかった子犬が、三週間経った今では四キロ。一週間に一キロずつ増えている計算です。よちよち歩きも卒業して、ものすごい勢いで駆けまわるようになりました。コレクションもはじめのうちは松ぼっくりぐらいでしたが、今やカーペットの上に長靴やら洗車ブラシが転がっている始末。掘り炬燵の中から、行方不明になっていたサンダルがごろごろ出てきたこともありますから、油断も隙もありません。

家人は食傷気味ですが、子供のうちはやりたい放題させるのがわたしの方針で、行動を制限しながら躾をしたのでは、大きくなってから、こちらが見ていないときになにをするかわからないからです。やっていいこととわるいことを自分で判断できるようにするには、やりたいことを全部やらせておく必要があるんですね。

山羊を飼っていたときにそれを実感したのです。裏山に捨てられたオスの子山羊がうちに来たとき、ちょうどいたずら盛りでまさにビリーザキッド。ビリーはオス山羊、キッドは子山羊の俗称ですから、いたずら好きの暴れん坊といったところでしょうか。まず、家のまわりにあるものをみんな倒してしまいました。椅子やテーブルのみならず、洗濯機や物置の棚までです。

そして角が立派になってくると、縁側の大きなガラスを一枚ずつ割りはじめました。割れたガラスを薄氷でも踏むように、蹄で粉々にするというおまけつきです。夕刻、帰宅したわたしが黙ってそれを集めていると、ごめんね、というように後ろでうなだれているのですが、翌日、またおなじことをやる。今度はガラスをかたづけながら、こめんね、というのも無視して泣いているふりをしました。ほんとに泣きたい気分でしたからね。これは効果がありそうでした。三日目、どきどきしながら帰ってきたら、またやられてて、四日目、もうどうでもいいや、と憮然としていたら最後のガラスは無事だったのです。そこでガラス屋さんを呼んだのですが、ガラス屋さん、いったい何があったんですか、と目を丸くしてました。しかしその後、二度とガラスに手を出すことはなかったのです。

もしもあのとき、一枚目のガラスを割られた時点で、山羊の行動を制限していたらどうなっていたでしょう。不満だけが残ったはずです。しかもガラス割りの快感は忘れられない。チャンスさえあればやるでしょうし、オトナのオス山羊がその気になれば、どんな頑丈な柵でも壊すことができるのです。そして暴れ出したら、大の男でも抑えきれない。山羊を制することができるのは、当の山羊しかいなかったんですね。

いちばんの問題は畑の食害でしたが、それも一年目だけ。二年目からは、食べていいものとわるいものを自分で判断するようになりました。わたしが青菜を出荷していたときなど、生育中はもちろん、それを出荷しているときはけっして口をつけません。そして、これはもう来週は大きくなりすぎて出せないな、とこちらが思ったとたん、待ってましたとばかりに食べはじめる。そんな山羊になってくれたので、オトナになっても行動を制限する必要がなく、好き勝手にさせることできたのでした。

山羊から学んだことは多々ありますが、いたずらの激しい子供ほど頭がよくなる、というのもそのひとつ。子供の頭脳というのは、動きが制限されると発達しにくいものだそうで、わたしが子供を産んだとき、心理学をやっている先生にいわれたのが、静かにしなさい、おとなしくしていなさい、だけは絶対いうな。どんな汚い言葉を吐いてもいいから、というアドバイスです。

それを忠実に守ったものですから、お宅の子はなんでそんなに騒々しいの?といわれるぐらい。学校の先生方からも、落ち着きがないといわれたものです。その割には、山羊ほど賢くなれなかった?そんな気がしないでもないのですが、ま、みなさんのお宅のキッズもちいさいうちに思う存分、したい放題させておいたほうがいいと思いますよ。躾というのは行動を制限することでなく、自制心を育てることなんですから。

今週の野菜とレシピ

ようやく北海道から玉葱が届きました。今年は夏の長雨で、玉葱、じゃが芋ともに収穫量が半減しているそうです。それまでは旱魃続きで、これからはスプリンクラーなしで玉葱は作れないかもしれない、なんていってたんですけどね。気候に振り回されるのは、いずこもおなじです。

ター菜は大ぶりの花のような姿形をしています。小松菜をやわらかくしたような感じで、食味もこちらのほうが濃厚。炒めもの、中華風スープにお使いすください。

ルッコラはサラダ用ですが、たまにはご飯のおかずにもなる和風サラダというのはどうでしょう。油揚げをオーブンでかりっとするまで焼き、細切りにした上にルッコラを散らし、醤油をかけるという簡単なものですが、ルッコラの胡麻風味が油揚げとよく合います。

ほうれん草のサラダ

ほうれん草のサラダというのも意外なおいしさで、年に一度は食べたくなるもの。これもかりかりの油揚げとよく合います。もちろんかりかりベーコンでもいいんですけどね。あるいはさっぱりとりんごと合わせても・・・。ドレッシングは酢:1に対して油が5~6、塩、胡椒に醤油少々をプラスして、とろみが出るまでよくかき混ぜてください。

フライドさつまいも

さつま芋は拍子木に切って、そのまま素揚げ。二度揚げしてぱらぱらと塩をふると、芋の甘みとほくほく感がたまりません。大学芋ほど手がかからず、大学芋よりおいしいのでおやつにおすすめ。子供がいなくても、これは作ってみてくださいね。