放射線測定の話

2012年4月第3週

今週の野菜セット

左から

桜は満開。でも、今年はどこにも桃の花が見あたりません。例年なら桃のほうが先に開花。すこし遅れて桜が満開になり、ピンクの濃淡がきれいなんですが、今年は代わりに辛夷(こぶし)が入り、霞のような淡い濃淡。ちょっと貧血気味(?)みたいな感じの春景色です。

でも、土の中は血気盛んとみえ、去年はゼロに近かったツクシが大量に出たかと思うと、日当たりのいいところではもう山ウドの芽が土を持ち上げようとしています。春というのはエネルギッシュなものですが、今年はそれがとくに強く感じられます。昨年は大きな揺れに見舞われて、そのショックで大地も呆然自失気味だったので、その分も頑張ろうとしているかのよう・・・。

フキノトウもこの春は、寒さにもかかわらず大量に採れたといいます。この調子だとタケノコも今年はいっぱい出るぞ、と青山さん。先月からタケノコの豊作宣言をしていますが、そのタケノコに暗い影。茨城産と群馬産のタケノコから基準を超えるセシウムが検出されたからです。

みなさんも不安を感じておられるでしょうが、実をいうとわたしたちも不安なんです。青菜類は町の検査をクリアしていますが、タケノコやキノコ類はどうやら青物とは放射線の吸収のしかたがちがうみたいだからです。もちろん、タケノコも検査をパスしなければ出荷になりませんが、これまで検査を依頼していた市や町の簡易検査とはちがって、来月にはもっと精度の高い食品放射線ベクレルモニターAT-1320A(ベラルーシのATOMTEX社製)が益子町に入ります。お役所仕事はアテにならない、というので有志が集まり、共同で検査場を立ち上げているところです。

検査機はもう届いていますが、検査場の建物(小屋みたいなものですけど)と検査官の準備のほうが遅れているようです。誤差の調整のしかたとか、機械によって対応がちがうので、正確な数値を出すためには機械とじっくりつきあって、親密になっておく必要があるそうです。タケノコの出荷に間に合ってくれるといいんですけどね。

栃木県南部のこのあたりは、先月、農水省から発表された放射性物質濃度分布図を見るとわかるように、土壌中のセシウムがほとんど検出されていません。関東地方の真ん中にぽっかりと空白ができているのは、前にもお話したように日光連山が盾の役割をしているからです。ちょっと見づらいかもしれませんが、農業新聞のコピーを末尾に載せておきます。

こんな幸運に恵まれていても、放射性物質の飛散は皆無というわけではありません。今なお、毎時0.005~.0.01ベクトルの無主物の飛来があり、現場の状況しだいではこの数値もまた変化しかねないという不安があります。事が順調に運んだところで、わたしたちが生きている間には収束できるはずもない事故ですからね。人の口に入るものを提供する立場上、万全を期さねばなりません。

ただ、これまでは正確なデータの出る検査は高額なうえ、一ヶ月ちかくも待たされるので、検査結果を待っているうちにほとんどの野菜が使いものにならなくなってしまいます。そのため、市や町の簡易検査に頼らざるを得ないという事情がありました。非常にあいまいな信頼関係に、これまでは甘んじていましたが、今後はその信頼をもっと確かなものにしてゆきますのでよろしくお願いします。

今週の野菜とレシピ

野口さんの春キャベツが入ります。前回は途中で台風並みの嵐に遭遇。荷物が遅れたり、畑が被害を受けたりして迷惑をおかけしましたが、今度は大雨に祟られているそうです。春キャベツは雨に弱く、傷みが出やすくなるので、頭の痛いところ。無事に届いてほしいものです。

やわらかい春キャベツは生食がいちばん。適当にざくざく切って塩をふり、しんなりしたら水気を切って醤油と胡麻油で和え、鰹節をまぶします。ご飯によく合うサラダですよ。

かぶも食べやすいように半分にしてからスライスし、葉っぱと茎はざくざく切っていっしょに塩もみ。これも醤油と胡麻油で和えると、和風サラダのような、お漬け物のような・・・。お弁当のおかずにもできそうです。

あぶら菜の焼きそば

あぶら菜はさっと湯がいて辛子醤油で和えるのが定番ですが、油炒めしても美味。あぶら菜が出てくるとお昼に作るのが焼きそばです。

用意するのはあぶら菜のほかに厚揚げ1枚、ふつうの蒸し焼きそば人数分のみ。人数が多いときはあぶら菜だけでなく、小松菜もいっしょに炒めてくださいね。フライパンをふたつ用意して、一方には油を多めにいれて焼きそばを入れ、強火にかけておきます。これはかき回さないこと。焼きそばの表面に焦げ色がつき、カリッとなったら裏返すだけ。

もう一方のフライパンにも油を熱し、ひと口大に切った厚揚げを炒めます。これも強火で表面がカリッとなるぐらいまで炒めたら、青菜を加え、青菜がしんなりしたらひたひたまで水を加えます。煮立ってきたら塩、胡椒、オイスターソースで調味。水溶き片栗粉でとろみをつけ、香りづけの胡麻油少々をたらしたらできあがり。このとき、隠し味程度に酢も加えるとおいしくなります。

カリカリ焼きそばの上に盛り、練り辛子を添えてどうぞ。