乾期の益子

2012年8月第2週

今週の野菜セット

左から

暑い日が続きます。いかがお過ごしですか?

ひと昔前までは、お金のかからない避暑法といったら農家の真似をすることでした。農家は真夏でも長袖のシャツに長ズボン。首にはタオルといった暑苦しい格好をしています。ところがその格好で草むしりなどしてみると、見かけによらず涼しいのです。汗だくになるので、シャツもタオルもまたたく間に濡れて、そよとでも風が吹くと気化熱が奪われてひんやりする。自給自足の天然クーラーだったわけですね。

でも、昨今の殺人的な暑さの中でそれをやったら、どうにかなってしまいそう・・・。最近の若いもんはなっとらん、とばかり、長年の経験に裏打ちされた避暑法で畑に出たお年寄りが、あちこちで亡くなっているんじゃないでしょうか。十年前とは暑さの質がちがうみたいです。

日の出とともに起き出して、午前中いっぱい仕事して、昼食後に昼寝。三時を過ぎて、日が傾きはじめたころ、ふたたび畑に出るというのが従来のパターンでしたが、午前中でも日が高くなったら畑にいられない。夕方も五時ぐらいにならないと出られない。もてあます時間が長くなったといいます。

犬の散歩も日のあるうちはできません。アラレちゃんは毎朝五時起き。うちの犬は夜間、猫と遊びまわっているので朝には弱く、家人が掃除をはじめるまで寝ているので朝の散歩はパス。助かっていますが、田舎ですらそうなのですから、都市部の犬たちはどうしているんでしょう。

猫のほうが暑さには強いみたいですね。それでも最近、食欲が落ちてきました。うちの中で食欲旺盛なのは金魚だけ。水もぬるくなっていると思うんですけどね。

このあたりのいいところは、夕刻になると風が急に冷たくなることですが、雨のほうはあいかわらず。日中、これだけ気温が上がると夕立があってもよさそうなものですが、それもなく、こうなったら台風にでも期待するありません。でも、九州や四国のことを考えるとねえ。不如意を受け入れるのも農家の仕事のうちなのかもしれません。

夕刻、ヒグラシの羽音を聞きながらせっせと水運び。うちにいくつもある雨水受けの瓶やバケツも全部カラになってしまい、罪悪感を感じながら水道水を使っているしだい。ホースを使うと際限なくなりそうなので、バケツもしくは如雨露を利用。風呂の残り湯も米のとぎ汁も捨てられなくなりました。

でも、水不足というわけではないんですよ。このあたりの河川の上流ではけっこう夕立があるみたいで、用水路の水も豊富。アメリカ南部やインドの旱魃にくらべたら生ぬるく、どうとでもなりそうですが、それでも畑に潅水するのと雨が降るのとでは雲泥の差があります。畑全体に何時間も如雨露で水やりはできませんものね。潅水ができたところで、ほんの一部分にすぎないからです。やっぱり天の怪力にはかないません。

水を運びながら思うのは、バケツ一杯でもこれだけの重量があるものを、海面からよっこらしょと持ち上げる月の引力のすごさです。先日の満月時に気のせいか、バケツがいくらか軽く感じられたのも、わたし自身が持ち上げられていたからかもしれない。だって、人体も水みたいなものですからね。

そんなことを考えなから、今度は太陽に思いを巡らせると、その大きさとエネルギーに頭がクラクラしてきそう・・・。磁気嵐も殺人的な暑さも甘受するしかないんだなあ、と思ったしだいです。

週が明けて月曜日。曇り空で暑さはかなりやわらぎましたが、やっぱり雨らしい雨は期待できそうにありません。大きな焚き火でもして、雨乞いをしたほうがいいのかもしれませんね。

今週の野菜とレシピ

今週はミョウガが入りました。麺類や冷や奴の薬味にもなりますが、実はピーマンとも相性がいいんです。ピーマンは種をつけたまま四分の一に切って油で炒め、その上にきざみミョウガと鰹節をのせて醤油で調味。食欲のないときでもご飯が進みます。

茄子をスライスして炒め、塩とオイスターソースで調味。そこにきざみミョウガを混ぜても美味。ともあれミョウガは夏の食欲増進剤。ほんとうはもっとたくさんお分けしたいのですが、雨がないのでなかなか思うようにはなりません。ミョウガの卵とじ、糠漬け、梅酢漬けなど、食べたいものはたくさんあるんですけどね。

枝豆も水不足でなかなか実が入らないようです。旱魃につよいオクラモロヘイアで暑さに疲れた身体を癒やしてください。