梅雨の中休み
2012年7月第1週

左から
- 薬味ネギ
- キュウリ
- タマネギ
- ナス
- トマト
- ピーマン
- ズッキーニ
今年の梅雨は去年とおなじパターンみたいです。気象庁が梅雨入り宣言したとたん、雨がぴたりと降らなくなって中休み状態。中休みというからには、その前後に雨があるはずなのですが、それがないのですから困ったものです。
気象庁が梅雨入り宣言などしたらたいへん、と農家の面々が恐れていた通りになってしまいました。まったくよけいなことをしてくれるから・・・と、天候の不如意も気象庁のせいになってしまう。気の毒といえば気の毒ですが、多額の税金を使っているのですからね。梅雨入りして以来、唯一の雨が台風によるものだったのですから、たしかにお粗末です。
それに加えて夜間の低温。畑はカラカラ、そのうえ夜が寒いときては、夏野菜の育ちもわるいわけです。降るところはこれでもかというほどの大雨で、それはそれで過ぎたるは及ばざるがごとし、なんでしょうけどね。
先週この欄で、昼夜の寒暖の差はきゅうりのようなウリ科の野菜には好都合、と書きましたが、水不足は致命的です。茄子もピーマンも、夏野菜は水分を多く必要とするものですが、中でもきゅうりは水が好き。好子さんはきゅうりの根元に溝を掘って、毎夕、用水路から水を汲みあげていますが、それでもいじけて曲がってしまうそうです。
水不足に強いのは、モロヘイアやオクラといったアフリカ原産の面々ですが、どっこいこちらは低温に弱いのです。夜間の涼しさにほっとしているのは、犬と猫とわたしたちだけ。でも、わたしたちの安眠と引き替えに、野菜に低温障害が出ては困るので、そろそろ分厚い掛け布団は不要になってほしいもの。今週から気温がぐんと跳ね上がるといいますから、それに期待するとしましょうか。もっとも、気象庁の発表なのでどうなるかはわかりませんけどね。
水不足の唯一いいところは、畑の草が激減すること。雨がないと、草の種が発芽できなくなるからです。草むしりの手間が省けるかわり、水運びの労が加わるわけですが、それでも草に追い立てられないという開放感は、一時的にせよ、ありがたいものです。
ところが雨がすくないと、雑草が発芽しにくくなるかわり、虫の卵が孵りやすくなる。雨が続くと、葉陰に産みつけられた卵の大半が土に埋もれて、孵化できなくなるのですが、そういうロスがなくなるわけです。だから旱魃が続くと、虫害も発生しやすく、植物にとっては弱り目に祟り目。農家にとっても災難です。かといって多雨になると虫害は減るかわり、今度は病気が発生しやすくなる。植物の病気の大半はカビ菌によるものですからね。要するに小雨も多雨も、極端なものは困るというわけです。ところがほどほどの雨とか、ほどほどの晴天とか、そんな都合のいいことってありませんものね。天候にも天候の都合というのがあるはず。ほどほどのところで欲望を抑えることのできない人間が、天候にそれを求めるほうがまちがっているのかもしれません。
そうは思っても、やっぱりここらでひと雨ほしい。これもまた、際限のない欲望のひとつなのかもしれませんけどね。
以上が土曜日に書いた分。何者かがこれを盗み見て、天に報告してくれたのでしょうか。日曜日の夕方から小雨が降りはじめ、明け方まで続いてくれました。野菜たちはほっとひと息。農家も胸をなで下ろしているにちがいありません。
今朝、畑をぐるりと一周してみると、自家用の香菜がひと晩で五センチも背丈を伸ばしていました。昨日の午後、そこにかがみこんで草むしりをしていたのですから、まちがいはありません。地中の水気を吸って、こうしている間にも背丈を伸ばしているかもしれない。夕方が楽しみです。
雨の力ってすごいですね。如雨露で潅水したのではそうはゆきません。それどころか、中途半端な水やりは、逆に植物を弱らせかねません。畑全体に何時間にもわたって水やりができるのは、天水しかない。あたりまえのことですけど、あらためてその力に感じ入ったしだいです。
今週の野菜とレシピ
今週はトマトが800グラムに増えました。茄子とピーマンはどちらも収穫量が安定しないため、どちらか一方が入ります。
ズッキーニは輪切りにして素揚げ。茄子かピーマンも食べやすい大きさに切って揚げ、熱いうちに麺つゆに浸け、お好みで唐辛子をふってください。冷めたほうがおいしいので、多めに作っておくといいですよ。
残った麺つゆで素麺か冷や麦をいただきます。つゆに油気があるので、きゅうりの細切りと青紫蘇をたっぷり添えて・・・。錦糸卵もいっしょに散らすと彩りがよく、栄養のバランスもよくなりそうです。