桜と紅葉

2011年10月第3週

今週の野菜セット

左から

日暮れがどんどん早くなります。薄暮の時間帯が短くなって、このごろでは太陽が山裾に隠れると、暗幕でも下ろすようにストンと暗くなる。様子がよくわかっているつもりの裏山でも、夕刻がなにかの拍子に逢魔が時になりかねない。そんな気配が漂う時期でもあります。

ところがそんなときにかぎって、あちらこちらの切り株にかわいらしいキノコが生えていて、それがまたおいしかったりするんですよね。一度そういうキノコに遭遇すると、ついつい欲が出て、二匹目のドジョウを求めてふらふらと迷いこんだりするのです。夕暮れまで間があるときのほうが、懐深く入りこんでいたりするものですから、逆にあぶないみたいです。

ま、犬がいっしょなのでなんとか帰還はできるのですが、日暮れ時がこわいのは山そのものががらりと表情を変えてしまうから・・・。正確には植物が、それも下草なんかでなく、林立する樹木が昼間とはがらりと態度を変えるのです。日中の光合成で酸素を出していた葉っぱが、夜間に逆転。酸素を吸って二酸化炭素を出すようになる、その変わり目といったらいいでしょうか。それまで友好的だったのが、いきなりこちらを拒否するようになるのです。

ついさっきまで上機嫌に見えた木々が、夕刻を境に背を向けてむっつりと押し黙ってしまう。そんな感じですから、当然、道を教えてあげようなんて親切心もないわけで、こちらは孤立してしまうのです。でも、孤立させられるのは人間だけじゃないみたい。暗がりでうっかりヘビを踏みそうになったのに、そっと道を譲ってくれたぐらいですから・・・。

キノコ採りのシーズンは冬眠を目前にして気が立っているらしく、ふだんはおとなしいヘビもけっこう攻撃的になるんだそうです。ヤマカガシに追いかけられたという話を聞いたこともありますが、懐中電灯に照らし出されたのはシマヘビでも青大将でもない。ここらではあまり見かけない強面の毒蛇タイプだったのですが、こちらの視線を避けるように、もぞもぞと朽ち葉の下に入りこむところでした。日暮れ時はかれらもふっと弱気になることがあるのかもしれませんね。

山裾にはところどころ、まだ夏の気配を残しているところがありますが、山頂付近ではもう紅葉がはじまっています。県内の紅葉の名所といったら日光ですが、今年は県北から福島にかけて、紅葉がうつくしいところにかぎって放射線量が高く、人が寄りつかないんだそうです。

これまでは豪華絢爛な紅葉狩りを避け、手近の紅葉で身の程に合った目の保養をしてきましたが、今年はひとつ奮発して、とびっきり豪華な紅葉狩りを楽しんでみたいと思います。うつくしいものには毒があって当然なんですし・・・。錦絵を彩る岩絵の具に鉱物毒があるように、うつくしい色というのはそれ自体が毒みたいなものですからね。たまには毒に酔ってみるのもオツなものかもしれません。

かと思うと、あちこちで桜が咲いているそうです。桜と紅葉の同時公開。盆と正月がいっぺんに来たようだ、なんて喜んでるわけにはゆきませんよね。

今週の野菜とレシピ

今週は青山さんの里芋が入りました。火の通りが早く、すぐにやわらかくなるのが有機野菜の身上です。煮っころがしにしてどうぞ。

間引き白菜は煮浸しがおすすめ。濃いめの出汁に油揚げとざくざく切った間引き菜を入れ、煮含めてください。

大根の間引きのほうはもうすこし手がかかります。まず大根と葉っぱの部分を分け、葉っぱのほうは湯通ししておきます。大根は大きめのものはおつゆの実にして、残りは小口切り。湯通しした葉っぱも細かくきざんで、大根といっしょに塩をしておきます。それをぎゅっと絞って、鰹節や煎り胡麻といっしょに醤油をかけたら一夜漬け。フライパンに胡麻油をひいて、ちりめんじゃことしっよに軽く炒めたら常備菜になり、どちらもご飯によく合います。

京菜はスライスした椎茸といっしょに水から煮て、塩とオイスターソース少々で調味するとおいしいスープになります。椎茸がいい味を出してくれるので出汁は不要。とってもヘルシーなインスタントスープです。

残った椎茸は小麦粉、溶き卵、パン粉の順で衣をつけ、牡蠣といっしょに揚げてみてください。旬の牡蠣よりもこっちのほうがおいしいくらいですよ。

馬田さんの椎茸も菌床の一部におがくずを使っているため、念のために検査をしています。簡易検査の結果がOKでしたので、予定通り使わせていただきましたが、来週にはもっと詳しい検査結果が出てくるそうです。