猫便り
2011年3月第1週

左から
- ターサイ
- ジャガイモ(メイクイーン)
- 小松菜
- シイタケ
- アブラナ
- ニラ
- ハッサク
予想通りに先週、早々と春一番が吹き、気温が急上昇しました。五分咲きだった梅も一気に満開に・・・。すぐにまた寒気がもどって来そうですが、陽光は確実に明るくなってきています。
日射しが春めいてくると、窓ガラスの汚れが目立ちはじめます。暮れの大掃除でピカピカに磨き上げておいたはずが、もう薄汚れた感じで、指紋までくっきり見えていたりして・・・。そこで週末は、南側の目立つところだけガラス拭いておきました。
やってしまえばどうということはないのですが、なかなかその気になれない仕事のひとつがガラス拭き。でも、この時期だけはフットワークが軽くなります。ガラスがきれいになっただけで、春がぐーんと近づいてきた感じがするからですが、せっかくきれいにしたのに、翌日には気温がぐーんと下がって雨が雪に変わったりするんです。そういう不安定なところが春の特徴なのかもしれませんけどね。
春が一歩ずつ近づいてくると、わたしたちの足元をうろついている猫どもも外出することが多くなるので、事務所の中がすっきりします。足元をうろつくだけならいいけど、デスクの上でくつろいだり、パソコンの上を歩いて画面を変えてしまうかと思えば、お茶をひっくりかえす。ボールペンはみんな転がしてしまうので、いざというとき手元からなくなっているといった具合で、うっとうしいことこの上ない。
野菜の箱詰めがはじまると、ぞろぞろといっしょになって移動してきてお手伝いまでしてくれるのです。はっきりいって邪魔。営業妨害なのですが、邪険にするとアラレちゃんに怒られるので、ひたすら我慢の冬なのでした。そんなわけで、今週はひさびさに益子GEFの猫たちの報告です。
ここはどういうわけかメスが居着かず、オス猫のたまり場になっているのですが、ボス格のアメリカンショートヘア・ダイちゃんが情に厚いせいか、オス同士が争うこともなく、仲良く暮らしています。自分の子供でもオス猫が成長すると、ふつうならテリトリーから追い出されてしまうのに、ダイちゃんはどこからともなく迷いこんで来た子猫も自分の子供も分け隔てなく育て、オトナになってもいっしょに寝ていたりするのです。
このあたりの捨て猫はみんなダイちゃんに連れられて、ここの台所にやって来るみたいですね。ダイちゃんはまず子猫たちにご飯を食べさせ、食べ終わるまで辛抱強く待ってやります。ご飯がなくなれば堂々とお代わりを要求。しかもダイちゃんの場合は晩酌つきというか、マタタビの粉も用意しなければならないので、給食係のアラレちゃんはたいへんですが、猫仲間では破格の評判。人情家のボスとして支持されているんじゃないでしょうか。
アラブ諸国のボスのみならず、すべての支配層がダイちゃんみたいだったら、世界情勢は一変するのにねえ。が、そうなるためにはとてつもなく強大なスポンサーが必要なのかもしれませんが、膨大な富を生み出す地下資源があっても、それが分配されることはないというのにはがっかりさせられましたよね。
そのダイちゃんも去年あたりから急に年寄り臭くなってきました。事務所が益子から移転してきたのが十年前で、そのときすでにダイちゃんは成猫でしたから、めっきり老けこんでも不思議はありません。むしろ不思議なのは、ボス猫がこれだけ弱ってきても、若いオスたちがそれに取って代わろうとしないこと。
このあたりのオスたちはみんな若いころ、ダイちゃんの庇護下にあったわけですから当然といえば当然なのですが、余所から強そうなオスが入りこんで来てもよさそうなものなのに、それもない。ということは、若いオスたちがそれを許さず、ダイちゃんを守っているということになるんでしょうか。
ダイちゃんを見ているとしみじみ「情けは人のためならず」とはよくいったもんだなあ、と思います。他人にかけた情けはみんな自分に返って来るのです。ということは、冷たい仕打ちもまた返って来るわけですね。家族から冷遇される老人のニューズなど見聞きすると、なんてひどい人たちだろう、と思いがちですが、じつは老人の側にも問題があったのかもしれない。逆に心配なのは、虐待される子供たちの親のほうで、虐待とまでは行かなくても、過剰な愛情で子供にプレッシャーをかけている親はたくさんいます。
そんな親たちにもダイちゃんを見ならってほしいもの。ダイちゃんがやっていたのは、ご飯を食べさせる。それだけです。安全な場所を提供して、しっかりとご飯を食べさせていれば、子供は勝手に育ってくれます。あれこれと世話を焼く暇があったら、台所に立つ。子供にひとりでご飯を食べさせない。猫にできることがわたしたちにできないわけはないと思うんですけどね。
今週の野菜とレシピ
青山さんのお母さんに末期の大腸癌が発覚。年齢が年齢なので入院治療はせず、在宅で看護することになったため、その対応で今週は出荷は見送られることになりました。そんなわけでほうれん草は今週も入れることができませんでした。申しわけありません。
そんなわけで、好子さんの最後のター菜、先週に引きつづき野沢さんのニラが入りました。ター菜は霜にあたって枯れている葉先を料理鋏で切り落としておくと、扱いが楽になります。
あぶら菜の和え物

春を告げるあぶら菜は、和えもので・・・。あぶら菜を湯がくときは塩ひとつまみといっしょに植物油、できれば菜種油がいいのですが、サラダ油でもけっこうですから少量をお湯に落とすとおいしく仕上がります。
お湯が煮立ったら茎のほうから先に入れ、それが煮立ったら葉先のほうも入れて、次に煮立ってきたら火から下ろして、あぶら菜をまな板の上に広げます。荒熱が取れたら包丁を入れ、摺り胡麻+マヨネーズ+醤油少々で和えてみてください。
じゃが芋は男爵からメイクイーンに変わりました。表面に凹凸がないので皮が剥きやすく、煮くずれもしにくいので面取りの必要がありません。甘みも男爵よりこちらのほうが強いのではないでしょうか。
来週はひさびさに海老原京子さんの切り干し大根が入ります。ほうれん草も出てくれるといいですね。