味噌の効用

2011年5月第4週

今週の野菜セット

左から

いきなり夏の陽気になりました。

気温の変動が大きく、さすがにもう寒の戻りはないでしょうが、雨になるととたんに肌寒くなったりします。夏の陽気だからといって、その気になっていると風邪をひきかねませんから、要注意。

一時は鳴りを潜めていた余震も、最近また活発になってきました。これが余震なのか、新たなプレートによる本震なのか定かではないだけに、大きな揺れがあるとどきっとさせられます。でも、面白いこともありました。

雨上がり、山の中にいたときのこと。地鳴りがしてきたので身構えると、地面が一度持ち上げられて、そのままドスンと落とされました。それと同時に、木の葉に残っていた水分がザーッと落ちてきて、ずぶ濡れに・・・。「となりのトトロ」のワンシーンを思い出すような出来事です。でも、あのシーンではトトロも、幼い姉妹もちゃんと傘をさしていたんですよね。

先週、この欄で1945年以降、前世紀中に世界各地で2053回もの核実験が行われていたこと。そしてわたしたち、団塊の世代が汚染された脱脂粉乳や、汚染小麦を原料にしたパンを学校給食で食べさせられていたことを書いたのですが、じゃあ、今の子供たちも心配ないのか、と思われるとちょっと困るので、今回は続編です。

わたしたちの世代はたしかに核実験の風下の草を食べた牛のミルクやら、おなじく風下で収穫された小麦で作られたパン(どちらも今の学校給食からは想像もつかないくらいまずかった)を否応なく食べさせられていたのですが、当時の子供たちにこれといった支障が出なかった。だからといって、それが今でも通用するかというと、ちょっと自信が持てないのです。

当時と今とではなにがちがうのかというと、食生活なんですね。当時はどこの家庭でもご飯に味噌汁というのが食事の基本で、とくにこだわりを持ったお母さんでなくても、出しも天然素材で取っていました。ところが今では、味噌汁を毎日作っているお母さんがいったいどれだけいるでしょう?味噌や醤油といった発酵食品も、市場に出回っているものの多くは本来の発酵食品ではなくなってしまっています。

正直いって、子供のころは味噌汁なんて、そんなにおいしいものとは思えなかった。でも、ご飯は残しても、味噌汁は残してはいけないことになっていたので、給食同様、いやでも飲まざるを得なかったんですね。それが結果としてはよかったわけで、毎日家で飲まされる味噌汁が、毎日学校で強要される脱脂粉乳やらの放射性物質を排泄してくれていたのです。

そういう安全弁が今の食生活では機能しなくなっている。それがちょっと怖いのです。水や食品に含まれる放射性物質に神経を使うぐらいなら、子供たちには最低でも一日一回、お椀一杯の味噌汁を飲ませてほしい。その味噌汁も赤出汁が理想的ですが、子供がいやがるようなら色の浅い味噌に八丁味噌を少量混ぜて・・・。出しは煮干しでも鰹節でもかまいませんから、かならず昆布も使ってください。半日ぐらい水に浸けておくと、簡単に濃厚な出しが取れますし、食卓に青菜の味噌汁などがあると、子供たちに野菜を食べさせなくちゃ、という強迫観念みたいなものからも解き放たれます。

益子GEFが野菜セットというものをはじめたとき、念頭にあったのがこの味噌汁でした。だから葉ものが多いのですが、当初はもちろん放射能対策なんてことは念頭にはなく、とにかく実だくさんの味噌汁を作ってほしい。それによって健康管理、体質改善、子供たちの体作りをしてほしい、というのがあったのです。

きっかけは農家のお爺さんの話でした。お爺さん曰く、うちの婆さんの背中が曲がっていないのは、毎日実だくさんの味噌汁を飲んでいたからだ。隣の家じゃ、町中みたいに品のいい味噌汁ばっかり飲んでいるから、ほら見てみ、婆さんが二つ折りになって歩いてる・・・。汁の中に豆腐が泳いでいるようなのじゃダメ、というだけあって、そこでいただいた味噌汁は野菜のごった煮さながらでした。

カルシウムを青菜から摂るという発想が意外でしたが、調べてみたら、青菜に含まれるカリウムが体内でちゃんとカルシウムに変換されるようになっていたのです。ケルブラウンの「原子転換」という本の中に答えがありました。そういや牛はあんなにカルシウムの豊富なミルクを出すのに、牧草しか必要としない。蛋白質だって、牧草から作られているわけで・・・。

動植物の体内で起こっている原子転換、いいかたを変えれば常温核融合。とんでもない高温の中でしか起こりえない核融合を、わたしたちが体内で易々と行っていたということに、鼻血が出るほど興奮したものです。生体ってすごい。人智を越えている・・・。この感動が野菜セットを支えてきたんですよ。

まあ、当初はおいしい野菜、昔の味のする野菜を届けたい。ついでに食生活に味噌汁を復活させてほしい、ぐらいの気持ちだったんですけどね。今また感動を新たにしているのは、自然界の常温核融合をする者たちが、人工の核融合発電装置などとちがって、強靱にして精緻。しかも融通無碍だということです。こちらの心配などよそに、今の子供たちも逞しく育ってくれるんじゃないか。そんな気がしてきませんか?

今週の野菜とレシピ

フキの食べ方

先週に引きつづき、フキが入ります。まず葉っぱと茎を切り離し、大きめの鍋で茎のほうを湯がいてください。お湯は捨てず、火を止めたまま葉っぱを入れ、しばらくしたら上げて水にさらします。

茎のほうは皮を剥いてから、食べやすい大きさにカット。出しで煮ふくめるか、きんぴらにしてください。カットした茎を小鍋にとって、もう一度軽く湯がき、水気をよく切ってからバターと醤油をからめてもおいしいですよ。

葉っぱのほうは縦横に包丁を入れて細かくし、ぎゅっと絞って水気を切ってから、同量の酒と醤油で煮て佃煮にします。煮汁がなくなってきたら、箸でかき混ぜながら水分を飛ばし、鰹節をたっぷり加えたらできあがり。


絹さやもようやく出てきました。例年より半月以上遅い登場です。初ものはスジをとって卵とじ。出しで煮てから卵でとじても、油炒めしてとき卵をからめても・・・。味噌汁に入れて卵とじにしてもおいしいですよ。

春大根は小ぶりです。あんまり小さいと、みなさんがっかりするんじゃないか、といって好子さんがカブもいっしょにつけてくれました。細めの大根はサラダかおろしで。カブのほうは味噌汁の実にしてください。

おかひじきはさっと湯がいて、そのまま醤油とマヨネーズで食べるか、芥子醤油和え。油炒めにしてもおいしいので、まず豚のバラ肉少々をかりかりになるまで炒めて醤油をまわしかけ、次に食べやすいように包丁を入れておいたおかひじきを加え、また醤油。最後に湯がいて包丁を入れた春雨を加えて、一味唐辛子とオイスターソースで調味。味を見て、足りないようならさらに醤油を足してください。

きゅうりも今週から好子さんの畑から・・・。来週は青山さんのブロッコリーも出てくると思います。

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