医食同源

2012年9月第3週

今週の野菜セット

左から

朝夕、過ごしやすくなったとはいえ、日中は厳しい残暑が続いています。でも、今週末は秋のお彼岸。暑さ寒さも彼岸まで、といいますからね。今週いっぱい頑張るとしましょうか。

それ以降はもうご勘弁。だれか、この強すぎる太平洋高気圧をどこかへ連れてってくれないでしょうか。こいつが居座っているおかげで、秋雨前線が近づけない。一都五県の水瓶を満たすには台風の力を借りるしかないというのに、それも来ない。夕立で一時的に潤った畑も、またからからになってしまい、農家も当分水遣りの労から解放されそうにありません。

秋の虫の声が日に日に大きくなってゆきますが、かれらが懸命に羽を擦りあわせ、秋をたぐり寄せようとしても、この高気圧が居座っているかぎり、無理なんでしょうね。

先日、台所でオケラを見つけました。なぜ、オケラが台所になんか?土中にいるところを、草むしりでもしているときに根っこといっしょに引っ張り出され、それが野菜といっしょに持ち込まれたとしか考えられません。バッタやカマドウマなら、ちょいちょい見かけるのですが・・・。

オケラは2センチ足らずの黒い虫ですが、モグラ同様、土中を動きまわるので前足が発達しています。そのため、手にとるとバンザイかホールドアップでもしているようで愛嬌があるのです。でも、姿が見えないときにはいやなヤツ。畑の作物に害をなす上、夏の夜にはジーッという低い声を出し、蒸し暑さを倍増するからです。

その昔、シュタイナー農法による害虫の駆除法をみんなで読んでいたとき、青山さんも好子さんも「ケラってなに?」といい、オケラのことだよ、といってもきょとんとした顔をしていました。そう、20年前ぐらいまで、このあたりにオケラはいなかったのです。つまり、20年ぐらい前まで、このあたりは今のように暑くはなかったのですね。

オケラが北上してきた今では、どこの畑にもいると思うのですが、このあたりの農家には馴染みがないせいか、?(ネキリムシ)やヨトウ虫のように話題になることはないようです。それとも、今のところはまだ少数派なのかもしれません。わたしも実物に遭遇するのは子供のとき以来。子供のころは関西にいたので、庭先にちいさな穴を見つけると、そこに糸をたらしてオケラ釣りをしたものでした。なつかしさも手伝って、台所をうろついていたオケラは無罪放免。今頃、裏庭のミョウガ畑にでも潜りこんでいるんでしょうね。畑ではカマキリの姿が目立つようになりました。風もないのに葉っぱがゆらゆらそよいでいると、かならずそこに枝葉に擬態したカマキリがいて、バッタやコオロギを待ち受けています。トマトの支柱にはクモが巣を張って、これも虫たちを待ち受けます。

どちらも心強い農家の味方なのですが、残念ながら農薬散布にきわめて弱く、今や希少種になりつつあります。草食昆虫たちがどんどん耐性をつけてゆくのに対して、こちらは無力。農薬の効かなくなった虫たちが跋扈するようになっても、それを間引いてくれる者は帰ってくることができないのです。

近年、ネオニコチノイドという農薬が注目されていますが、これは主成分がニコチンなので人体には無害。しかし昆虫たちの遺伝子を撹乱させるので、目的を見失った虫たちが餓死することになるのです。夢の農薬ともいわれています。が、そんな虫を補食した肉食の虫もまた、攪乱されることになる。むしろ従来の殺虫剤よりおそろしく、人体に害がないといっても、将来のことはわかりません。

種子の遺伝子操作といい、こうした新種の農薬類といい、魂を悪魔に売ったかのような商品がじわじわと拡散しているんですね。そして農業とは関係ないけれど、臓器移植が主流になりつつある医療も怖いし、ダウン症児の出生前診断も怖い。黒い魔の手は医学界にも広がりつつあるんでしょうか。わるい意味での医食同源。わたしたちは本来の医食同源でそれに対抗するしかなさそうですね。

今週の野菜とレシピ

今週は里芋さつま芋が入ります。気候のほうがぐずぐずと夏を引きずっているので、気分だけでも秋らしく・・・。

野菜もモロヘイアオクラが夏を引きずっている感じですが、青物が育つまで今すこしお待ちください。

先週の小松菜は好子さんがお盆のころ、試しに蒔いてみたもので、案の定かなり虫に食われていました。本格的な出荷になる分は、双葉からようやく本葉が出てきたところだとか。来月から軌道に乗るそうです。

ニンニクは去年、いつまでも暖かいので油断していたら、急に寒くなりました。そんなときに慌てて蒔いたので、収穫が遅れていたそうです。

新生姜はスライスして甘酢に漬けるか、摺りおろして焼き茄子にたっぷり添えて・・・。また摺りおろしたものに砂糖を加えて煮つめ、ジャムにしておくと冬の防寒や風邪のひきはじめ、お湯で割ったり紅茶に入れて飲むと身体が芯からあたたまります。

牛蒡は青山さんの稲刈りがはじまったため、来週に持ち越されました。新米が出てくるころには、暑さに疲れた身体にも食欲がもどってくるでしょうね。