フランケンシュタイン博士は誰だ?

2011年4月第4週

今週の野菜セット

左から

桜が咲き、桃も咲き、白い杏の花も咲いて春爛漫だったのが、急に寒くなって白いものまでぱらつきました。その合間に度重なる余震。かなり大きな揺れもあって、天も地もまさに動乱期に入ったようです。

益子は今週末から春の陶器市になりますが、例年通り、人が集まるんでしょうか。陶芸家もたいへんで、在庫の品は地震で大半がダメになり、新しい品物を作ろうにも窯が使えなくなっていたりして・・・。窯の修理が間に合ったところでも、余震続きでなかなか火を入れることもできないようです。

農水産業のダメージにくらべたら小さいとはいえ、人の営み全体がぐらぐらと揺さぶられているような・・・。非常事態が日常と化しつつある中、非常事態っていったいなんだろう。肥大化した物質文明そのものが、じつは非常事態だったんじゃないだろうか。そんな気がしてきました。

二月末のこの欄に、今年はウグイスよりも先にコジュケイが啼きだし、キジの姿を見かけることも多くなった。これはもしかしたら天変地異の前ぶれ?、みたいなことを書いています。三月十一日からはじまった混乱がようやく落ち着いたとき、思い出したのがこのことで、コジュケイやキジといった野鳥たちはこのことを知っていたんじゃないだろうか。だから一ヶ月以上も早く、繁殖期でもないのに騒ぎはじめたんじゃないか、と思ったのでした。

今、読みかえしてみたら、もうなにがあっても驚きませんけど・・・なんて書いていますが、これは思い上がりだったみたいですね。なんの予知能力もない人間は、足下からいきなり地面が消えたかのようにおたおたさせられたのです。そこへもって福島原発の黒雲がむくむくと持ち上がったのですから、心許ない地面の上を右往左往する、アリよりも情報収集能力のない無力な生きものとなり果てたのでした。

根拠のない自信というのは、なにも電力会社やその関係者にかぎったことではなかったみたいです。愚かという点では同罪。ただ理解しがたいのは、各地の原発が安全性を見直すというパーフォーマンスはしても、停止には至りそうもないのと、大規模な反原発デモがあっても、マスコミがそれを報じないこと。電気事業法などという原発推進のためにあるような法律に関しても、だれも言及しようとしないという不気味さです。

フランケンシュタインというと、あの巨大な怪物が連想されますが、じつは怪物のほうは無名で、あっても第一号とか第二号などというものだったにちがいありません。フランケンシュタインというのは創造者の博士の名前。怪物が暴れ出して制御がきかなくなると、博士のほうは恐れおののいて逃げ出しますが、だれもそちらのほうは糾弾せずに、かわいそうな怪物ばかり責め立てる。それが今、各地で起こっていることだと思います。

わたしたちがしなければいけないのは、フランケンシュタイン博士のほうの息の根を止めることで、博士をかくまっている連中も一掃してしまうこと。そうすれば、怪物たちも自然と鳴りを潜めることになるでしょう。埋葬には時間がかかるでしょうけど、これ以上使用済み核燃料が増えることを考えたら、かれらを安眠させるためにどれだけ経費と時間がかかっても、これはもうしかたがない。これ以上、わたしたちの子供や孫たちにツケをまわすようなことはできませんものね。

あれだけ騒ぎ立てていたキジやコジュケイが、地震からこっち、しんとしているので、姿を消してしまったのかと思っていたら、また賑やかになってきました。キジのケーン、ケーンで目をさまし、コジュケイのチョットコイ、チョットコイに誘われるように山に入る・・・。いつもの春になりました。

思えば野鳥もわたしたち同様、この島国から逃げ出すわけには行かないのです。運命共同体なんですね。スズメやカラスも抱卵をはじめ、下見に来たツバメが家の中まで入って来るようになりました。アオサギも例年より早く飛来しているようです。そんな渡り鳥の姿を見るにつけ、被災地の変わり果てた姿と、愕然とする鳥たちの姿が目に浮かび、なんともやりきれない気分になります。

この運命共同体の命運を左右するのはわたしたちですから、経済発展などという悪魔のささやきにこれ以上耳をかたむけてはいけない。これ以上の暴挙と冒涜は許されまいと思うのですが、思うだけではダメなんでしょうね。

今週の野菜とレシピ

今週も友愛作業所の原木椎茸が入りました。形はばらばらですが、肉厚のどんこ種です。香りと歯応えを楽しんでください。。

好子さんのかぶも先週の寒さで生育が止まっていましたが、ここへ来て急に大きくなりました。お味噌汁、一夜漬けでどうぞ。

間引き玉葱は、小さな玉の部分は半割りか四分の一に切り、ネギのような青い部分も大雑把に切って、油炒めして味醂、または砂糖少々と味噌で調味。あつあつをご飯にのせて食べるのが栃木風で、わたしもはじめて農家でごちそうになってから、毎年作るようになりました。

ニラはおそらくこれが最終便。最後のニラで作るのがニラ醤油で、小口切りにしたニラを広口瓶に詰め、醤油に浸し、胡麻油を少量加えて冷蔵保存しておきます。夏になったらこれを冷や奴にかけたり、焼き肉のたれ代わりに使います。お好みでニンニクのみじん切りや唐辛子を加えてください。

今年は春が遅かったのでタケノコも遅れていますが、来週には野菜セットに入りそうです。