仕合わせの源

2011年6月第3週

今週の野菜セット

左から

合歓の花が咲きはじめました。可憐なピンクの花が雨の中で揺れています。人間にはうっとうしくても、雨の中では植物が生き生きとして、花も樹木もきれいに見える。雨の季節に合わせたかのように、どこもかしこも花盛りで、ほの暗い林の中でさえ、小さな花の群生を見かけます。

裏庭ではドクダミが、これまた可憐な十文字の白い花をつけています。ラベンダーもいつの間にか花をつけている・・・。ラベンダーは高温多湿に弱いので、夏前に花を取ってしまわないと、木が弱ってしまいます。

梅雨どきは忙しい季節でもあります。ふと見上げると山椒の実が鈴生りになっていて、それを収穫。その処理も終わらないうちに、今度は梅の収穫で、梅酒、梅肉エキス、梅シロップと夜なべ仕事が続きます。おかげで睡眠不足気味ですが、思えば仕合わせな忙しさです。こんなことに追われている日常こそ、かけがえのないものなんでしょうから・・・。

蒸し暑くなってくると虫も増えます。朝夕の畑仕事で虫に食われるので、毎年、五月に入ったあたりからりんご酢を飲みはじめるのですが、今年はすっかり忘れていました。

原発の事故のおかげで、よけいな心配が増えたせい。心配が増えると仕事も増えてくるわけで、畑に投入する炭やゼオライト、土壌用の麦飯石などを取り寄せたり、ふり撒いたり、かき回したり・・・。炭はともかく、麦飯石やゼオライトは重たいので、こっちのほうが振り回されてしまうんですね。ふだんなら少量でいいものも、放射性物質の除去ともなると、使う量もはんぱじゃないからです。

わたしなんかよりもっと広範囲にわたってそれをするわけですから、農家はもっと疲れています。滅多と弱音を吐かない農家の口から、腰が痛い、膝ががくがくするといった声が聞こえてくるぐらい。経済的な負担も大きく、こんなの東電に請求したら支払ってくれるのかな。くれるわけないけど、ま、作物が作れるだけでも仕合わせと思わなくっちゃ・・・。

食べてくれる人がいるからこその「仕合わせ」なんですけどね。この春、わかったことなんですけど、益子GEFは吹けば飛ぶような会社ですが、設立から四半世紀が経とうとしています。よく続いたものだと思いますが、エライのは税金の申告に行って、これが収入のすべてですか?と、憐れむような顔をされるわたしたちではなく、野菜を作っている農家でもなく、じつは会員がエライんだった。こういう人たちに支えられていることが、このグループが特別であるほんとうの理由だったんです。

じつをいうと、それまでは傲慢な勘違いをしていました。野菜が特別だから、みたいなね。技術がどうの、経験がどうのといったことではなかった。心をこめて仕事をすれば、近所のお婆さんたちだっておいしい野菜を作っているんですから・・・。無農薬がいいのではありません。偏見や思い上がりを捨てて無心になることが、野菜を元気にするのでした。

今回のアクシデントのおかげで、わたしたちの勘違いが感謝に変わったこと。これは大きいと思います。今後の野菜にも、それは反映されてくるでしょう。そういう意味では、東電にも感謝したほうがいいのかもしれませんね。

りんご酢の話をしていたんでした。

これも先週の発酵液同様、毎年、この時期になると話題になるのですが、一日にお猪口に一杯ぐらいのリンゴ酢を飲んでいるだけで、蚊に刺されなくなります。都会で暮らしている分には、それほど必要ないのかもしれませんが、子供がキャンプに出かけたりするときには、一週間ぐらい前からちょっと多めに、朝晩一杯ずつぐらい飲ませてあげてください。

そのままでは飲みにくいので、蜂蜜を加えて水で割ってあげてくださいね。釣りやゴルフにお出かけのお父さんにもおすすめ。同伴者がいると、蚊もブヨもそっちのほうに行ってしまいますが、ひとりきりの場合はまったく寄りつかないわけではありません。向こうも繁殖という一大事業がかかっているので、食いつかざるを得ないのでしょう。ぐっと我慢して、鼻をつまむような感じで吸血している姿を想像すると、おかしいような気の毒のような気がしてきますが、そこまでして吸ってくれなくてもいいのにね。

ただし、そういう場合でも、酢を飲んでいると痒みがそれほど気にならないのです。水で洗っただけで痒みが取れます。しつこいブヨの痒みも、お風呂に入ればなくなりますし、腫れたり、化膿したりというのもなくなります。アレルギー体質の方にはとくにおすすめで、夏バテ対策にもご利用ください。

今週の野菜とレシピ

新じゃがが出てきました。みずみずしいじゃが芋はふかして、塩だけで食べてみてください。粒のちいさいのは半分にして、皮をつけたまま素揚げ。二度揚げしてかりっとさせ、熱いうちに塩を振ってください。

カリフラワーは塩と酢:少々を落として湯がき、サラダにするか、甘酢をからめて・・・。

モロッコいんげんはスジ取りの必要がありません。斜めに包丁を入れ、細切りにしたものをひじきといっしょに炒めると、彩りがよく、さっぱりとした仕上がりになります。味は薄めにつけて、サラダ感覚で食べたほうがおいしいですよ。

ブロッコリーはわき芽が入っています。先週まで入っていた大ぶりなのが中心部。その後、わきから小さな芽が出て、それぞれミニサイズのブロッコリーになります。ちいさい分扱いやすく、量もほどほどなので、ちょっとした彩りにご利用ください。ブロッコリーのてんぷらというのも、意外とおいしいものですよ。

名残のフキは湯がいてから皮を剥き、食べやすい大きさに切りそろえます。これも春先のようにしっかりした味つけより、あっさりと薄塩で・・・。バターで軽く炒めて、塩、胡椒、醤油少々で食べてみたら美味でした。

来週はもうトマトが出てきます。いよいよ夏になるんですね。