蛍の光

2009年7月第3週

今週の野菜セット

左から

先週末、ようやく梅雨の晴れ間がのぞいて、夏らしい陽気になりました。暑くなるのを待っているわけではないのですが、夏野菜のことを考えると、そろそろ太陽に顔を出してもらわないと・・・。今週いっぱい、この晴れ間が続いてほしいものです。

ま、そのうちイヤでも高気圧が張り出してきて、晴天が炎天になるんでしょうけどね。そうなると、今度は恵みの雨が待たれるようになり、暑気払いの夕立も歓迎されるようになる。勝手なもんです。

昨今、話題になることの多いゲリラ豪雨。これだって、特別な現象というわけではありません。熱帯地方では、ごくふつうにスコールと呼ばれているもの。それに都市部のインフラが追いつかないものだから、ものものしい名前をつけられていますが、雨そのものより、都市という特殊な環境のほうに問題がありそうです。土地の有効利用などといって、河川の息の根を止めてしまったのもいけなかったんでしょうね。

春の小川はさらさら行くよ、という童謡に出てくる小川。それが渋谷駅前を流れていたなんて、知ってる人はあまりいません。あのスクランブル交差点の下を、どぶ川と化した小川が今でも流れているんだそうです。東京都を活性化したければ、オリンピックなど招致するより、暗渠を取り壊して小川を再生させたほうがどれだけいいか。

新鮮な空気に触れれば、どぶ川の水は酸素を取りこんで、元通りの小川になるのにそれほど時間もかからないはず。川沿いの遊歩道には、東京湾から風が流れこんでくるでしょうから、そこに街路樹でも植えれば恰好の憩いの場になるはずです。適当にベンチも配置すれば、人気のデートスポットになることまちがいなし。交通は不便になるかもしれませんが、ゲリラ豪雨に直撃されても、デートスポットが短時間水浸しになるだけで済むというわけです。

これだけ大がかりな仕事となると、現都知事のあの強引さが必要不可欠。なのにあのオッサンときたら、目先の経済効率しか考えてないみたい。石原銀行の損失を、オリンピックの収益でチャラにしようなんて目論んでいるんじゃないか。そんな邪推も飛び出しそうです。

ともあれ、土が生きものなら、川も生きもの。そんな生きものたちをコンクリートやアスファルトで窒息させているのですから、そこに水という生きものが参入したとき、もろもろの問題が噴出することになるんでしょうね。河川の護岸工事などというのも、水害を大きくするのに一役かっているみたいです。水辺の生きものたちの行き場がなくなると、次はわたしたちの行き場がなくなる。それが自然の道理というものではないでしょうか。

水辺の生きものといえば、わたしが住んでいるあたりでも、この十年ほどの間にホタルを見かけることがほとんどなくなってしまいました。用水路の大部分がU字溝に替えられたため、ホタルの餌になるカワニナが生息できなくなってしまったからです。

昔は夜になると、ホタルの光で蛇行する川全体が浮かび上がって見えた。それぐらいホタルが多かった、と老人たちは話します。が、わたしが越してきたころには、それもちらほらになっていました。それでも、子供が小さかったころには田圃でホタルを捕ってきて、それを蚊帳の中に放し、プラネタリウムごっこなど楽しむことができたのですが、さらに減少してくると、ホタルを捕るなんてとんでもない。見ることができただけでも仕合わせ、というぐらい希少になっていました。

それが今年は、近所の休耕田で群生していたのです。稲作を止めて三年になる田圃ですから、農薬も除草剤も効力を失っていたんでしょう。ひさびさにホタルの群舞を見ることができました。まるで夢のような光景です。それと同時に、カワニナやホタルの生命力にも感動したものです。ところが、これは友達にも教えなくちゃ、と思っていた矢先、一面に除草剤が撒かれ、ほんとうに夢のようにすべてが無に帰してしまったのです。感動が大きかった分、落胆も重量級でした。

そんなことがあったので、渋谷の小川の話が出てきたのかもしれません。いつの日か都会の小川が復活したら、きっとホタルも帰ってきてくれるでしょう。自然というのは崩壊するのも早いかわり、復元力もまた強い。近所のホタルは死んでしまいましたが、今回の一件がそれを教えてくれたわけです。それに感謝しながら、ホタルたちの冥福を祈ることにしましょうか。そうでもしないと立ち直れませんものね。

今週の野菜とレシピ

今週はとうもろこしが入る予定でしたが、長雨の影響で病気が出たらしく、茎が腐りはじめているようです。実のほうは一見、なんともありませんが、本体に病気があるのですから、影響がないとはいえません。そんなわけでメニューから外れることになりました。

でも、第二群が成育中で、こちらのほうは病気も出ていません。それが大きくなるまで、もうすこしお待ちください。

その代わり、今週は枝豆が入りました。甘みのつよい茶豆です。枝からサヤを外したら、両端を鋏で落とし、塩もみしてから湯がいてください。仕上がりにも多めに塩をふりかけて・・・。枝豆といえばビールですが、麦茶にもよく合いますよ。

ミョウガピーマン

ミョウガも入りました。ミョウガ好きは、これをスライスして鰹節と醤油でご飯を食べるものですが、それにもうすこしボリュームをつけたのがミョウガピーマン。種をつけたまま縦四分の一に切ったピーマンを油で炒め、その上にきざんだミョウガと鰹節。醤油をかけていただきます。ピーマンとミョウガって、こんなに相性がよかったんだ、って感動するはずです。

ミョウガピーマン

中華風ズッキーニ

ズッキーニというとイタリア料理というのが常識ですが、中華風に調理してもおいしいものです。親指大の生姜とニンニクひとかけをみじん切りにして炒め、半割にしてスライスしたズッキーニを加えて炒めます。湯むきしてざくざく切ったトマトも入れちゃいます。味つけは豆板醤、醤油、オイスターソースで・・・。仕上がりに胡麻油をたらしてどうぞ。トマトの酸味がさわやかで、暑い日にぴったり。これはあつあつのところを、ふうふう汗をかきながら食べるのがいいですよ。

中華風ズッキーニ

今週いっぱいお天気がよければ、来週はモロヘイアも出てきそう。ほくほくのミニかぼちゃも入りますのでお楽しみに・・・。