春の息吹

2012年1月第3週

今週の野菜セット

左から

初雪が降りました。積雪量はすくなめでしたが、一ヶ月半ぶりのお湿りです。これで大地が潤ってくれるといいのでしが・・・。

ともあれ、これでひと安心。遅れて蒔いたほうれん草も育ちはじめるでしょうし、ピンポン球のまま乾燥野菜になってしまったブロッコリーも、もしかしたら復活してくれるかもしれません。ネギも早く青々と蘇ってほしいものです。

雪は冬のものですが、このあたりでは冬の訪れを告げるというより、むしろ春の兆しと捉えられているようで、早春の風物詩。うっすら積もった雪の下では、フキノトウが膨らみ、草花の種がもぞもぞと活動を開始するのだそうです。日に日に長くなってゆく日照時間も、春が近づいていることを告げているかのよう・・・。寒いとはいえ、今がいちばんわくわくする時期なのかもしれません。

雪が降ると、山の中にいる動物たちの消息がよくわかります。いつもは目に入らない足跡が雪の上にくっきりと残されるからで、いちばんわかりやすいのが野ウサギ。これはモールス信号のツートンのように、ー・ー・という痕跡を残してゆきます。猫の足跡みたいなのがハクビシン。野良猫は野菜畑などに興味がありませんからね。オオカミでもいるんだろうか、とぎょっとしたことがありますが、それは飼い犬の足跡でした。

雪上の足跡というのは、大きく見えるものですからね。犬の足跡に見えるのはタヌキのものです。イノシシが徘徊した後には、チューリップ型の蹄の跡が点々と残るのですが、今年はそれが見あたりません。去年からイノシシの数が減っているのは、移動したという説と、一昨年、狩猟やら罠やらで獲りすぎたからだという説があるのですが、おそらく両方とも正解で、おちおち暮らしてゆけなくなったから引っ越して行ったのかもしれません。

それでも山に入るとイノシシの痕跡があり、冬の間、食糧が不足するせいか、どんどんそれが増えてきています。どういう痕跡かというと、耕耘機で地面をかき回したように、昨日まで落ち葉や枯れ草だらけだったところが、ミニ菜園のようになっているのです。目的は土中のミミズ。ミミズは良質の高タンパク食品と見えて、天然の腐葉土がありそうなところが堀りかえされています。

ミミズを主食とするモグラも活発に動きはじめたと見えて、庭先といわず、林の中といわず、これもまた昨日までなにもなかったところに、土を掻き出して盛り上げたモグラ饅頭が散在しています。モグラが活動をはじめると、上空を舞うトンビも増え、かれらはモグラ饅頭の土が動くとそれを見逃がさず、急降下してモグラを捕獲するのです。

うちの犬もモグラ饅頭の表面がすこしでも動くと、すかさず鼻面を突っ込むのですが、こちらはいつも逃げられているみたいです。くやしまぎれに、モグラのトンネル沿いに地面を掘り返したりするので、夕刻など、それに足をとられて転びそうになるのが困りもの。しかし、彼女の名誉のためにいっておくと、モグラには逃げられてもネズミを捕ることはできるんですよ。

散歩の途中、落ち葉や枯れ草の山をしばらく凝視していたかと思うと、突然身を翻して頭からジャンプする。失敗することもあるのですが、たいてい親指大のちいさな野ネズミをゲットしています。しばらくは大事そうに咥えていますが、そのうち飽きて捨ててしまうんですけどね。

猫はネズミとモグラ、両方とも捕まえますが、ネズミは食糧、モグラは玩具と決まっているようで、モグラを食べると腰をぬかすともいわれています。一方、犬はモグラはゲットできても、動きの速いネズミは無理といわれているのですが、うちのはどうも逆みたい。これは幼少のころ、猫とばかり遊んでいたのと関係があるのかもしれません。

犬は散歩中、樹上も気になるようです。幹に前足をかけて伸びあがっているときは、たいてい樹上にリスがいて、枝づたいに駆けてゆく姿が見られます。国有林と民有林の境界線上には、スギやヒノキが規則正しく並んでいることが多く、長距離移動をするときには高速道路のように使われているのかもしれません。

リスなどは冬の間、巣にこもって秋口に集めた木の実などを食べているとばかり思っていたら、さにあらず。むしろこの時期のほうがリスに遭遇しやすいのです。それはリスに関する常識がまちがっていたのかもしれませんが、よく考えてみたら、樹木が葉を落としている時期のほうが姿が見えやすいということなのかも・・・。この冬にかぎってよく見かけるということは、貯蔵した食糧が足りなかったのかもしれません。

この時期、休眠しているように見える畑でも山の中でも、地中から上空にいたるまで、これだけの生きものたちがうごめいているのです。かれらの息づかいを感じるたびに春が近くなってゆく・・・。まだまだ寒さは続きそうですが、気分だけは一歩先んじて、日だまりのような温もりの中にいたいものですね。

今週の野菜とレシピ

冬キャベツが入りますが、水分不足で大きくなれませんでした。かといって大きくなるのを待っていたら、かたくなってしまいそうなので、小ぶりのまま出荷することになりました。

キャベツのレシピは不要ですよね。レタスのほうはあいかわらずばさばさしていますが、しゃぶしゃぶにするとイケます。にんじんもピーラーを使って薄く削いで加えてみてください。

小かぶは味噌汁かスープ、一夜漬けがおすすめ。かぶの葉には亜鉛という貴重なミネラルが含まれていますので、いっしょに食べてくださいね。

しめじあぶら菜といっしょに炒めるか、単独でバターいためにしてどうぞ。

炒めたしめじをパスタにからめ、レモンをすこし絞りかかけるとおいしさが倍増します。しめじを取り寄せたときには、かならずお昼に作るメニューです。

今週は里芋が入る予定でしたが、地面が凍っているために掘り出すことができないそうです。もうすこし気温がぬるむまでお待ちくださいね。