正月行事

2012年1月第1週

今週の野菜セット

左から

明けましておめでとうございます。

北関東は晴天にめぐまれましたが、例年になく寒いお正月でした。雪深い地方はたいへんだったみたいですが、みなさんのほうはいかがですか?

去年はあんなことがあったので、今年こそよい年にと思っていたところ、元旦早々大きな余震。こちらの気持ちまでぐらつきそうになりましたが、いやいや、こんなことでめげていたら、このご時世、八百屋などやっていられない。不退転の決意を新たにしたのでした。

今年もどうかよろしくお願いします。

暦の都合で、今年はひさびさにゆっくり正月休みを取ることができました。松の内は空気がきれいなので、このあたりからも富士山を遠望することができます。逆方向には日光連山。いずれも山頂に雪をいただいているのですが、近い分、日光連山の雪景色のほうがうつくしく、壮絶でさえありました。

とくに昨年は、東電の不祥事による「無主物」をあの山々が遮ってくれたのですから、おなじように合掌しても気持ちの入りかたがちがってくるみたい。折しも山腹にある密教系の寺院から、山伏の吹く法螺貝の音が響いてきたりして、北の山々がますます神々しく感じられたのでした。

山の中にひっそりとおわします石仏にもお参りして、あたりをぐるりと一周して帰ってきました。この観音さまは小さいけれど、その周辺は「気」が強いので、急斜面を上り下りしてもさほど疲れを感じないのです。そのせいか、九十を過ぎたお婆さんたちが定期的にそこを訪れていて、元旦にはすでに餅とみかんが供えてありました。「気」の強いところだから観音さまが置かれたのか、観音さまがおわしますから「気」がいいのか、そこのところはわかりませんけどね。

観音さまの山は宝の山でもあって、秋にはキノコ、春にはゼンマイやワラビが採れます。とくにワラビは質がよく、太くてやわらか。去年の春、あの「無主物」のせいで山菜採りが控えられていたときも、わたしは大量に採取して塩漬けにしておいたのですが、検査体制が整うのを待って提出してみたら、結果は「無検出」。やっぱり観音さまは侮れない、と思いましたね。

お正月明けには恒例のどんど焼き。消防車の到着を待って、部落ごとに巨大な火が上がりました。

中央にご神木を立て、周囲には火の勢いをつけるためのカヤ、爆発音を立てるための竹(これがほんとの爆竹ですね)、火持ちをよくするための稲わらが巡らされ、竪穴式住居のような建造物が用意されます。これに子供たちが火を放つ。火のまわり具合によって、その年の米のでき具合を占うものだったそうですが、今は凍てつく夜空を焦がさんばかりの火を楽しみ、無病息災を祈るものになっています。

火のまわりでは、豚汁や甘酒がふるまわれ、ふだん滅多と顔を合わすことのない人たちと歓談する機会にもなるのですが、今年はこの行事も県北や福島では「無主物」の飛散が懸念され、中止になったといいます。このあたりでも、準備がたいへんなことや人手不足のため、廃止に追い込まれた部落も多いようです。そうやって伝統行事がひとつずつ姿を消してゆく・・・。

経済活動とは縁のないものが無駄として省かれてゆくわけですね。じゃあ、経済活動がどれだけ人をしあわせにしてきたんだ、と逆に問い返したくなりますが、現に電力会社の経済活動によって中断されている神事がたくさんあるわけです。今年こそ、企業エゴだの利権だのといったむさ苦しいものから、わたしたちが自由になれる元年にしたいものです。

今週の野菜とレシピ

今週は大根を予定していましたが、好子さんの大根が凍結して出荷できなくなりました。大根の肩の部分が凍結と解凍を繰り返しているうちに、ぐずぐずになって使いものにならなくなってしまったのです。

そんなわけで青もの特集になりました。もっとも冬のこの時期は、いつも青ものばかりなんですけどね。青菜をせっせと食べて、身体をあたためろということなのかもしれません。

レタスのオイスターソース炒め

低温続きのせいか、レタスがなかなか結球してくれません。あいかわらずぼさぼさしていますが、そんなレタスのおいしい食べ方です。

用意するのはレタス1個に対して豚のバラ肉:100グラム、春雨:30グラム前後。豚バラ肉は1センチぐらいに細かく切り、春雨もお湯でもどして食べやすいように包丁を入れておきます。レタスは適当にちぎってください。

フライパンに油を熱して、豚バラ肉を炒めます。こんがり焼き色がついてきたらオイスターソース少々と塩ひとつまみ、お好みで胡椒か一味唐辛子をふってさらに炒め、豚肉がかりかりになったらレタスを加え、しんなりしてきたら春雨も加えて、今度は醤油をまわしかけます。うちの息子が憶えてくれた唯一の料理がこれ。つまり誰でもできるということですね。あたたかいうちにお召しあがりください。

山芋がんもどき

山芋が入りましたが、これもちょっと手を加えるとおいしい自家製がんもどきになります。すりおろした山芋カップ半分に卵1個を加え、よくかき混ぜたところに軽く水切りした豆腐1丁を入れ、泡立て器で泡立てないようにかき混ぜます。そこに細かく切ったニンジンと、水でもどしたヒジキを加え、小麦粉大匙3~4杯を入れたら今度は木べらで混ぜてください。

それをスプーンで掬いながら油に落として揚げるのですが、油に落として広がってしまうようなら、小麦粉を足し、こんもりした卵形に仕上がるようにします。揚げたてを濃いめの出汁で割った醤油で食べると絶品ですよ。但し、市販のがんもどきのように煮付けには向きません。残ったものはオーブンであたためなおしてくださいね。