台風15号

2011年9月第4週

今週の野菜セット

左から(一部欠品しています)

生暖かい湿った風が吹いています。台風16号の影響でしょうか。これは海上で東にそれるみたいなので心配はありませんが、問題は15号のほう。またしても歩みの鈍い雨台風です。こちらのほうこそ海上で方向転換してくれるといいんですけどね。

あちらでもこちらでもコンバインが動いています。雨が降り出す前に稲刈りを済ませてしまいたいからでしょう。夕刻、真っ暗になってもエンジン音を響かせている田んぼもあるくらい。日が暮れるのが急に早くなったみたいで、犬の散歩も帰るころには暗くなります。そんな暗がりから、刈ったばかりの稲穂が香ってきます。四季のうちで唯一香りを伴うのが秋。一年のうちでもっとも波乱が多いけど、もっとも豊かな季節でもあります。

でも、青山さんのところは田植えが半月遅いので、稲刈りもふつうの田んぼより遅れます。そうしたほうが病害虫の影響を受けにくいからなのですが、新米はもう少し待ってくださいね。

この秋の異変。アラレちゃんのところではもう金木犀が満開で香り立っているというのに、わが家のはまだ蕾もあがってきていない。南北に80キロ近く離れているとはいえ、この差は尋常ではありません。

そして柿。去年の不作を補うように、今年はたくさん実をつけていたのですが、台風12号による連日の強風で落とされたうえ、実が大きくなりきらないうちに赤くなって、風がなくてもぼろぼろ落ちてくるのです。落ちてきた柿はぶよぶよで、甘いけれどおいしくない。カリッとした歯触りが売りの柿だったのです。

そんな調子だから、今年は柿の木の下に立ってもタヌキのにおいが全然しない。柿に目がないタヌキにまでそっぽを向かれてしまった、とがっかりしていたら、近所のおばあちゃんも不思議そうに話しかけてきます。今年はイノシシ、どうしちゃったんだろうねえ。毎年サツマイモを作っていて、イノシシにやられない年なんてなかったのに、今年はさっぱり…。まるで期待はずれだったみたいな口調です。そういえば、うちの枝豆も今年は被害を受けていません。

こんなにあっても食べきれないから、と山ほど芋を持たされました。このおばあちゃん、散歩の最中にいろんなものを、それも大量にプレゼントしてくれるのです。大きなカボチャに、山のようなキュウリとか…。うれしいのですが、こっちは散歩中。犬のうんこやら、道ばたのゴミを入れるはずのポリ袋がぱんぱんに膨らんで、へたをすると歩いているうちにとっての部分が裂けてくる。途中で音を上げて、大半は知り合いの家に置いてくることになるのです。

おばあちゃんの話で気がつきましたが、今年はどこの田んぼも電柵という、電気を流した柵を張り巡らせていないのです。もちろんこれはイノシシ対策。たまに散歩中の犬がそれに触って悲鳴をあげることがあり、幼児を歩かせているお母さんたちも神経をとがらせているみたいです。

そんなものはないに越したことはないのですが、あれだけいたイノシシが姿を見せないものですから、中には真顔で心配する人も出てくるわけです。天変地異の前触れじゃなかろうか…。そんな怖いこと言わないで、と笑いながら逃げてきますが、イノシシの食害に悩まされてきた農家でさえ、災害にやられるぐらいならイノシシに源泉徴収されたほうがどれだけいいか、と言わんばかりです。

不都合と隣り合わせの日常でも、それが変わらずに続いてくれるのがありがたい。3月11日以降、そんなふうに思えるようになった人が増えているようです。わたしもそのひとり。いいことなんかなくてもいいから、おだやかな日々が続いてほしいものです。

今週の野菜とレシピ

高橋さんのサツマイモが入りました。やっぱり近所のおばあちゃんからいただくサツマイモとは、甘みもコクも違います。別格ですね。一日目はふかし芋にして、二日目はオーブンで焼き、残りはてんぷらと味噌汁にしていただきました。高橋さんのところでも、今年はイノシシの食害がなかったそうです。

シソの実は1時間ぐらい水に浸してあくを抜き、ザルにあげてよく水を切っておいてください。添付の唐辛子は小口切り、葉生姜1~2個みじん切りにしてシソの実に加え、ぎゅっと絞りながら空いている瓶に詰め、醤油をひたひたまで入れて冷蔵庫に入れておきます。翌日から食べられますが、2~3日置いたほうがおいしくなります。

唐辛子は2本付いていますが、辛いのが苦手な向きは1本にしてください。ご飯にのせて食べると最高。できれば新米でいただきたいものです。

落花生は海水ぐらいの塩分にした水で殻ごと湯がき、そのまま冷まします。冷蔵庫に入れて、少しずつお召し上がりください。茹で落花生が苦手な方は、お天気のいい日に干して、低温のオーブンで焼いてみてはどうでしょう。加熱時間は30分ぐらい。これもオーブンに入れたまま冷ましたほうが香ばしく仕上がります。