木枯らし一番

2012年11月第2週

今週の野菜セット

左から

木枯らし一番は吹きましたか?

このあたりもだいぶ寒くなってきました。でも、昼間の温度はあいかわらず高めで、唐辛子やピーマンが実をつけ続けています。十一月にピーマンを収穫するなんて前代未聞ですが、実をつけているうちはかたづけられませんものね。ところが一度でも霜が下りると、凍傷にかかって枯れてしまうんです。今週あたり、そうなるのかもしれません。

夏の名残が姿を消す一方、ついこの間まで頼りなげだった冬野菜が育ち、しっかりと大地に根づいています。たまに見かけるバッタは枯れ葉色になり、足元もよろよろと頼りない。もう虫に食われる心配もなくなったからでしょう。大根も白菜も深呼吸でもするように、大きく葉っぱを広げています。この葉っぱが毎朝、霜にあたるようになると冬本番。早くそうなってほしいような、そうでもないような、ようやく寒さが身にしみはじめた今日このごろです。

ストーブにも火が入りました。まだちょっと早いかな、と思っていましたが、猫ではなく犬のほうがストーブの前に陣取って、訴えかけるような目でこちらを見るからです。小型犬でもないのに寒がりで、昼間は縁先で日光浴。背中が熱くなってきたら家に入ってそれを冷まし、冷めたら出て行くの繰り返しで、夜はストーブの前で伸びきってカーペット状態。

本格的に眠るときは、わたしよりも先にベッドに入っているといった具合。おかげで毎晩、あたたかい布団で寝ることができるんですけどね。猫より身体が大きい分、暖房効果も大きい上、猫ほど図々しくないので寝心地もいいのです。ただ、あんまり寝相がわるいと出て行かれてしまうので、気を遣うということはありますけど・・・。

ともあれ、寒いときは身を寄せ合うのがいちばん。例年なら今ごろ、地中でもヘビが団子になっているのですが、今年はまだ草むらにうろうろしているのがいるみたい。今のうちにベッドにもぐりこまないと、ほんとうに寒くなったら身動きがとれなくなってしまうのに・・・。

十年ほど前、実際にエンストしているヘビを見たことがあります。急にさむくなったんでしょうね。犬がやたらと吠えるので、覗いてみたら家のわきのキンカンの根元に一メートルちかくもあるヤマカガシが伸びていて、おそるおそる突いてみても動かないのです。太陽電池が切れているので、動けないんですね。移動させるといっても重たそうだし、ちょっと怖いし、迷ったあげくに古い毛布を引っ張り出してきて、二つ折りにしてヤマカガシの上にかけておいたところ、翌日には消えていました。ほっとひと安心。面白かったのは残った毛布で、土の上に置いてしまったのでそのまま犬の寝床に置いたところ、ヘビの匂いがするんでしょうか、寝床に入らなくなってしまいました。しかたなく縁先に広げておいたら、いつの間にか野良猫が集まってきて・・・。

当時うちにいた山羊も犬もヘビは苦手だったのに、猫は平気なんですね。平気どころか、おもちゃにして殺してしまうんです。家のまわりでボールペンサイズのヘビの干物をみかけたら、やつらの仕業と思ってまちがいありません。

その毛布、オス猫どものマーキングで、そのうち耐えがたい臭気を発するようになり、結局捨ててしまいましたけど・・・。そんなこんながあって、今ではヘビの避難所には不要になった波形トタンを置いています。陽光があると、トタンの下は高温になりますからね。春先とこの季節にはそれが役に立っているようです。

そのヘビも、最近すくなくなりました。カエルの数が減っているのでしかたがないのかもしれませんが、身のまわりから生きものが消えてゆくのは、寂しいなんて情緒的なことでなく、このごろではおそろしく感じられるようになってきました。

カメムシのような、あまりありがたくない虫までが減っている。ひと昔前まで、雨が降る前日にはちいさな羽虫が大発生していたものですが、それも見かけないし、夏にはどこでも見られた蚊柱も見かけない。生態系の底辺あたりがどんどん狭められているようで、そのうち、そしてだれもいなくなった、なんてことになるんじゃないか、一抹の不安がよぎります。

動植物が絶滅するたびに、人類が依って立つ大地も痩せてゆくわけですが、この引き潮が加速したらどうなってしまうのか。ほんとうにおそろしいと思います。

今週の野菜とレシピ

今週もブロッコリーが入ります。小房にわけて塩茹でしますが、火を通しすぎないようにしてくださいね。歯ごたえが残るぐらいでザルに上げ、辛子醤油で和えてみてください。お好みでマヨネーズを添えてどうぞ。

ほうれん草はナムル風のおひたしで・・・。3センチぐらいにざくざく切って湯がいたら、水気をよく切り、軽く絞ってから鰹節をかけ、醤油と胡麻油で調味。よく混ぜておきます。これはご飯の喉ごしがよくなるので、お弁当のおかずにも向いています。

大根の葉っぱは軽く湯がいてから細かくきざみ、水気をよく絞ってからちりめんじゃこといっしょに炒めます。一味唐辛子と醤油で調味。仕上げに煎り胡麻をたっぷり加えると日持ちのする常備菜になります。これもお弁当に重宝します。

本体の大根のほうはおつゆの実かサラダ。短冊に切ってきんぴらにしてもおいしいですよ。一週ごとに大きくなってゆく大根。来週あたり、おでんかブリ大根にできるといいですね。