竜巻の被害

2012年5月第3週

今週の野菜セット

左から

新緑にかこまれて、まるでオズの国にやって来たみたい、なんて冗談をいっていたら、ほんとうに竜巻が発生してしまいました。みなさんからご心配の電話をいただきましたが、わたしたちもニュース映像を見てびっくりしたぐらい。

おかげさまで家も畑も、関係者全員無事でした。

たしかにものすごい雷でしたけどね。すぐに行ってしまうと思って畑仕事を続けていましたが、そのうち大粒の雹が降り出したので断念。家に入ると、犬が洗面所の隅のほうに身を潜め、ぶるぶる震えていました。それをなだめてやりながら、雷が去るのを待っていましたが、遠ざかったと思うとまた近づいてきて、日が暮れるころまでゴロゴロ鳴り続けていました。こんなに長い雷雨ははじめてのこと。

短時間の停電を繰り返すので、蝋燭を点けたり消したりしながらの夕食になり、竜巻発生のニュースも聞いていましたが、まさかこれほどの被害を出しているとは思いませんでした。

今でも町に下りると、あちらこちらに竜巻の爪痕が残っています。昨年の地震にも持ちこたえていた大谷石の塀が崩れ落ちたり、土蔵が斜めに傾いていたり・・・。屋根瓦がぐちゃぐちゃになっているかと思えば、屋根そのものが吹き飛ばされているところもあり、地震後一年を経てようやく姿を消しかけていたブルーシートの屋根が、また増えてしまいました。

おなじ被害を受けても地震とはちがうのは、隣や向かいの家がなんともないというところ。この不公平感が人の心の暗部にさざ波を立てかねないところです。もちろん地震にしたって、大きな目で見れば局所的なんですけどね。でも面で起こる地震や台風と、線で起こる竜巻、さらに点で発生する落雷という風に考えると、今回の線上にいた人々や、落雷による火災に遭遇した家族は不運としかいいようがありません。

わたしの友人の陶芸家もそのひとりで、彼女のところは倒木で窯小屋の屋根に穴が開きました。入り口に桜の巨木があったのですが、それもねじ切られています。見舞いに行って感心したのは、被害に遭った翌日から災害ボランテイアが駆けつけていたこと。とくに申請したわけでもないのに、上空から撮った映像を手がかりに、即、行動を起こしている点です。

益子町でも去年の地震をきっかけに、積極的にボランテイアの派遣をはじめましたが、かれらがやって来たのは二日目になってからで、しかも動きが災害ボランテイアの青年たちにくらべて鈍いとのこと。やっぱり行政より民間だよね、ということでした。ともあれ、十人ちかくの若者が三日がかりで、周囲の倒木をかたづけ、飛んで来たトタン類もきれいにして行ってくれたそうです。

おかげで今年はストーブ用の薪を買わなく済むし、畑の日当たりもよくなった。さあ、これから薪割りでもやるか、と威勢のいいことをいっていましたが、顔は疲労困憊しています。比較的被害が軽くて済んだ彼女でさえそうなのですから、壊滅的な被害を受けたところはどうなっているんでしょう。ボランテイアがどんな働きをしてくれても、精神的な疲労までは軽減されないでしょうからね。

二十年以上、欠かさず営巣していたわが家の軒先に、今年はツバメが寄りつかない。ツバメが巣を作った家は繁盛するとか、火事に遭わないっていわれているものですから、なんか心許ないというか、いやーな予感がする、と先週ここでお話ししました。

ところが今朝の新聞を見ると、日本中でツバメの飛来数が減っているのだとか・・・。ツバメから見放されたのはわが家だけじゃなかったんですね。だとすると事は深刻で、ツバメが繁栄のシンボルだとか、防災のお守りみたいな存在だとか、そんな「迷信」めいたことは抜きにしても、生態系として捉えた日本という地域に異変が起こることになる。

ツバメそのものの数が減少しているのか、この国に飛来するツバメだけが減っているのか、そこらあたりも気になるところです。金環日食も間近。昔ならそんな日は家にこもり、宮中や寺院では加持祈祷が行われたものですが、科学という宗教が支配的な現代では、世紀の天体ショーに寄せる期待のほうが大きいようです。日本全国で見られる金環日食なんて滅多とありませんからね。でも、そんなにはしゃいでいていいんでしょうか。日輪が曇るということは、日の丸に穴が開くようなものだと思うんですけど・・・。

その日は新月にもあたっています。日食周辺でなにが起ころうと、起こるまいと、日頃から万が一の備えだけはしておいたほうがよさそうです。ツバメに敬遠されてしまったんですからね。

今週の野菜とレシピ

今週もフキが入ります。届いたら、なるべくその日のうちに葉っぱと茎を切り離し、たっぷりの水で茎のほうを湯がいてください。

残りのお湯に葉っぱを入れ、色が変わったら水にさらして粗熱を取り、縦横に包丁を入れ、ぎゅっと絞ってから同量の酒と醤油で煮ます。汁気がなくなってきたら火をすこし強め、煎りつけるようにして水分を飛ばし、最後に鰹節を

たっぷりまぶします。フキの葉の佃煮。これは玄米にも白いご飯にもよく合います。

茎のほうは皮を剥いて煮ふくめますが、出汁には煮干しがよく合います。頭とはらわたを取り除いた煮干しをいっしょに煮るので、あらかじめ出汁を用意する手間が省け、煮干しもおいしく食べられます。おやつ用の小ぶりのものなら、頭を取ったりする手間も省けますよ。

オカヒジキはさっと湯がいてから、辛子醤油で和えたり、マヨネーズと醤油で和えたり・・・。炒めることもできます。豚バラ肉を細かく切ってカリッとするまでよく炒め、醤油をまわしかけます。そこへ半分ぐらいの長さに切ったオカヒジキを加えて、火が通ったらまた醤油。最後にお湯でもどした春雨に包丁を入れたものを加えて、一味唐辛子と醤油、オイスターソース少々で調味。これは濃いめに味つけすればご飯のおかずになりますし、薄味ならサラダ感覚。食感がさわやかです。

大根を2~3センチの長さに細くきざみ、納豆と醤油で和えます。大根が少量ならおかずに、多くしてもみ海苔を散らせばサラダ。納豆がからまってツルツルになると、大根が大根とは思えない、不思議な野菜に変身します。不思議体験、してみてくださいね。