緊急事態

2012年12月第2週

今週の野菜セット

左から

ひさびさに大きな余震がありました。ちょうど夕飯の支度をしていたときで、あわててガスを止め、CDの並んだ本棚に移動。本震のとき、それが散乱して滅茶苦茶になっていたからです。

本棚にぴったり身を寄せながら、いつ大きいのがドカンと来るか、どきどきしながら長い揺れをやり過ごす。酔いそうになりながら、脳裏にあったのは福島第一原発の4号炉のことでした。ぼろぼろになった建て屋の二階にある重機。それが使用済み燃料棒の冷却プールに落ちたら、もうおしまいですものね。原発は止まっていれば安全というものではないし、収束にむけて作業中でもおそろしいことになりかねない。十年以内に方針を決めればいいような問題ではないのです。

ともあれ、今回は大事には至りませんでしたが、余震は当分続きそうです。しかしなんですねえ、緊急事態が発生すると、とたんに携帯電話が使えなくなる。頼みの公衆電話はというと、携帯に押されてどんどん数を減らしている、というのでは世の中便利になっているどころか、逆に袋小路に追いつめられているような気がします。

ふつうの電話にしたって、光通信にしちゃったら緊急時には使えませんものね。本震のときには、うちの黒電話に近所の人が殺到したものです。そういうことがあるから、なかなか電話も替えられな。ついでにお風呂も五右衛門風呂にしておけば、ご近所から感謝されることになるかもね。

緊急事態といえばもうひとつ、人騒がせな「人工衛星」の打ち上げなどというのがあります。おかげでわが家の上空も賑やかになってきました。

あまり知られていないというか、わたし自身、ここに住むまで知らなかったのですが、宇都宮には航空自衛隊の基地があります。そんな関係で、ときどき輸送用ヘリや軍用機が頭上を通りすぎることがあり、福島の原発事故のときにも頻繁に行き来したものです。そして先週あたりから、また上空が騒がしくなっているんですけど、なぜ軍用機というのはあんなに低空飛行しなくちゃいけないんでしょう。ただでさえうるさいエンジン音が、振動として伝わってくるほどの轟音となり、戦争でもはじまったのかと思うほど。うちの母などは空襲を思い出すといいます。

とはいっても朝から晩まで飛び交っているわけではありません。ほんの数分間の通過だけでもこれだけ不愉快なものが、沖縄の基地周辺では四六時中続いているわけです。軍用機の音を間近に聞かなかったら、一般庶民が普天間に思いを馳せるようなことはないのかもしれません。しかし、国政を担おうという輩が、だれひとりとして普天間の普の字も口にしないというのは、不思議を通り越して異様です。今回の選挙の争点は、原発と普天間。それしかないぐらいに思ってたんですけどね。

つまるところ、目先の問題で人の気を引こうという連中ばっかりで、長期的な展望を掲げる人物がいないということ。食の問題にしてもそうで、世界規模で天候が不穏な動きを見せているときに、食糧自給率を真剣に考えようという声も聞こえてこないのです。政治家と各省庁の官僚の定年を五十歳にして、次世代と次世代の子を持つ親しか参加できないことにしたらどうなんでしょう。爺さんどもに任せておくと、とんでもないことになりそうな気がするのですが、そうなったらなったで今度は天下りが急増するのかもしれません。中枢に女性が少なすぎるのが問題なのかもしれませんね。

今週の野菜とレシピ

ようやく玉葱が入荷しました。ただし、じゃが芋のほうはこの冬は諦めなければならないようです。収穫を目前にして、横畠さんが脳梗塞で倒れてしまったからなのですが、もうすこし連絡が早ければ手の打ちようもあったのに、今となったらどこも完売。申しわけありませんでした。

青山さんのニンジン。火を通すのがもったいないぐらい甘くておいしいのですが、夏の旱魃で種を蒔いても蒔いても発芽できず、八月も終わりになってようやく芽を出したものですから、生育が遅れています。そんなわけでケチくさくて申しわけないのですが、今週は2本ずつ。生のまま囓ってみてください。葉っぱは薬味に・・・。わが家では刻んで冷凍しておいて、パセリの代わりに使っています。

山芋は霜にあたると傷むため、早く出荷してしまいたいそうです。保存するときは新聞紙に包んだまま常温で・・・。とろろもいいですが、マッチ棒ぐらいに細く切ったところにワサビをのせ、ポン酢で食べてもさっぱりしておいしいですよ。

おいしいブリ大根の作りかた

ブリのアラが出まわるようになったので、おいしいブリ大根の作りかた。

できればブリは天然ものを使ってください。鍋に水を張って沸騰させたら、アラを入れ、すぐにお湯を捨て、今度は砂糖と酒、醤油で濃いめの味つけをします。

煮魚の要領でじっくり煮ている間に、大根を厚めの輪切りにして皮をむき、面取りをしてからたっぷりの湯で茹でておきます。

煮魚ができあがるころ、大根にも火が通っていますから、お湯を捨て、その上にアラをのせ、残った煮汁も入れます。

ひたひたになるぐらい水を加え、落とし蓋をしたら後はことこと煮こむだけ。できあがりに柚子の皮をたっぷり散らすと、生臭さも消えておいしくなります。


寒さが本格的になってきました。年末の忙しいときに風邪をひかないよう、おたがいに用心しましょうね。