放射線測定結果

2011年9月第2週

今週の野菜セット

左から

放射線測定の結果が届きました。検査が混み合っていると聞いていましたが、よく見ると検査日は1ヶ月前の8月3日。こちらが今か今かと待っている間、このデータはいったいどこで眠っていたんでしょう。

もっと早くサンプルを提出していればよかったのかもしれませんが、梅雨明けに出すつもりでいたところ、こちらはほとんど空梅雨にちかく、とにかく雨が降らないことには土壌を検査しても意味がありませんから、結局台風6号による大雨と、その直後のまとまった雨を受けてからになったわけです。

野菜の中でも放射線が蓄積しやすいといわれているじゃが芋と、おなじ土壌でも放射線の溜まりやすい場所ということで、平野部にある好子さんや青山さんの畑ではなく、山間部にあるわが家の土を採取しました。

土壌のデータを見たときはショックでした。サンプルを送るすこし前に、近所に住む陶芸家が庭先の土を調べてもらっていたのですが、「ぜーんぜん大丈夫」というのを、セシウムがほとんど検出されなかったのかと誤解。おなじ畑でもゼオライトや麦飯石を混入していない、自家用のアスパラ畑のものを送ってみたのです。「大丈夫」というのは、東京都内の土壌と比較しての話だったみたいですね。

多いすくないはともかくとして、こうして数値が出てくるくらいなら、出荷用のゴーヤを作っているほうの土を送ればよかった、とも思いましたが、そんな結果に安心してしまうより、この数値を警告として今後の対応に努めたほうが、結果的には安全につながるのではないかと思いなおしたしだいです。

益子町役場で行われた野菜の検査には、好子さんの茄子と、わが家のゴーヤを持参しました。持参した野菜を刻んでビニール袋に入れ、その中にガイガーカウンターを入れるという簡易検査ですが、どちらもセシウム131、134、137ともに検出されませんでした。

数値が出るのを待つ間、検査官と話すことができました。自分の畑の土壌検査の結果も話したのですが、まあ、汚染といえば汚染になりますが、その程度の数値では野菜にはほとんど影響ないでしょう、というのです。

「食品の安全基準値が500ベクレル以下ですからね。それ以上検出されるような野菜となると、畑は50000ベクレル以上汚染されているはずです。それぐらい野菜には吸収されにくいということです」

50000ベクレルと聞いて、絶句してしまいました。

「その安全基準ですけど、500ベクレル以下というのは、ほんとうに人体に影響のない数値だと思われますか?」

「わたしは医者ではないので、そこまではわかりませんけど・・・」

「でも、安全だといわれても、セシウムの合計が490ベクレルの野菜を自分の家族に食べさせたいと思うでしょうか?」

温厚な検査官の表情が変わりそうになったところで、タイミングよくゴーヤの結果が出てきました。「NDです」といわれたのですが、それが「NG」と聞こえ、は?と聞き返したら、「ノーデータ、つまり検出されなかったということです」

最初から日本語でいってよ、まったくもう・・・。茄子の結果待ちは、検査官が急に忙しそうな素振りをはじめたので、長く感じられたのですが、こちらの予想に反して、益子町はこの機械を購入したのではなかったようです。つまりこれは出張検査。だからいつでも野菜の検査ができるわけではなく、その日かぎりで、サンプルも2品までという制約がついたわけです。

どこの自治体も赤字をかかえ、台所事情がきびしいのはわかりますが、たとえば益子町などは町おこしなどといって、あまり効果が期待できないようなイベントに毎年大きな予算を割いています。400万ぐらいの機械が買えないわけがない。各市町村がそういうものを設置して、500ベクレルなどという法外な数値から子供たちを守るシステムを作ってほしいものです。国の基準は人体よりも、経済効果や保障問題のほうに重きをおいているのでしょうから、ここはやっぱり独自の基準を作るべきだと思いました。

わたしたちはやはり「不検出」にこだわりたいと思います。「不検出」といってもゼロというわけではありません。裏面の報告書にあるように、5ベクレル以下のセシウム、2ベクレル以下のヨウ素は検出できないからです。つまり「微量」というわけ。それ以上でも、何ベクレル以下が「微量」に相当するのかわかりませんが、こんな数値はすくないに越したことはありませんからね。

また、農家は朝か夕方の涼しい時間帯に野菜を収穫しますが、これから気温が低くなるにつれ、日中のあたたかいときに作業をしたくなるものです。が、以前にもお話したように、植物の放射線含有量は朝夕の6時前後がいちばんすくなく、正午と真夜中に最大値を記録します。つまり1日に2回、ゆっくりと深呼吸しているようなもの。

これから日暮れはつるべ落としとなり、日の出もだんだん遅くなりますが、夕刻は4時以降、朝は遅くとも8時前の収穫を心がけるよう、農家にはお願いしてあります。もちろん鉱石や炭による畑の除染も続行中です。ひとまず今回は、検査結果という目に見える「安心」をお届けすることができたと思います。長い間お待たせして申しわけありませんでした。

今週の野菜とレシピ

のろのろ台風12号は、さいわい大きな被害はなかったものの、数日にわたる強風と突発的な豪雨をもたらしました。

おかげで茄子が揺さぶられ、表面が傷になっています。ゴーヤの棚も倒れこそしませんでしたが、支柱の鉄骨が歪曲。それも心配していた、まともに風を受けそうなところがなんともなくて、これは大丈夫と思ったほうが腰を曲げているのです。不思議な感じでしたが、これだもの、完璧な災害対策などありえないのだと思ったしだいです。

今週は青山さんの牛蒡芋茎が入ります。

牛蒡は皮が剥けないようにそっと手洗いしてください。牛蒡の栄養分は皮の部分に集中しているので、皮を剥いてしまうと牛蒡を食べる意味がなくなってしまうからです。牛蒡1本は薄く斜めにスライスして醤油をたらし、しんなりしたところで味わってみてください。香りのいいインスタント漬け物です。残りはきんぴらにしてどうぞ。

芋茎というのは八頭の茎。身体の毒抜きになるというので、近年人気が出ているそうです。4~5センチにざくざく切って、さっと湯がいてから使います。湯がくとふくれて鍋から溢れそうになりますが、冷めるとしぼんで元通りになります。酢:1に大して砂糖:2、味噌:2、すりゴマたっぷりの胡麻味噌和えにしてみてください。

味噌汁にするときは生のまま、仕上がりに葱を加えると香りがよくなります。

もう1回ぐらいゴーヤをメニューに加えたかったのですが、支柱が曲がったため、実が地面についてしまいました。ゴーヤは地面につくと、すぐに傷みが入ってしまうのです。代わりにぼっちゃんカボチャが入りました。

来週は好子さんの里芋が入ります。