山の恵み

2011年12月第2週

今週の野菜セット

左から

ようやく冬らしくなってきました。

冬野菜のことを考えると霜が降り、地面も凍りつくような寒さが望まれるのですが、いざそれが現実になると震えあがり、気温がゆるむとほっとする体たらく。われながら軟弱だなあ、と思います。

でも、人体にかかる最大のストレスは寒さですものね。平均寿命が延びてきたのは、幼児の死亡率が減ったせいもありますが、いちばん大きいのは冷暖房が普及して暮らしやすくなったせいだといわれています。老人の顔からしわが消え、全体にのっぺりとした生活感のない顔が増えているのも、おなじところからきているようです。

そのかわり生活習慣病も右肩上がりで増えている。聞いたこともないような難病・奇病も増えています。いくら室内が快適になっても、エネルギーそのものが有害なら、いずれそれはわたしたちに還ってくるし、また、室内があたたかいからといって身体を冷やすようなものを食べていたのでは、暖房の効果も半減しそうです。

冷えは万病の元。外部に熱を求めるよりも、内側から発熱しようと思ったら、やっぱり食べものですよね。身体が芯からあたたまるようなを食事をこころがけたいものです。

ようやく紅葉がはじまり、山の中が燃え立つように色づいてきたと思ったら、それを観賞する間もなく散りはじめています。

真っ赤に熟したカラスウリを見つけると、持ち帰ってあちこちに飾るのが慣例になっていますが、これを二・三個つるしただけでほの暗い廊下の隅にぽっと明かりが灯ったよう・・・。カラスウリ一個がおよそ十ワット。これ以上の節電はないだろうと、家人と話し合っています。

カラスウリみたいな小さなものでさえ、それだけの効果があるのですから、鮮やかに紅葉した山の中は天然の電飾に彩られているかのように華やぎます。都会の電飾とちがうところは、朝日の中で輝きを増すという点で、朝の散歩が至福の時間帯になるのです。もったいないなあと思いながら、それが散るのを眺めています。

散ったら散ったで、今度はそれが贅沢な草木染めのカーペットになるんですけどね。こんなうつくしい贈り物を、この秋は心から喜べないたくさんのひとがいる・・・。山の幸は食べものだけではなかったんだと、あらためて気づかされ、汚染物質を「無主物」などと称する巨大企業の厚顔無恥にあきれかえってしまいました。

今年の流行語にはぜったいこの「無主物」が選ばれると思ってたんですけどね。出てくる時期が遅かったせいか、無難なものになってしまいました。小さな企業の失態には追究の手をゆるめないマスコミも、相手が大きいと腰がひけるのでしょうか。あまり騒がれてもいないようです。

こんな無責任な言動が放置されるようじゃ、この国のエネルギー政策も変わりようがない。ずるずると現状が維持されそうな、いやーな予感がしますよね。

今週の野菜とレシピ

冬野菜は凍るような寒さの中で滋味を増すのに、わたしたちの身体をあたためる働きがあります。中でも大根はすぐれもので、たとえ寒風の中でも、ふろふき大根をふうふういいながら食べると汗ばんでくるぐらいです。

飽きずに大根

わが家では、好子さんから大根をもらうとそれを全部、2センチぐらいの厚さに切って皮をむき、面取りもして、出汁昆布といっしょにやわらかく湯がいておきます。それをすこしずつ、柚子味噌や唐辛子味噌で毎食、ふうふういいながらいただきます。ちょっと飽きてきたら、フライパンに油を敷いて両面こんがりと焼き、醤油とオイスターソース少々をからめてステーキ風に・・・。七味唐辛子をふって食べると、これがまたおいしいんです。なにせ大きな大根ですから、もてあまし気味の方はお試しください。

山芋の茶碗蒸し

山芋もこの時期は茶碗蒸しがおすすめ。まず濃いめの出汁を用意。それから山芋を摺りおろし、卵1個と塩をひとつまみ加えてよく混ぜ、人数分の茶碗に分けます。茶碗の四分の一ぐらいになるのが理想的。お好みで焼き銀杏や百合根を加えてください。それを蒸している間に、出汁のほうもあたためて醤油と塩少々で調味して、葛か片栗粉でとろみをつけておきます。蒸しあがった山芋にたっぷり出汁をかけ、柚子の皮を1片添えてできあがり。スプーンで全体をかき混ぜていただきます。これもあたたまりますからね、風邪をひいている方にはとくにおすすめです。


まだまだ気温の上下がはげしいようなので、元気な人でも体調を崩しやすいと思います。こんなときはカロリーの高い食事を避けて、消化のいいもの、額に汗がにじむぐらいあたたまるもので養生してくださいね。