渡り鳥たちの冬

2012年2月第1週

今週の野菜セット

左から

インフルエンザが流行っているようです。

週に一度はかならず電話がある会員の方がいるのですが、風邪をひいたらしく、だれだかわかりませんでした。鼻にかかったぐらいならともかく、しわがれた苦しそうな声。一瞬、いたずら電話かと思ったぐらいです。そういう声がこれから増えてくるのかもしれません。

お体に気をつけてくださいね。こちらもそういう声で応答しなくてすむように、気をつけなくっちゃ・・・。

寒さも一段と強くなっているようです。朝は畑にも庭先にも霜柱が立っていますが、並の寒さでは林の中までは凍りません。ところが今年は天然のエアコンが効いているはずの山の中まで凍りつき、日が高くなっても解ける気配がありません。落ち葉で覆われた獣道のようなところまで、歩くたびにジャリジャリと音を立てるのです。たいした積雪量でもなかったのに、先週の雪もまだあちこちに残っています。

裸になった広葉樹林だけならともかく、昼間でも薄暗いスギやヒノキの林の中までそうなのですから、ちょっとびっくり。暖冬に慣れていましたからね。

暖冬を見越して残されたサギの幼鳥たちも、この冬は苦労しているのではないでしょうか。毎年、この時期になると池や水瓶に飼っている鯉や金魚が捕食され、苦情が出たりするのですが、今年はその池にも厚い氷が張っています。サギたちはしかたなく、水が凍らない河川に集まることになるのですが、食糧が足りているのかどうか気になるところです。

益子の町中を流れる小貝川。そこにひとつがいの白鳥が現れたのが三年前で、地元ではけっこう話題になりました。二年目にはそれが五・六羽に増え、保護活動も行われるようになり、河川まわりのカヤやヨシが焼却処分されることがなくなったせいか、暮れに数えてみたら十二羽になっていました。安全な穴場があるというのが「口コミ」で広がっているんでしょうか。

この調子で増えていったら、今年の秋には二十羽ぐらい飛来するかも・・・。はじめは人の姿を見ると遠ざかっていた白鳥も、今では悠然としています。ときどき様子を見に行っていますが、この冬は成鳥が十羽、そこに幼鳥が二羽混じっています。幼鳥はサギとおなじく、羽がグレーがかった保護色なので見分けがつきやすいのです。

単純計算だと、成鳥が十羽ということはつがいが五組。去年生まれた子供も五羽ぐらいになってもよさそうなものなのに、二羽しかいないということは、渡りの道中で二・三羽が命を落としたということになるんでしょうか。それとも繁殖しない、あるいはできない成鳥がいるということなのか。

「渡り鳥」というフランス映画があって、わたしはこれを映画館で見て、その後テレビでも見て、それでも足りなくてビデオを借りたりしているのですが、この映画には「必ず戻ってくるという約束の物語」という副題がついています。にもかかわらず、多くの鳥が渡りの途中で命を落とします。羽根を傷めたり、障害物に脚をとられたり、いちばん多いのは幼鳥が親鳥からはぐれ、迷子になってしまうケースです。

渡り鳥は体内に性能のいい羅針盤を持っていますが、長距離の移動には方角を感知するだけでなく、通過する場所の風景や匂いといった記憶も必要なので、はぐれてしまった若鳥が無事に仲間と再会できる機会はないにひとしく、見知らぬ土地や海上で命を落とすことになるのだそうです。そうしたアクシデントばかりでなく、狩猟の対象にもなるものもあるようですし・・・。

サギや白鳥は狩猟の対象にはなりにくいでしょうが、それでも長い道中にはなにがあるかわからない。この冬がどれだけ寒くなるか、サギにもわかっていたんじゃないでしょうか。それでも幼鳥を残して旅立った親鳥の判断は、一見厳しいようでも正しかったのかもしれません。

白鳥は草食なので餌づけもしやすく、各地で行われていますが、サギは肉食。カエルや雑魚が主食なので、なかなかむずかしいのです。活きのいい小アジがあったので、それを撒いたら、またたく間にカラスに横取りされてしまいましたしね。野生動物に餌づけはするな、ということなのかもしれません。野鳥にパンの耳などを与えるのも、ほんとうはよくないそうです。野生の習性を狂わせることになるからですが、ほんとうのところはどうなんでしょう?

小学生のころ、白鳥が飛来する地方に送るからといって、使用後の茶葉を干して学校に持ち寄ったことがあります。へえ、白鳥ってこんなもの食べるんだと思いながら、秋になると茶殻を干していたのを思い出して持って行ったら、今の白鳥、そんなものには見向きもしない。パンやビスケットのほうに人気があるのです。もう狂っちゃってるんですね。

これだけ環境を激変させておいて、野生の習性云々などというほうに無理があるのかもしれません。それならいっそ、サギたちも煮干しみたいなものを啄むようになってくれるといいんですけどね。

今週の野菜とレシピ

先週お届けしたキャベツには、中が傷んでいたものがあったようです。この時期、野菜は毎朝凍結しますが、日が高くなるにつれて解け、夕刻には収穫できるようになるのですが、葉ものとちがってキャベツは芯の部分が解けにくく、凍ったまま収穫されたようです。それが輸送中に解凍され、傷みにつながったものと思われます。そういうキャベツがありましたら、代わりのものをお届けしますので、面倒でもご一報ください。

今週は牛蒡が入りました。ニンジンといっしょにきんぴらにするには、牛蒡を笹掻きにするか、細切りにしなければなりませんが、ニンジンも牛蒡も乱切りにして素揚げ。揚げたてを熱い麺つゆに入れた揚げ浸しがおすすめです。お好みで唐辛子をふって・・・。これはあつあつよりも、すこし時間をおいたほうが味がしみておいしくなります。

青ものを湯がくときには塩をひとつまみ入れますが、あぶら菜の場合は植物油も少量たらすとやわらかく、色もきれいに仕上がります。ぐつぐついってきたら火から下ろし、やわらかくなった頃合いを見て、まな板の上に広げて冷まします。食べやすい大きさに切ったら、辛子醤油で和えてみてください。それにマヨネーズをプラスしてもおいしいですよ。