コオロギ

2012年10月第3週

今週の野菜セット

左から

朝夕の空気が冷たくなりました。この急激な気温の変化で、樹木の紅葉にもスウィッチが入ったみたいです。

夏場の気温が高く、秋になって急に冷えこむと紅葉の色づきがよくなるそうですが、今年は残暑が長引きすぎたので、どうなることかと案じられました。でも、まあ無事に紅葉の時期を迎えることができたので、ひと安心。これからは冬支度に専念できそうです。

そんなわけで夏の衣類をかたづけながら気づいたのですが、夏の終わりというか、季節の変わり目にちょっと羽織るような衣類というのは、ここ何年も袖を通すこともないまま、むなしく衣装箱を出たり入ったりしているんですね。つまり春や秋という中間的な季節がなくなって、暑いか寒いかのどちらかしかない。極端な話、タンクトップとセーターがあればOKみたいな感じです。

気温もそうですが、こちらが旱魃かと思えば、あちらが集中豪雨といった風に、ほどよい降水量というのもなくなりつつある。これって、貧富の格差が広がって、中間層がどんどん切り崩されてゆくのと似ているのかもしれませんね。

今年はいつまでも暑かったせいか、畑の虫たちがやたらと元気。朝夕、これだけ冷たくなっても、依然としてバッタやコオロギがうろついています。頼みのカマキリはというと、こちらのほうは暦通りに繁殖を済ませ、姿を消しているのですからいやになってしまいます。

とくに今年はコオロギの姿が目立ち、バッタが青菜類を穴だらけにするのに対して、こちらはきれいに食べきってしまうので、葉っぱの芯しか残らないのです。たとえ葉っぱが穴だらけにされても、根菜類なら大丈夫なのですが、芯だけになってしまうと光合成ができないので枯れるしかない。お手上げです。

好子さんは防虫ネットを使っているので、今週、かぶがメニューに入りましたが、わが家のは全滅。千枚漬け用の聖護院かぶだったんですけどね。自家用のキャベツも、外葉だけでなく、結球部分まで食い荒らされています。その中で平然としているのがブロッコリーで、おなじキャベツの仲間でも、葉っぱがかたいので食べられにくいのかもしれません。好子さんのブロッコリーも、もうすぐ出てくると思いますよ。

憎たらしいコオロギですが、これが食糧という目で見ると話がちがってくるみたいです。イナゴは古くから食用にされてきましたが、イナゴのビタミンや豊富なカルシウムに加え、コオロギには亜鉛という貴重なミネラルが含まれているからです。中国ではイナゴよりこちらのほうが好んで食べられてきたそうです。

一度食べてやろうと思ってるんですけどね、いざ捕まえるとなるとむずかしく、十匹ぐらいじゃどうにもならないという事情もあって、なかなか実現できません。捕まえたものはイナゴとおなじように、数日、餌を与えないで体内から糞を除去。それを蒸してから日干しにしたのが完成品。調理はそれからです。

子供が小さいころは、そうやって日干しにしたイナゴが手に入ったので、それをよく炒って少量の砂糖と醤油で味をつけ、おやつにしたこともありましたが、子供が成長するにつれ、そういうものがなくなってしまいました。お盆を過ぎると道路のあちこちに立てられた「いなご買います」という看板も姿を消し、稲穂が黄色くなりかけた田圃の周囲を、網をつけたバイクでぐるぐる回る人の姿も・・・。はじめてそれを見たときは、なにをやっているのかわかりませんでしたけどね。

虫を食べる習慣は、世界中で衰退しつつあるようですが、こういう文化が消えてゆくのはちょっと寂しい。イナゴのおやつも見た目はともかく、市販のスナック菓子なんかよりずっとおいしかったんですから・・・。昔のイナゴのようにコオロギが売られていたらいいのに、という横着者の嘆きなのかもしれませんが、それだけでもないんですよ。

ちなみに野菜の中にも亜鉛が含まれているものがあります。唯一、かぶの葉がそれ。捨てずにご利用くださいね。

今週の野菜とレシピ

先週に引き続き、山崎さんの原木舞茸が入ります。キノコは野菜とちがって菌類なので、放射線をどんどん吸収して分解する働きがあります。それが災いして出荷できなくなるケースが多いのですが、山崎さんの杉林はよほど条件がよかったとみえ、去年に続いて検査結果は良好で不検出。安心してお召しあがりください。

舞茸は石突きの汚れを落としたら、後は手で裂いてください。てんぷら用は大きめに、舞茸ご飯用は細かく裂いてから胡麻油で炒め、醤油をからめたら胡麻を散らし、炊きたてご飯に混ぜてください。京菜か、かぶのお吸いものといっしょにどうぞ。

さつま芋は1センチ角ぐらいのステイック状にして素揚げ。はじめはじっくり火を通し、次いで火を強めて二度揚げするとカリッと仕上がります。熱いうちにぱらぱらと塩をふって・・・。大学芋よりも手間がかからず、ベタつかず、少量の塩がさつま芋本来の甘みをひきたてるので、こちらのほうが美味。

横浜市にお住まいのKさんは、茹でたさつま芋を冷蔵して、すこしずつオーブントースターで焼きながら楽しんでいるそうです。そういう手もあったんですね。

ほうれん草はほかの葉ものにくらべて生育が遅いので、なかなか全セットに行き渡る量にはなりませんが、来週には出てくると思います。大根もようやく鉛筆から親指の太さになってきました。今すこしお待ちください。


益子GEFでは、出荷されるすべての野菜を益子町の個人病院が立ち上げた検査所に出しています。公設の検査機関では下限値が30~50ベクレルとなっているので、3.5ベクレルまで計測可能な機器で計測してもらっているしだいです。

いちいち検査結果を載せていなかったのは、私設機関のかなしさで測定結果の報告書が非常にわかりづらく、わたしもその都度説明を聞かなければならなかったからですが、今月から簡素化された証明書も出してもらえることになりました。そんなわけで今回は、みなさんが気にしていると思われる新米の測定結果を添えておきます