残暑見舞い

2011年8月第3週

今週の野菜セット

左から

束の間の暑さかと思っていたら、しっかり腰を据えられたみたいですね。二泊三日ぐらいの客のつもりで歓待していたら、図々しく居候を決めこまれてしまったような・・・。今週も無遠慮な暑さが続きそうです。

暑さに弱い犬は、一日中家の中に隠ったきり。朝、五分ほど用足しに出る以外、涼を求めて部屋から部屋へ移動しているみたいです。夕刻、ようやく本領を発揮して、散歩をせがむといった具合。小型犬でもないのに寒さにも弱く、冬は冬でストーブの前から動かないんですけどね。

猫のほうが暑さには強いみたいです。食欲は多少落ちるかもしれませんが、どんなに暑くてもクーラーが入るとそそくさと退散してしまいます。日中は大半、木陰で寝ていて、夜中はそこらでハンテイング。その間、犬はずっと寝ているわけですから、寝てばかりといわれる猫のほうが意外と働き者なのかもしれません。

でも、働き者のナンバーワンといったら人間で、昼の暑い盛りにも道路工事はしているわ、宅配便は走っているわ、益子の通りにはお盆の帰省客がうろうろしている有様で、おさんどんに明け暮れる自分もふくめて、ほんとうによく働くけれど、裏を返せばなんと無駄の多い生きものなんでしょう。みんながごろごろと怠惰にしていれば、この暑さもかなりやわらぐはずなんですけどね。

ただでさえ暑いのに、友人のひとりは窯を炊いていて、もう夏の個展はイヤだといいながらお茶を淹れてくれました。木立に囲まれた涼風の流れる家も、さすがに千度以上にもなる窯があると逃げ出したくなります。そこをぐっと我慢してお茶を飲みながら想像したのは東電の事故現場。

高温の水蒸気でゴーグルが曇ってしまい、ふだんの定期検査のときでさえ、下請け業者はそれを外さないことには仕事にならないという過酷なところです。しかも防護服などという暑苦しいものを身につけているのですから、陶芸家がランニング一枚で暑い、暑いといっているのとはケタがちがいます。焦熱地獄に危険と不安をプラスしたようなところで、人知れず働く人たちがいると思うと、この程度の暑さで文句なんかいってたら、罰が当たると思いました。

その一方で東電の社員もお偉方も、節電、節電と大騒ぎをしながら、自分たちはクーラーの効いたところでのうのうとしているんだろうな、と思うと笑ってしまいます。腹が立つのを通り越すと、もう笑うしかないんですね。震災以来、笑いっぱなし。京都の大文字送りのバカっぷりには、笑いすぎて涙まで出る始末でした。しかしまあ、笑ってばかりもいられません。会員の中には、信頼してはいますけど、やはりそれを証明するものがほしい、という方もいて、それは当然だと思いました。こちらも当初はガイガーカウンターを購入するつもりだったのですが、空気中の測定ならともかく、野菜や土壌の数値となると数百万円の装置が必要。とても当社のような弱小グループには手が出せないのです。

そういうことを依頼するにしても、公の機関ではアテにならないかも知れません。そんなこんなで民間の依頼先に当たってみました。すでにモノは送ってあるのですが、検査が混み合っているらしく、なかなか結果がもどって来ないので、受験の発表待ちみたいなドキドキが長引いています。事故当初、このあたりの野菜からもヨー素が検出されましたが、それ以降はゼロ。抜き打ちテストでもセシウムはまったく検出されていないので、大丈夫だとは思うのですが、成績表にドキドキするのは学生時代の後遺症なんでしょうか。

卵明舎では毎月卵を検査に出しているので、結果を末尾に載せておきますが、この際、北関東ばかりでなく、関西方面の卵なんかも検査してみたら意外な結果が出るのではないでしょうか。鶏の飼料は大半が輸入品。それに全国各地から取り寄せたものが加わるのですから、養鶏場の地理的条件などさほど影響しないはず。

ついでに輸入食料品もテストしたら、京都に送られた薪の表皮に付着した微量のセシウムなど問題にならないものがけっこうあるんじゃないでしょうか。うちの近所にイタリア人のパン屋さんがいて、事故直後、慌てて子供連れで帰国したのですが、ローマ空港に降り立ってガイガーカウンターを見たら、こちらよりはるかに数値が高かったという、冗談みたいな話があったぐらい。ローマには石造りの建造物が多いので、チェルノブイリの影響が色濃く残っているようです。石は放射性物質を吸着しやすいですからね。もちろん今はパン屋も再開していて、最近、ピザ屋もはじめたそうです。

今週の野菜とレシピ

ゴーヤの収穫量がまだ安定しないので、今週はできた分だけサービスとして入れさせていただきます。初ゴーヤが九月に入ってからでは申しわけないので、隔週の方を優先したいので、入らなかった方はごめんなさい。次週、たっぷりお届けします。

夏のはじめの低温が影響しているのか、今年は野菜も果物も生育が遅れているようです。そのかわり例年にくらべて雨量があるので、オクラモロヘイアもだんだんやわらかくなってきました。このねばねばパワーで残暑を乗り切ってくださいね。