紅葉の季節

2011年10月第4週

今週の野菜セット

左から

あたたかい日が続いています。山頂に広がった紅葉も、この陽気ではなかなか山裾まで下りてくることができません。

今年は地震に津波、それに原発事故まで加わって荒れに荒れたぐらいですから、紅葉も出血大サービス。関東から東北にかけて、毒々しいくらい血の色に染まってほしいところですが、なかなかそうも行かないようです。県北や福島県に入れば怨念の燃やしかたもちがうのかもしれませんが、益子の山々はどう見ても平和ボケ。被害者意識もないかわり、危機感にも乏しいようです。

福島第一原発から東京方面への送電線が並ぶ山々。それがたまたま放射線量が低かったという幸運の上にあぐらをかいていていいんだろうか。もっと燃えろ、と檄を飛ばしたいところですが、季節外れのあたたかさが続いているうちは無理でしょうね。

わが家から直線距離で1キロ前後。送電線の根元まで徒歩で2キロぐらいになるでしょうか。そこまでの山道にはこれからの季節、イノシシ用の罠が増えてくるので敬遠されがちですが、それがなければ最高の散歩道。ムカゴやアケビ、キノコといったおまけもつきます。

その道でよくすれ違う男性がいて、たいていはひとりなのですが、たまに数人連れがいることも・・・。最初、野鳥捕りかと思ったのですが、そういう連中に特有の胡散臭さがありません。かといってけっして爽やかなわけでもなく、山の中で出会う「変なオジサン」のひとりなのでした。

そういうオジサンたちと打ち解けてくると、山菜採りの名人だったり、キノコの師匠だったりするのですが、このオジサンは知れば知るほど「変なヒト」で、山歩きの目的がオシッコだったのです。それも所かまわずオシッコをするのではなく、高圧電線の鉄塔の根元を転々としながら、オシッコの足りないところには塩を撒き、もう何年もそれで運動不足を解消しながら、ささやかな意思表示を続けているとのことでした。

原発事故に触発されたのではないそうです。もう何年も前から、ただ「目障りだ」という理由だけで鉄塔の根元を錆びつかせ、崩壊させるべく自前のオシッコをかけ続けてきたのです。もうちょっとハンサムで身ぎれいなオジサンだったら、首根っこに抱きついていたかも・・・。それはともかく、趣旨には大いに賛同したわけですから、わたしも犬も鉄塔の根元で用を足すことになったのです。ところが犬もわたしもメスなので、なかなか思うような活動ができません。そこでオジサンも利用している塩を使うことになりました。

山の中を蛇行する道路には、ところどころに犬小屋サイズの物置が設置され、そこにスリップ防止用の土嚢といっしょに、雪を融かすための塩の袋が置かれています。それを利用するわけですね。しかしこのレジスタンス。オジサンはもう十年ちかくも運動しているのに、鉄塔は倒れるどころかびくともしないで立っているわけで・・・。なんか空しい感じがしないでもないのですが、結果よりも、こつこつと意思表示を続けることに意味があるかもしれません。

それでも年甲斐もなく、ときどきこんな光景を思い浮かべたりするんです。わたしたちのオシッコが突然変異で強い酸になり、ジュワーッと煙を立てながら尾根伝いに並んだ鉄塔を溶かしていく・・・。そんな一大スペクタクルです。

それは小気味のいい光景なんだけど、わーいザマアミロとはしゃいでいる足元に、鉄をも溶かすような強酸が広がってゆく。結果、汚染されるのは大地であり、そこに住む人と動植物の命が脅かされるわけで、電気屋には痛くも痒くもないわけです。それを思うと、鉄塔の根元にオシッコをかけるというのは、まことに理にかなった、人智の極みともいうべき営みなのかもしれません。

車の往来のはげしい都会のど真ん中でデモ行進などするよりも、日本中の山間部に散らばってオシッコかけ運動でもしたほうが、はるかに健康的かもね。オシッコに鉄を溶かす威力はありませんが、電力業界へのイエローカードとなる資格は十分。もっとも送電線が発電事業から切り離されれば、こんなクサい運動も必要なくなるんですけどね。

今週の野菜とレシピ

小ぶりではありますが、青首大根が出てきました。おつゆの実、きんぴらなどにご利用ください。

小松菜京菜も、椎茸を数枚スライスして加えると、出汁がなくてもおいしいスープになります。味つけは塩とオイスターソース少々。ほんとにこれだけで香りのいい、栄養満点のスープになるんです。

馬田さんの椎茸はハウス栽培で、ハウス内にはマイナスイオン発生装置を設置。ふだんから環境には特別な注意を払っていますが、菌床となるおがくずや種菌などの一部に汚染が出ているため、念のために検査に出しています。結果のコピーが届きましたので参考にしてください。

検査結果